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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:《停滞》で閉じ込めろ!職人気質溢れる逸品(レガシー)
来たよ!クールな金曜日が!美味しいもの食べてますかッ?面白いもの観てますかッ?そして、マジックやってますか~ッ!?
金曜日はマジック日和、フライデー・ナイト・マジック(フライデー、FNM)というイベントが各店舗で開催されている。短いラウンドで金曜の夜にマジックを楽しみ、充実した週末に繋げるのがこのイベントの役割だ。マジックをプレイする・コレクションを増やす・知り合いの輪を広げる……どんな目的でもマジックを愛する者同士なら素敵な時間を過ごせるはず。そんなクールな日である金曜日に、当コラムではクールなデッキを紹介している。強さや実績よりも最優先はクール!「おお、なんかすげぇデッキだ!」そういう風に感じてもらえるデッキをお届けできれば幸いだ。
今回取り上げるクールさは、フライデーのようなコミュニティ間で見られるもの。「○○デッキと言えばあの人」という名物デッキ、名物プレイヤーはあなたの身近にもいるんじゃないかな?他のプレイヤーが使用していないデッキをずっと使い続けている職人のような方が。個性あふれるリストは対戦している側もワクワクしてくる。ゲームが終わってから「良かったらデッキ見せてもらえませんか?」と声をかけるという経験を僕は重ねてきたものだよ……その度にクールなテクニック、クールすぎるカードチョイスを披露していただいてシビレさせてもらったものだ。
そんな職人系プレイヤーの活動はネットでも確認可能だ。中国の恵州市で定期開催されていると思われるレガシーの大会結果を見ていると、同じお名前で同じデッキリストが複数回発見された。それがまた個性的でクールなものだったんで、ここで紹介せずにはいられなかった。では、リストを見てみよう!
4 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 1 《虹色の眺望》 2 《Tundra》 1 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 1 《Badlands》 1 《Plateau》 1 《Scrubland》 1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《山》 -土地(20)- 2 《悪意の大梟》 1 《瞬唱の魔道士》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《クリスタル・ドラゴン》 2 《聖カトリーヌの凱旋》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 2 《思案》 2 《表現の反復》※ 4 《意志の力》 1 《否定の力》 4 《剣を鍬に》 1 《至高の評決》 3 《虹色の終焉》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《コラガンの命令》 3 《停滞》 2 《時を解す者、テフェリー》 1 《大判事、ドビン》 1 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》 3 《ラル・ザレック》 -呪文(33)- |
1 《疫病を仕組むもの》 1 《突然の布告》 1 《激しい叱責》 1 《兄弟仲の終焉》 1 《摩耗 // 損耗》 1 《封じ込める僧侶》 1 《倦怠の宝珠》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《狼狽の嵐》 2 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《水流破》 1 《外科的摘出》 1 《夢を引き裂く者、アショク》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
……。
…………。
…………すまねぇな。
そう聞かれてもわかんねぇよ!
というわけでレガシーの謎のデッキが登場だ。《渦まく知識》《意志の力》《剣を鍬に》などなどレガシーではド定番のカードが並んでいるが、だからといって見慣れたデッキでは決してない。デッキ掲載サイトの表記的には「4c Stasis」。ステイシス――そう《停滞》だ。
この最古のエンチャントの一つであるカードは、それはもうクールすぎるものである。《停滞》が戦場にある限り、アンタップ・ステップはもう来ない。シンプルにしてディープ!ゲーム展開は文字通り停滞する、凍てつくほどにクールすぎる1枚だ。ただこの《停滞》は維持するのに青マナを要求する。土地やアーティファクトなど、タップして青マナを加えるパーマネントをアンタップしなくなる。なのでこれを維持し続けるためには……かなりの努力が必要だ。
かつてはデッキの半分を青い土地で構成して《吠えたける高山》で毎ターン土地を引けばいいんだよという開き直った構成、《資源の浪費》でタップ状態の土地もマナに変換などなど、それはもうクールなデッキ達が作られたものだ。その最新モデルとも言えるレガシーのこのリスト……解析していこうじゃないか!
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:アンタップすりゃ良いわけよ
《停滞》によるロック状態を維持するため、毎ターンの青マナ供給をどうするか?このリストが採用した停滞打破手段は……《ラル・ザレック》!今となっては懐かしい、初代ラル!
彼が今後の対ファイレクシア戦においてどのような立ち回りを見せるのか、恐らくはクールな活躍を披露してくれるだろうと思われるがそれはさておき。ラルの[+1]能力はまさしく《停滞》と組み合わせろと言わんばかり!パーマネントを一つタップ、これにより相手のクリーチャーや土地を《停滞》の支配下へ。そしてもう一つのパーマネントをアンタップするので、それで自分の土地を起こしてアップキープのコストを支払う、と。完璧ではないか!こうしてラル停滞ロックに対戦相手を押し込みつつ、新しい土地を出すなどして青マナを確保したターンにはラルはアンタップを用いずに[-2]で3点飛ばしても良い。ちくちく削って勝ちを狙うか、あるいはもっと貯めて[-7]からワガママに追加ターンを狙いに行くってのもクール!
……と、このラル停滞ロック。遡ればこのラルのカードがプレビューで紹介された時から談義されていたコンボだ。当時のコミュニティでこれが強いか否か、盛り上がったのを覚えている。このコンボが狙えるフォーマットはエターナル環境、レガシーがメインになるだろう。結論としては「ラルが重いよなぁ」というわけで、このロックを夢見ても諦めてしまったプレイヤーが圧倒的に多かった。
そんなコンボが10年ほどの時を経て2023年に用いられている……もしかしたらこのデッキをデザインしたプレイヤーは、ずっと地元のコミュニティでこのデッキを練り続けていたのではないだろうか?レガシーというローテーションが存在しないフォーマットだからこそ、いつまでも同じデッキを使い続けることが可能だ。その研ぎ続けたデッキが、地元の大会結果としてネット上に掲載される機会が続いたのかもしれないな。そういう歴史すら想像させるリスト、それはもう「クール」としか表現できないよな。
クールポイントその2:アンタップのない世界で
《停滞》を置いて、さあこの世からアンタップは消滅した!そんな盤面で勝利するための手段もこのリストにはしっかりと採用されている。それゆえ4色デッキになっているのだろう。プレインズウォーカーはタップ/アンタップに関係なく能力起動できるものなので、ラルに限らず《停滞》とすこぶる相性が良い。
《大判事、ドビン》はトークン生成と忠誠度上昇の能力を交互に繰り返し、ジワジワと攻め手を供給する。《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》は墓地対策でありつつも、[-5]能力で対戦相手のライフを失わせる。ラルの3点ダメージや追加ターンと組み合わせることで、ロックを維持している間に何とか勝利する!カード1枚1枚のパワーは高くなくとも、ハマればむっちゃ強そうという幻想力の高さ。これぞクールデッキ!
さらに攻撃すらせずとも勝てるクリーチャーといえば真っ先に思いつく《黙示録、シェオルドレッド》。これも《停滞》でゲームの進行がストップし、毎ターンドローして終了となるゲーム展開において対戦相手のライフをすり減らす強力なフィニッシャーとして機能してくれる!停滞、黙示録、これぞクールな戦場だ。
さらなるクールのために
《停滞》とプレインズウォーカーといえば、ラル同様に好相性を誇るのが《野生語りのガラク》!彼の能力も停滞維持&フィニッシュを兼ねるもの。
[+1]能力は土地2枚をアンタップ、ラルの2倍のマナ効率だ。知性の象徴であるイゼット(青赤)のラルと、その名の通り野生そのものなガラク。クールな夢のコンビで《停滞》を維持し、自由に展開するデッキにも挑戦してみて欲しいぜ。
クールなまとめ
ローカル色の強い大会の結果には、同じデッキを載せつづける職人の姿が見られることがある。あなたの近くにもそんなプレイヤーがいるんじゃないかな。さあ、最寄りのショップに繰り出してイベントに参加してみよう!そこではクールなデッキを使うプレイヤーとの出会いが待っているはずだ。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Be a deck desiner!!
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