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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

黒単ストンピィ:《渦まく知識》どう対策する?(レガシー)

岩SHOW

 年末年始の予定を考える時期がやってきたね。

 日本ではこの時期にエターナル関係、特にレガシーの大規模イベントが定番だ。今年の冬は現時点だと問題なく開催されそうなので、真冬にホットな気持ちになれそうだ。

 レガシーとは使用可能なカードプールが広いのもあってか、その黎明期から地域性が色濃く出るフォーマットである。アメリカ、ヨーロッパ、アジア……主流デッキは同じでも、サイドボードのチョイスだったりマニアックなデッキの分布率だったりで差が出るもの。

 特に日本は古き良きものを愛し、何事にも凝り性な民族性なども相まってかハイレベルなデッキが量産されるレガシーの聖地だったりする。昔から日本のレガシーイベントに海外から遠征するプレイヤーも見られ、その盛り上がり方は世界一と言っても過言ではない。

 レガシーをプレイする理由、青が好きな日本のプレイヤーに尋ねれば「《渦まく知識》が使えるから」という返事がかえってくるケースが多いんじゃないかな。

 1マナ、インスタント、3枚ドロー。3枚引いてから手札を2枚戻すため、枚数が増えるドローではない。ただ、ライブラリーを上から3枚掘り下げることがたったの1マナでできることの意味。《意志の力》などの打ち消し、《剣を鍬に》などの除去、《濁浪の執政》などのクリーチャー、《実物提示教育》などのコンボパーツ……たった1マナでこれらのカードを引き込める可能性があり、どんな状況からでも奇跡的な大逆転を呼び込むドラマチックなカードである。

 手札の不要なカードを《渦まく知識》でライブラリーに押し込み、《汚染された三角州》などのフェッチランドや、《石鍛冶の神秘家》などなどライブラリーをシャッフルするカードを用いることでライブラリーに戻したカードをもう1回引く可能性を可能な限り下げる、というのはレガシーの基本中の基本テクである。

 この《渦まく知識》……青を用いないデッキから見れば、これほどニクい1枚もない。なので、どうにかして対策してやろうと躍起になっているアンチ・ブレインストーム派も少なからずいる。

 有名なのは《Chains of Mephistopheles》。

 ややこしいことが書かれているが、ドローするならまずは手札捨てろ!ということで、これでは知識も渦まかない。

 ただこのエンチャントはちょっと古すぎて手に入れにくいのと、ブレスト憎しが過ぎてそれ以外のカードにはあまり効果がないのでデッキに採用しにくいカードとなっている。

 では、どうやってブレスト対策をするか? 黒ならあるじゃない、最新鋭のすげーカードが。

Enrico Vair - 「黒単ストンピィ」
TLL 2k23 #1 - Nuovo Governo @ Torino (Italy) ベスト8 / レガシー (2022年10月16日)[MO] [ARENA]
6 《
5 《冠雪の沼
4 《古えの墳墓
3 《裏切り者の都
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
-土地(20)-

4 《ダウスィーの虚空歩き
4 《朽ちゆくレギサウルス
3 《敵対工作員
4 《黙示録、シェオルドレッド
-クリーチャー(15)-
4 《金属モックス
4 《暗黒の儀式
4 《思考囲い
3 《トーラックへの賛歌
4 《虚空の力線
3 《Helm of Obedience
4 《大いなる創造者、カーン
-呪文(26)-
1 《囁きの大霊堂
3 《疫病を仕組むもの
1 《敵対工作員
1 《歩行バリスタ
1 《真髄の針
1 《液鋼の塗膜
1 《漸増爆弾
1 《罠の橋
1 《Helm of Obedience
1 《マイコシンスの格子
3 《ヴェールのリリアナ
-サイドボード(15)-
mtgtop8 より引用)

 

 スタンダードやパイオニアで毎日のように戦場を闊歩している《黙示録、シェオルドレッド》。

 彼女はレガシーでも強く、そして《渦まく知識》を決して許しはしない! 対戦相手がカードを引くたびにライフを2点失う、つまりブレストすれば6点ルーズ! いやいやこれは溶ける、一瞬で全ライフ溶ける! ただでさえ通常ドローで2点失うのも痛いのに……。

 他にも《思案》や《定業》などのドローも代償付きになり、《森の知恵》なんて機能不全に陥るレベルで無力化できる! 簡単にカードを引ける環境だからこそ、それを黙って見逃さないシェオルドレッドは強いのだ!

 このわかりやすい結論に達したデザイナーが構築したであろうこのリスト。イタリアの大会で上位に入賞した黒単色のストンピィ系デッキだ。

 「ストンピィ」とはレガシーにおいては《古えの墳墓》《裏切り者の都》を用いるデッキ、その中でもクリーチャーで攻める要素を持ったものの総称である。

 早いターンに設置した《虚空の杯》で軽量除去を無効化し、何もでない対戦相手を一方的に殴り倒すという戦術だ。

 《暗黒の儀式》《金属モックス》と2マナ土地との組み合わせから、早ければ1ターン目にシェオルドレッドを降臨させることも可能。

 《朽ちゆくレギサウルス》なども《虚空の杯》で守って安全運用しつつ、ライフを一気に磨り潰す!

 クリーチャーで押し切るストンピィ戦術の他にもうひとつ、コンボで勝つというルートも用意している抜け目なさがこのリストの美しいポイント。《虚空の力線》が出ている状況下で《Helm of Obedience》を対戦相手に向けて起動すると、ライブラリーがすべて切削され追放されて空になる。一撃必殺!

 《大いなる創造者、カーン》もこのコンボのためのサーチカードであり、また《液鋼の塗膜》や《マイコシンスの格子》とカーンの組み合わせで対戦相手のマナを縛るロックコンボも搭載。

 シェオルドレッドで勝つか、カーンで勝つか。ストーリー的にもグッとくる取り合わせで、《渦まく知識》を抱える青いデッキをはじめとするレガシーの他の勢力を屈服させる!

 黒単色のストンピィ、この冬のオススメ!

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