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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アタルカ・レッド:赤ずきんと魔女跡追い(パイオニア)

岩SHOW

 『エルドレインの森』背景ストーリーでは、この次元を覆う眠りの呪いを解くためにケランが魔女を探す旅に出る。彼が道中で出会い、そして最後まで仲間として連れ添ったのがルビーだ。行方不明になった兄を探すため、目的地が同じケランに同行。魔女アガサの呪いから解放された兄ピーターと合流後も、勇敢なケランと共に旅を続け、遂にはエルドレインを救うに至った。彼女は追跡してくる騎士に魔女跡追いをけしかけて振り切るなど機転が利き、エルドレインの僻境を生きる力に長けている。タフでありながらも赤い頭巾がかわいいというギャップもまた良いね。

 そんなルビーがカード化された《勇敢な追跡者、ルビー》は、アンコモンではあるものの能力をたっぷり詰め込んでそのキャラクターを再現している。素のサイズこそ1/2と控えめだが、速攻持ち。赤と緑の2色に対応したマナ・クリーチャーであり、そのマナでクリーチャーの展開を後押しすれば、パワー4以上をコントロールしている際には3/4にサイズアップして攻撃できる。2マナという軽さに能力てんこ盛りで、レアにも勝るとも劣らぬ性能だ。パワー4以上という条件、兄であるピーターがアガサに操られていた姿である《アガサの勇者》がいると満たせるのは芸が細かいな。

 そんな素敵なカードである《勇敢な追跡者、ルビー》。これを用いているリストを発見したので紹介しよう。フォーマットはなんとパイオニア!スタンダードよりも広いカードプールで、ルビーはどのようなデッキに組み込まれているのか……?

DookieTrouserMD - 「アタルカ・レッド」
Magic Online Pioneer Challenge トップ8 / パイオニア (2023年9月10日)[MO] [ARENA]
4 《踏み鳴らされる地
4 《カープルーザンの森
4 《銅線の地溝
1 《岩山被りの小道
4 《反逆のるつぼ、霜剣山
1 《耐え抜くもの、母聖樹
2 《バグベアの居住地
1 《
-土地(21)-

4 《僧院の速槍
2 《鐘突きのズルゴ
2 《軍勢の忠節者
4 《探索するドルイド
3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
2 《勇敢な追跡者、ルビー
2 《ロノムの発掘家、フェルドン
2 《無謀な奇襲隊
3 《ナクタムンの侍臣、サムト
1 《擬態する歓楽者、ゴドリック
-クリーチャー(25)-
4 《火遊び
2 《魔女跡追いの激情
4 《アタルカの命令
4 《熊野と渇苛斬の対峙
-呪文(14)-
4 《発火の力線
4 《引き裂く流弾
1 《絞殺
2 《魔女跡追いの激情
2 《カーリ・ゼヴの巧技
2 《燃えがら蔦
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 パイオニアより「アタルカ・レッド」の登場だ!スタンダードでもお馴染み、《僧院の速槍》や《熊野と渇苛斬の対峙》など軽くてダメージを叩き出すカードで固めた赤単色のアグロ。それにほんのりと緑を足して《アタルカの命令》を用いるのがこのデッキ。電撃のように攻める様から「ブリッツ」などの呼び名も持つ、過去のスタンダードやモダンなどで活躍したアーキタイプだ。

 パイオニアでも一部の層に人気を誇っていたが、今回そのデッキがルビーを迎えてアップデート。ルビーのマナ加速からクリーチャーを展開したら、それらを《アタルカの命令》や《無謀な奇襲隊》で強化して殴る!1・2マナに偏重した低コストのカードばかりではあるがパワー4以上も狙えて、ルビーも強化されることが見込める。これまでマナ加速とは無縁のデッキに面白い新星が加わった形だ。

 このデッキの常連であるカードの一つが《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》。彼女が攻撃すればラガバンが登場、2マナの軽さでクリーチャーの頭数が2体分と《アタルカの命令》の火力を底上げする仕事人だ。このカーリ・ゼヴとこれまた相性が良いのが《擬態する歓楽者、ゴドリック》。ゴドリックの祝祭能力はこのターンに土地以外のパーマネントが2つ以上戦場に出ていれば、4/4飛行のドラゴンとなるという派手なもの。カーリはラガバンを呼び出すことで祝祭の達成を容易にし、ゴドリックの正体を明かす助けをしてくれるってわけだ。

 ちなみに勘違いしている人も多いが、ゴドリックの祝祭は誘発型能力ではなく、常在型能力だ。パーマネントが2つ戦場に出るという条件を満たせば、3/3から4/4になる際にスタックを用いない。いきなり4/4になってしまうので、様子を見てから3点ダメージを与える除去を使う、というような動きは良い結果に繋がらないことを覚えておこう。祝祭には誘発型のものもあるので、ちょっとややこしいけどきちんと覚えておきたいね。

 新カードから注目されているものをもう1枚、《魔女跡追いの激情》!4マナで5点ダメージ、そのままだとちょっとモッサリ感のあるクリーチャー除去だが、そのコストは攻撃クリーチャー1体につき{1}軽減される。このデッキのようなクリーチャーを繰り出すアグロでは容易に赤マナ1つで唱えられる。一転してマナ効率抜群の超火力に!《黙示録、シェオルドレッド》も怖くないぜ、今後もよく目にすることになる1枚になりそうだ。

 背景世界の魅力的なキャラクターが描かれた新カード、スタンダードに留まらずにパイオニアなどのフォーマットで活躍してくれるのは一ファンとして嬉しい限り。ルビーの他にもエルドレインならではのキャラクターはまだまだ沢山カード化されているので、彼ら彼女らを主役としたデッキを色んなフォーマットで試してみよう!

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