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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジャンド・ティタニア:合体難易度、A+(スタンダード)

岩SHOW

 うーむ……難しい。難しいからこそ挑みたくなるというものだが、それでも難しい……

 マジックにおいてこうして頭を悩まされるカードというのは、だいたい1セットに1枚くらいはあるものだ。勝利条件カードなどは本当に難しいもので、《めでたしめでたし》で実戦で勝利したことあるプレイヤーは一体どのくらいいるのだろうか?

 《空虚への扉》も昔『プレインチェイス』の構築済みデッキに入っていたので、これでなんとか誰かを敗北させてやろうと執着して朝まで4人でワイワイやっていたが、ついに一度も決まることはなかったな(笑)。

 100万点のマナを支払え、みたいな不可能な条件であれば諦めはつくのだが、難易度が無茶苦茶高いけどほんのり現実味を帯びている、みたいな誘惑に……マジックマニアは惹かれちゃうもんだよね。

 現行のスタンダードにもこのような一見無理難題な条件をつきつけてくるカード群がある。それは「合体」を持つものだ。ウルザ、ミシュラの兄弟……それぞれにアーティファクトと合体することでその本当の力を引き出した姿へと合体変身する。

 そしてもう1人、ティタニア。彼女はアルゴスの森の化身であり庇護者、ウルザとミシュラに豊富な資源を略奪される森を護ろうと抵抗した。

 《ガイアの声、ティタニア》は《自然の聖域、アルゴス》と揃えることで合体し《ガイアの具現、ティタニア》となる。

titania_meld.png

 キーワード能力を4つも持ち、サイズは土地の数だけと強大、墓地から土地をすべて戦場に戻し、さらに土地を4/4のクリーチャーに……ハチャメチャなものではあるのだが、この最強生命体を自陣に召喚するにはそれなりの条件が必要だ。

 まず、これら2枚を揃えて自身のアップキープを迎えなければならない。対戦相手にターンを渡した上でどちらのパーマネントも、特にクリーチャーであるティタニアが無事に済む可能性というのはそう高いものではない。なんだったら警戒している相手によって戦場に出した矢先に除去されてしまうだろう。

 そしてもうひとつ、このアップキープの合体は墓地に土地が4枚以上ないと誘発しないのである。つまりはティタニアが生き延びたとしても墓地対策でサクッと妨害されてしまうのだ。アルゴスの能力やその他のカードで切削などして墓地に土地を4枚以上揃え、ティタニアが除去されることなく無事にアップキープを迎える……これがかなり難しい。

 でも、だからこそやりたくなるってのが人情でもあるよね? 今回はそんなティタニア合体を目指すデッキを紹介だ!

Edel - 「ジャンド・ティタニア」
Magic Online Standard League 5連勝 / スタンダード (2022年11月27日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
1 《
2 《土建組一家の監督所
4 《ジアトラの試練場
3 《硫黄泉
1 《憑依された峰
2 《ラノワールの荒原
1 《死天狗茸の林間地
3 《落石の谷間
4 《自然の聖域、アルゴス
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《耐え抜くもの、母聖樹

-土地(26)-

4 《税血の収穫者
3 《ブランチウッドのうろつくもの
4 《ガイアの声、ティタニア
2 《ラトスタイン翁
2 《空漁師の蜘蛛
2 《ウィンドグレイスの魂
4 《産業のタイタン

-クリーチャー(21)-
2 《切り崩し
3 《喉首狙い
4 《鏡割りの寓話
2 《ギックスの命令
2 《ギックスの残虐

-呪文(13)-
4 《強迫
1 《切り崩し
1 《削剥
1 《喉首狙い
2 《兄弟仲の終焉
2 《勢団の銀行破り
2 《未認可霊柩車
2 《ヴェールのリリアナ

-サイドボード(15)-
mtgo.com より)

 

 スタンダードのジャンド(黒赤緑)カラーのデッキだ。

 『兄弟戦争』リリース前のジャンドと言えば、純粋に盤面をコントロールするものやリアニメイト要素を仕込んでいるものなどバリエーションがあった。このリストはその後者をベースにしている。

 《鏡割りの寓話》や血・トークンなどで手札から《産業のタイタン》を捨てて《ギックスの残虐》Ⅲ章能力で墓地から戦場へ、という形で強襲をかけて大きくアドバンテージを得ようというアプローチだ。

回転

 《ギックスの残虐》はそれ1枚で対戦相手の手札を捨てさせ、ライブラリーからサーチを行い、さらに相手の墓地からもリアニメイトすることもできるので、1枚で完結したパワーカードでもある。この英雄譚を用いたデッキをベースにして、ティタニアを合体させる……その手法を解説していこう!

 先にも述べたようにティタニアの合体のためには土地を墓地に送る必要がある。これのために必要なのは……まず土地自身の能力で墓地に落ちるもの。《土建組一家の監督所》を生け贄に捧げたり、《ジアトラの試練場》をサイクリングすることで自然と墓地が貯まる。

 さらに手札を捨てる要素として、先にも触れた《鏡割りの寓話》に《税血の収穫者》の血・トークン、そしてジャンドならではの《ウィンドグレイスの魂》!

 これは土地をライフや手札、ウィンドグレイスの破壊不能といった別資源に置き換える。これらで余剰の土地を捨てることでティタニアの変身を後押しだ。

 そして切削。《ラトスタイン翁》は土地だけでなくあらゆるカードが切削されることで何かしらのトークンを用意してくれる。タフネス4という硬さも信頼のおけるものだ。

 この翁に加えて《自然の聖域、アルゴス》自身の能力、そして《ブランチウッドのうろつくもの》でも切削を行う。

 土地が落ちるだけでなく、クリーチャーも落ちれば《ギックスの残虐》がすぐさま火を噴くという展開もアリってわけだ。

 墓地に落ちたクリーチャー・カードはリアニメイトするだけでなく、《ギックスの命令》で回収するという方法でも無駄にはせずしっかりリソース(資源)としてしゃぶりつくす。

 これ、実際に使ってみるとイメージしていたよりも強いカードだね。特にパワー2以下のクリーチャーを破壊しつつ、対戦相手のコントロールする最大パワーのクリーチャーも生け贄に捧げさせるというモードを選べば、軽い《疫病風》みたいに運用できるシーンも。

 このモードが選べる便利なソーサリーを用いて時に除去し、時にリソース回収をしつつティタニア合体や《産業のタイタン》で構成に転じるまでの時間を稼ごう。合体後のティタニアに絆魂を与えて大回復するってのも一撃でダメージレースをひっくり返せて最高だね!

 実際にこのリストをコピーして回してみたが、ティタニアが合体するのは本当に難しい。MTGアリーナのランク戦で3時間ほど回してみて、実際に合体して攻撃できたのは1回だけだったなぁ……僕の運が悪いのも、もちろんあるんだろうけどね(笑)。

 やっぱりティタニアが戦場に出ると対戦相手はこれを危惧して全力で潰しに来るし、サイド後は《未認可霊柩車》などで墓地の土地を追放されてしまいがち。

 ただ合体確定という状況になると対戦相手はすぐさま投了する、というのもあって、合体シーンを見られたのは1回だけだったので、実際には頑張ればもう少し合体する確率は高いのだと思う。仲間内でカジュアルにマジックを遊ぶ分にはもっと合体率は上がるだろう。

 とにかく合体すれば9/9とかのゴツすぎるボディと土地のクリーチャー化で対戦相手を圧倒できる。何よりも難易度が高いからこそ合体させた時の興奮は尋常ではない。テーブルトップであればカードを2枚裏返して並べる光景がテンションを爆発させてくれるはず!

 難関に挑むことが自分にとってのマジック、そういう風に自負しているプレイヤーにはオススメの逸品だ!

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