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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:「対戦相手のアップキープに勝つ」この難問に挑むデッキ(レガシー)

岩SHOW

 先日、クールなお便りをSNS上でいただいた。

 「好きなコンボデッキを教えてください」

 オ~ッいいね、ストレートで実に素晴らしい質問だ! こういう絡みは大歓迎、マジックについて語って良い機会を与えられること、それが一番嬉しいかもしれない男にとってこういうのはたまんないね。

 ただコンボデッキとひと口に言ってもその範囲は広く、候補などはどんどんと浮かんでくる。幸いなことに一番好きなデッキは?という質問ではなかったので、まだ答えやすいものではあった。

 コンボデッキは全般的に好きなのだが、中でも呪文を連打する「チェーンコンボ」と呼ばれるものが好みかな。ドロー呪文やマナ加速などを連続して唱えて、繋いでいった先にゴールがある。実際にプレイしていて楽しいはそういうコンボかなと。

 パーツを揃えて即勝利というのも良いが、ここから決められるか?という窮地から、的確な判断と引きの幸運に恵まれて勝利する光景はクールとしか表現のしようがない。チェーンコンボの使い手のプレイ動画などは最高にクールなコンテンツだよ。

 で、この質問に僕が実際にアンサーしたデッキもチェーンコンボ。それもかなり独特なムーブを見せるもので、だからこそ「こんな勝ち方ができるマジックってめちゃクールだな」と思わせてくれるので、大好きだね。

 今週もクールなデッキをお届けする金曜日、本日のデッキはその愛しのコンボデッキ!

Oliver Oks - 「ソリダリティ」
グランプリ・クラクフ2007 サイドイベント レガシー 4位 (2007年11月4日)[MO] [ARENA]
12 《
4 《汚染された三角州
2 《溢れかえる岸辺
-土地(18)-
 
-クリーチャー(0)-
4 《High Tide
4 《渦まく知識
2 《選択
2 《のぞき見
4 《Reset
4 《衝動
4 《差し戻し
2 《思考停止
1 《残響する真実
4 《瞑想
2 《狡猾な願い
3 《転換
4 《意志の力
2 《洞察のひらめき
-呪文(42)-
4 《青霊破
3 《撹乱
1 《蒸気の連鎖
1 《もみ消し
1 《思考停止
1 《ガイアの祝福
1 《金言
1 《転換
1 《誤った指図
1 《天才のひらめき
-サイドボード(15)-
PlanetMTG より引用)

 

このクールなデッキは?

 レガシーの黎明期に登場した、「ソリダリティ」と呼ばれるチェーンコンボの傑作だ。

 上記のリストは2007年にポーランドで開催されたグランプリ・クラクフのサイドイベントにて第4位に入賞したものだ。

 「ソリダリティ」とは連帯などの意味で、実際に《結束》という名でカード化されているが、これとは一切関係がない。呪文を連打する様をこのように表現したのだろう。デッキ内のカードとは直接的に関係のないデッキ名って、クールだと思ってしまうぜ。

 純粋にコンボのみで勝つ、混じりっ気のないクールなリストについての詳細を確認してみよう。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:潮の満ち引きを読め

 このデッキは別名「ハイタイド」、そっちの方が圧倒的に有名だね。その名の通りキーカードは《High Tide》。

 潮が満ちることで、島タイプを持つ土地から得られるマナに{U}が追加されるというインスタント。効果はそのターンの間のみで、2枚3枚と唱えると効果は重複する。

 というわけでこの《High Tide》によりマナ加速を行い、インスタントやソーサリーを連打して勝利に繋げるのがこのアーキタイプの戦術だ。

 いったん「ソリダリティ」は置いておいて、後の時代の「ハイタイド」の話から進めていこう。まずはキーカード《High Tide》を引けないとまるっきりお話にならない。なので《渦まく知識》や《思案》を使ってライブラリーを掘り進むのはもちろん、《商人の巻物》などのサーチも用いられる。これらは《High Tide》下でのチェーンを繋ぐためにも非常に重要な役割を担っている。

 マナ加速とドロー、それらの先に待っているのは《思考停止》。

 そのターンに唱えられた呪文の数だけコピーが発生する、ストームという最強能力を持っており、そしてこれが行うのはライブラリーの切削。50枚以上のカードを削り落とせば、相手はカードが引けなくなって敗北する。

 《天才のひらめき》や《青の太陽の頂点》など、自身も対戦相手もどちらも対象にできるドロー呪文をこのフィニッシュ役に持ってくるのも定番。

 特にライブラリーに戻る頂点は、チェーン中に大量ドローとして自分に唱えてもライブラリーに戻っていくのがクール。

 これらのゴールはライブラリーから直に引くのも良いが、《狡猾な願い》によるサーチという手もある。

 チェーンを繋げるためのカード、コンボ対策への対策らとともにサイドボードに潜ませて、臨機応変に立ち振舞うのがコンボデッキとして非常にクールだったな。

 「ハイタイド」がレガシーのコンボデッキの主流に躍り出たのは2011年。《時のらせん》が禁止解除され、使用可能になってからだ。

 《High Tide》状態でこれを唱えて土地をアンタップすれば、10マナ以上増えるなんてこともザラにあった。手札を大量補充、墓地の呪文をライブラリーに戻せるので夢の《High Tide》5枚目突入なんてことも。

 これと《Candelabra of Tawnos》で土地を起こすことで、島を何度何度も使いまわして膨大なマナを得る。この土地アンタップ手段こそ「ハイタイド」の大動脈なのだ。

クールポイントその2:相手ノターンニ勝利セヨ

 さて、「ハイタイド」から「ソリダリティ」に話を戻そう。

 《時のらせん》という最重要パーツが解禁されたのが2011年。そしてこのリストは2007年のもの。簡単にマナも手札も増やせる呪文はまだ手に入っていないのだ。そんな状況下で《High Tide》を使いたいプレイヤーが選んだ大動脈、一体なんだと思う?

 答えは《転換》、そして……《Reset》だ。

 この古えのインスタント、クールなのはそのイラストだけではない。対戦相手のアップキープにしか唱えられないという、ごく限られたタイミングのみで使用可能な珍品となっている。

 そしてこれが行うのは、自身の土地全てのアンタップ。リセットというカード名から、自分のターンに動いたデッキがこれで相手のターンに土地を起こし、打ち消しなどの呪文を唱えられるように用いる手段として作られたのだということが推察できる。

 この相手のアップキープでの土地アンタップをディフェンシブなものとしてでなく、そのまま勝利するための攻めの一手として用いるのが「ソリダリティ」の面白いところだ。

 ある程度の《》を並べたら対戦相手のアップキープにおもむろに《High Tide》! マナを引き出しドローを行い、土地がすべてタップ状態になれば《Reset》! リフレッシュしたマナからまたドロー、さらなる《High Tide》や《狡猾な願い》《転換》などでガチャガチャやって《Reset》して…と、延々相手のアップキープに動き続けたら、最後は《思考停止》or《天才のひらめき》!

 自分のアップキープにこんな滅茶苦茶にされることなんて、滅多にないよね。自分のターンには決まらないコンボという特異な存在、ここが僕が「ソリダリティ」をクールに感じ、好きであるポイントなんだよな。

 前述のように2011年以降は《時のらせん》でもっとイージーに、自分のターンにコンボが決められるようになったので、相手のターンに動く「ソリダリティ」は普通の「ハイタイド」へとバトンタッチ。そもそもが相手のターンに動いてもコンボが決まらないこともあり、熟練の腕が求められるデッキだったのでユーザー数も非常に少なかった。

 その反面「ハイタイド」は数を増やし、さまざまな大会で結果を残していた。その結果を目にするたびに、僕は歴史に埋もれていったクールなデッキ、「ソリダリティ」に思いを馳せていたよ。

クールなまとめ

 投了以外の形で対戦相手のターン中に勝利をするのは珍しいことではある。ましてやアップキープとなればその難易度は跳ね上がるだろう。そんな難問こそが勝利への一本道、この「ソリダリティ」のことをクールと言わずして何をそう呼ぼうか。古き良きデッキが紹介できて嬉しい限りだ。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Reset and solidarity!!

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