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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ゴブリンの新兵器、流入結界!(アルケミー)

岩SHOW

 「無料の○○」、わかっちゃいるんだけどこれに弱い。

 無料で大盛りとかおかわりできるなら、絶対にするもんなぁ。実質無料みたいなのは疑ってかかる性格なのだが、完全に無料なものは何でも喜んで享受するのが礼儀だと信じている。

 そしてマジックでも……無料のパック、無料のイベント! 全部美味しくいただきますッ!

 というわけでMTGアリーナにて定期的に配布される無料パックのコードや、定期開催される無料イベントは何も損失なくカードやスタイルなどが手に入るので、皆もガンガンやっていこう。

 無料イベントの方は特殊な構築戦もあるのでデッキ作りの手間はかかるかもしれないが、普段遊ぶことがないような一風変わったデッキでプレイするチャンスともとらえて、トライすべしだ。

 あるいは、構築済みデッキを使用させてくれるパターンもある。先日開催されていた「未来へ」というイベントでは『アルケミー:ドミナリア』が参入したアルケミー環境の構築済みデッキで対戦するもので、無料で参加できて何度負けてもOK、勝てば賞品という超有情な無料イベントだった。こういうのは本当にありがたいよな……

 ここしばらくアルケミーにも触れていなかったので、良い機会だなとプレイしてみた。4つのデッキの中からまずは「ドラゴンの休息地」を使用……したのだが、対戦相手が使ってきたゴブリンデッキにボッコボコにされてしまった。

 その強さにビビって、思わず2戦目からは「今日ではないし我々でもない」に切り替えた。なんちゅうデッキ名だ。普通自分たちが戦うのは今だ!って宣言するもんだろうに、そこはさすがのゴブリン、真逆のスピーチだ。

 というわけでリストを見ながら解説しよう。

「今日ではないし我々でもない」
MTGアリーナ「未来へ」イベント / アルケミー(BO1) (2022年10月6~8日)[MO] [ARENA]
16 《
4 《タンブルダウン地区への門
2 《敵意ある宿屋
2 《反逆のるつぼ、霜剣山
-土地(24)-

4 《ゴブリンの罠探し
4 《雄叫ぶゴブリン
4 《ランドヴェルトの大群率い
3 《怪しげな統治者、スクイー
3 《連合の構築物
4 《双弾の狙撃手
4 《ゴブリンの鼓舞隊長
-クリーチャー(26)-
3 《絞殺
2 《削剥
2 《鏡割りの寓話
3 《ゴブリンの流入結界
-呪文(10)-

 赤単色のゴブリンデッキだ。現在スタンダードではゴブリンに関係するカードは14種類。《ランドヴェルトの大群率い》という優秀な部族デッキ推奨カードがあるのだが、それらのゴブリンだけではあまり良いデッキは組めない……もう少し選択肢が欲しいところ。

 一方、アルケミーでは30種類! 倍以上になれば部族デッキを組むのにも満足な選択肢が揃うというものだ。

 《雄叫ぶゴブリン》《ゴブリンの損壊名手》のような環境を去った良きゴブリンたちがこのフォーマットでは使用可能で、そしてそこに加えてアルケミーのこの部族の決め手である《ゴブリンの流入結界》がデッキを強固なものへと押し上げている。

 このエンチャントはゴブリンを唱える際のコストを1マナ減少させる。その1マナは{R}だが、2枚以上このエンチャントが並ぶなどして{R}の支払いがすでに軽減されている場合は、不特定マナの支払いも軽減してくれるという特殊な挙動を見せてくれる。このあたりの融通の利き方が最新のカードという感じがするね。超強力なマナ軽減により、ゴブリン得意の群れで攻める戦法を強烈に後押し可能だ。

 そしてこのエンチャントはアドバンテージまでもたらす。毎ターンの終了時、15種類のゴブリンの中からランダムに1枚が手札に加えられる。これらのカードはムラがあるものの、大当たりの《ゴブリンの戦長》《ゴブリンの酋長》などはメチャ強、そうでなくてもとにかく手札を補充してくれるのはそれだけでグレート!

 この流入結界を設置できれば勝ちはグッと近づき、2枚以上重ね貼りすればもうウハウハで笑いが止まらない! いや~アルケミー、デジタルならではのすごいカードがあるもんだな。

 しばらくスタンダードとエクスプローラーでアリーナを楽しんでいたが、「未来へ」で味わった《ゴブリンの流入結界》の味が忘れられない日が2日間ほど続き……ワイルドカードのレアを4枚でデッキも組めるし、ちょっとやってみるかと、アルケミー用のゴブリンデッキも構築してみた。スタンダードをやって集めたカードと、ほんの少しのワイルドカードでデッキが増えるならラッキーってなもんだよ。

 4マナの《ゴブリンの流入結界》を使いたくて、最初は赤緑の2色でデッキを組んでみた。《芽吹くゴブリン》で意地でも4枚目の土地を手に入れようと……しかしながら《カープルーザンの森》《落石の谷間》などの土地を採用することがプロブレムに結びつきがちだったので、土地を25枚で《水晶の岩屋》を採用して占術で少しでも4枚目の土地を引ける確率をアップ。タップ状態で戦場に出る土地は不採用にすることでスムーズに4ターン目流入結界!という形に落ち着いた。

岩SHOW - 「赤単ゴブリン」
アルケミー(BO1) (2022年10月)[MO] [ARENA]
21 《
3 《水晶の岩屋
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
-土地(25)-

4 《ゴブリンの罠探し
4 《雄叫ぶゴブリン
1 《ゴブリンの班長
4 《ランドヴェルトの大群率い
1 《ホブゴブリンの隊長
3 《怪しげな統治者、スクイー
4 《ゴブリンの損壊名手
2 《双弾の狙撃手
4 《ゴブリンの鼓舞隊長
-クリーチャー(27)-
4 《鏡割りの寓話
4 《ゴブリンの流入結界
-呪文(8)-

 ゴブリンは相性差がかなりはっきりしているデッキだ。

 自分より少しでも遅い相手、ソーサリー除去がメインの相手には滅法強い。ロードの全体強化と速攻付与で圧倒できる。しかしながら自分よりも低コストで単体の質が高いクリーチャー(特に速攻持ち)を展開してガンガン攻めてくるデッキ、さらには1・2マナの軽量除去がしっかりしている相手にはなすすべもなく打ち崩されてしまう。

 さまざまなフォーマットでバーンやアグロなどの赤いデッキにノックダウンされるゴブリンを見てきたし、自分自身もボコられてきたのでこのイメージは根強く持っているのだが、アルケミーでもこの法則が当てはまる。「赤単アグロ」には手も足も出ない負けっぷりを晒してしまいがちである。

 それはもう運命のようなものと受け止めて、得意の相手と当たれば圧勝、苦手な相手と当たれば圧敗! 開き直る形でBO1を楽しむリストを作ってみた。

 これが実際にかなり手応えありで、短時間でプラチナランクのティア4からダイアモンドランクまで駆け上がることに成功した。使い続けていればミシックにも到達できるだろう。

 負けが続くこともあるが、連勝のビッグウェーブはいつかやってくるものと信じて肩の力を抜いて回せば……《ゴブリンの流入結界》が火を噴いて勝った際には手を叩いて喜べる。楽しいってのはやっぱり一番大事だね!

 新カードの1つ《ゴブリンの鼓舞隊長》もかなりのやり手。

 2マナでパワー2の速攻、そして後援でさらにパワーを上げることが可能。本人は攻撃に行きたくない《ランドヴェルトの大群率い》などを寝かせてパワーを上昇し、リスクを抑えて打点を高められる。パワー5以上を狙えるので《黙示録、シェオルドレッド》に臆せず突っ込んでいける点は高く評価できる。

 そして後援でタップしたクリーチャーのコピーを作ってライブラリーに仕込むという芸当もこなす。そのコピーはパワーが上昇して速攻も持っているので、切れ目のない攻撃を続ける後続として大いに期待できる。軽くて優秀なゴブリンを潜ませて、《底への引き込み》などの全体除去への耐性を高めよう。

 《ゴブリンの罠探し》が死亡時に抽出するゴブリンにも速攻が与えられる。

 これはターン終了時に生け贄に捧げられてしまうが、《ランドヴェルトの大群率い》がいれば次なるゴブリンにバトンタッチしてくれるかもしれない。

 こういった細かな部族シナジーと流入結界が合わさったことで、異常なまでの爆発力を持ったデッキが誕生したのだ。

 無料イベントは素晴らしい。やっぱりカードを実際に触って、ゲームを体感しなければその良さはわからない。今後もいろいろなフォーマットで構築済みデッキのイベントを開催して、皆が未知のフォーマット、カード、デッキの魅力を知るきっかけになることを祈っている。

 僕は無料イベントのおかげで《ゴブリンの流入結界》を知り、スタンダードなどの他のフォーマットでは経験できないマジックで気分転換することに成功している。タダで遊べるものはなんでも手を出すしかないね、こりゃ!

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