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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:トンゴネイション(パイオニア&過去のフォーマット)

岩SHOW

 マジックというただでさえクールなゲーム、そのクールの深奥に迫る「今週のCool Deck」。今回もクールな実体験を交えて語らせていただこう。まずは早速だがデッキリストから。

chiyogamil - 「ジェスカイ・フラッシュ」
第4回 マッサンのなんでも放送局 おうちでパイオニア 3-0 / パイオニア (2023年10月28日)[MO] [ARENA]
1 《ラウグリンのトライオーム
3 《神聖なる泉
3 《蒸気孔
2 《聖なる鋳造所
4 《さびれた浜
4 《尖塔断の運河
2 《眠らずの尖塔
2 《眠らずの露営
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
1 《
-土地(24)-

4 《炎心の決闘者
4 《砕骨の巨人
3 《厚かましい借り手
3 《呪文捕らえ
-クリーチャー(14)-
3 《火遊び
3 《稲妻の一撃
3 《かき消し
4 《イオン化
2 《ドビンの拒否権
1 《方程式の改変
3 《速足の学び
3 《放浪皇
-呪文(22)-
3 《ボロスの魔除け
2 《聖戦士の奇襲兵
2 《石術の連射
2 《勢団の銀行破り
2 《未認可霊柩車
1 《霊気の疾風
1 《目覚めた猛火、チャンドラ
1 《傑士の神、レーデイン
1 《才能の試験
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 先日、パイオニアのリモート対戦会のフィーチャーマッチを拝ませていただいた。今月末開催のチャンピオンズカップファイナルでも採用されているフォーマットで、競技色が強いイメージのあるパイオニア。しかしながら対戦会はガチガチというよりは、各々が使ってみたいデッキを持ち込んだやわらかい雰囲気。週末の夜を楽しく過ごすためのものなので、ガチなデッキもあればオリジナリティあふれる創作デッキもある。クールじゃないか。

 そんな対戦会のフィーチャーマッチで輝きを放っていたのが上記のリスト。パイオニアではかなり珍しい構成のデッキで、目を引くものだった。どこから紹介するべきか……やっぱり《イオン化》かな。呪文を打ち消しつつ2点ダメージを与える、攻防両面を同時にこなすクールな夢を実現するカード……なのだが。「打ち消しとしては少々重め」「ライフを減らしたいときに能動的に打てない」「打ち消しを用いるコントロールでは《吸収》の方が適している」などの理由から、使用率はかなり低いカードになっている。上手くハマれば強いカードではあるんだけどな……と、使うデッキをかなり選ぶ1枚である。今回のリストはこの《イオン化》を強く使える構成になっている!その点がたまらなくクールで、観戦していてグッときたんだよなぁ。

 このリストの中心に鎮座しているのは《炎心の決闘者》だ。クリーチャーとして用いることもできて、出来事としては2点ダメージを与える火力になる。先輩として同様のカードである《砕骨の巨人》とは、本体と出来事のコストが逆転しているデザインとなっており、まず2ターン目出来事で除去→3ターン目4/3展開という断トツのテンポ感は持ってはいない。だからといって劣っているわけではなく、インスタントとソーサリーに絆魂を与えるというニッチな能力を持っている本体はこれはこれで独自のクールさを持っている。

 というわけでこの両者を同居させ、インスタント・タイミングで隙なく動き、対戦相手の自由な動きを許さず、こちらはテンポ良くクリーチャーを展開しつつライフを詰めていくデッキとして構築されている。《イオン化》に絆魂がつけば《吸収》に見劣りしない、むしろ殴り合いにはこれ以上ない適した打ち消しとなる!このクールなアイディア、たまらないぜ。

 巨人と共に超強力出来事カードとして認知されている《厚かましい借り手》、これをこのデッキで採用しない手はないだろう。打ち消しを構えつつ、対戦相手のライフを火力呪文で削っていくデッキのポリシーから、除去もクリーチャーなどとプレイヤーの両方にダメージを与える火力が中心となる。これだと高タフネスのクリーチャーには触れないので、借り手の出来事でバウンスしてやり過ごすのだ。パーマネントを展開してこないデッキが開いてであればさっさと瞬速から3/1飛行として出撃させ、殴っていく開き直りプレイが出来るのも素晴らしい。

 同じく瞬速持ちの飛行クリーチャー《呪文捕らえ》、これもシブいぜ。パイオニアならスピリットデッキで定番の1枚ではあるが、最近はスピリットが青単色で作られる傾向にあるのでしばらくぶりに動いているところを見たなという印象。このスピリットは名前の通り4マナ以下の呪文を追放、これが戦場に居る限りは唱えられないままになるという変則的な打ち消しとして機能する。除去されるとこの呪文は再度唱えられることになるので信頼度はそう高くはないが、一時しのぎしつつ殴りに行くクリーチャーを展開できるのは十分に強くてクール。

 これらの瞬速持ちと各種インスタントを構えつつ、《速足の学び》でのドローも挟みながら手札切れを防ぐ……テクニカルな戦法はこれぞマジック。

 さて、このリストのデッキ名・アーキタイプ名は何か?大会運営を行うサイトでは「ジェスカイ(白青赤)フラッシュ(瞬速)」と分類されていた。まあ何をするかはザックリ伝わるけど、これでは味気ない。ただのフラッシュデッキというよりは、《イオン化》から感じ取るイズム(主義)をくみ取って「カウンターバーン」と分類したくなる。もっといえば……フィーチャーマッチを眺めていてあるデッキ名が思い浮かんだ。その名は

「トンゴネイション」

Randy Buehler - 「トンゴネイション」
プロツアー・シカゴ97 優勝 / エクステンデッド (1997年10月12日)[MO] [ARENA]
2 《氾濫原
4 《Tundra
4 《Volcanic Island
4 《Plateau
3 《Kjeldoran Outpost
4 《ミシュラの工廠
2 《
1 《平地
-土地(24)-

4 《熱狂のイフリート
1 《スークアタの火渡り
2 《ワイルドファイアの密使
-クリーチャー(7)-
4 《対抗呪文
1 《撹乱
1 《奪取
2 《意志の力
2 《解呪
1 《剣を鍬に
4 《稲妻
2 《火の玉
1 《地震
2 《支配魔法
1 《鋸刃の矢
4 《税収
4 《衝動
-呪文(29)-
3 《青霊破
1 《解呪
2 《ジェラードの知恵
4 《ドワーフ鉱夫
2 《マナの網
3 《ネビニラルの円盤
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 「トンゴネイション」は1997年、プロツアー・シカゴ97で準優勝したデッキ。その名前は調整チーム名からそのまま取られている。フォーマットはかつて人気を集めたエクステンデッド、今のパイオニアと似たようなものかな。《対抗呪文》《意志の力》と打ち消しで要所を弾き、《稲妻》《火の玉》などの火力を除去兼勝利手段として用いる。《熱狂のイフリート》というエクステンデッドで幅広く使われていたクリーチャーで戦闘を行う。僕はマジックを初めて少し経った頃に文献で目にする形でこの「トンゴネイション」と出会った。そのインパクトの強い名前と、スタンダードのデッキと全く異なる構築にクールさを感じたものだ。当時を知らない人間ではあるが、回顧イベントで目にしたこともあって「トンゴネイション」には懐かしさを覚える。先述のパイオニアのデッキが動いているところを目の当たりにして、カラーリングも打ち消しと火力を併用するところも「なんだかトンゴネイション感があるな」と不思議でクールな感覚に満たされたものだ。

 トンゴネイションの3色を支えているのはデュアルランド。かつてのエクステンデッドを象徴する土地であり、中学生当時はこのデュアルランドが使いたいがためにエクステンデッドのデッキを組むぞ!と夢を描いたものである。2つの基本土地タイプを併せ持ったデュアルランド、これを《税収》から集めるのがこの時代のデッキにおける定番ムーブだ。このインスタントで手札に加えられるのは平地であり「基本の」という指定がないため《Plateau》《Tundra》を持ってこられるのだ。Cool。

 クリーチャーのチョイスも激シブ。《スークアタの火渡り》は赤の呪文や能力の対象にならないため、バーン系デッキに除去される確率が低い。自身はパワー0ながら、1点ダメージを与える能力を持つのでこれでコツコツとライフを削ったり、低タフネスのクリーチャーを撃ち落としていく。このカードこそトンゴネイションらしさが最も感じられるものだろう。《ワイルドファイアの密使》は《剣を鍬に》に対して耐性を持ち、《地震》にも巻き込まれにくいタフネスが強み。同様のカラーリングのデッキにとっては厄介なことこの上ないだろうね。

 当コラムでも度々伝えてきたが、マジックのデッキは意識されたものでなくとも、過去と現在が交わるものである。我々はカードでやり取りしながら、30年の歴史をクロスオーバーさせているのである。最高にクールだ。こんな思いに浸らせてくれた今回のパイオニアのリストを「トンゴネイション」と呼びたいと思う。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Go beyond the time!!

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