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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

黒単信心:法務官「サインはこちらへ……」(パイオニア)

岩SHOW

 『団結のドミナリア』リリースと同時にローテーションも訪れ、全く新しい環境が始まったスタンダード。やっぱり鮮度が高いものを求めるのがプレイヤーの性。スタンダードの醍醐味である新環境初期なので、どうしても当コラムでもスタンダードのデッキをメインに取り上げ続けてきた。

 なので、非スタンダードプレイヤーには我々のやってるフォーマットの話も見たいよという思いをさせていたかもしれない。環境のスタートを彩ったデッキについて、ある程度の数も紹介できたかと思うので……今回はパイオニアを! 『団結のドミナリア』プレビューの初日から話題に上っていたパイオニアを取り上げるぞッ!

 やはりパイオニアと言えば《ヴェールのリリアナ》。

 モダンなどのフォーマットには初出の『イニストラード』が含まれているので、長きに渡ってレギュラーキャラであり続けている彼女。しかしながらパイオニアでは『イニストラード』ブロックの次のセットから使用可能プールが始まっているため、この3マナプレインズウォーカーをプレイすることは叶わぬ夢かと思われていた。

 現環境では見かける機会も減少してきたが、かつてのモダンでは最強プレインズウォーカーの地位を築いていた、環境を定義する1枚だった《ヴェールのリリアナ》。これがパイオニアに加えられるとどうなるか? 一部のマニアが脳内で描いた妄想が、現実となる。その時が来た!

LizzieBus - 「黒単信心」
Magic Online Pioneer League 5連勝 / パイオニア (2022年9月11日)[MO] [ARENA]
10 《
4 《イフニルの死界
2 《ロークスワイン城
2 《目玉の暴君の住処
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
2 《ガイアー岬の療養所
2 《廃墟の地

-土地(24)-

4 《才気ある霊基体
4 《墓地の侵入者
3 《残忍な騎士
3 《黙示録、シェオルドレッド
2 《アスフォデルの灰色商人

-クリーチャー(16)-
4 《致命的な一押し
4 《思考囲い
1 《血の長の渇き
4 《血の署名
2 《絶望招来
3 《ヴェールのリリアナ
2 《不笑のソリン

-呪文(20)-
2 《ゲトの裏切り者、カリタス
3 《レイ・オヴ・エンフィーブルメント
2 《強迫
2 《壮大な破滅
3 《真っ白
1 《絶滅の契機
1 《食肉鉤虐殺事件
1 《領事の旗艦、スカイソブリン

-サイドボード(15)-

 

 パイオニアの「黒単信心」の登場だ。

 《ヴェールのリリアナ》は黒マナシンボル2つのため、戦場に出すことで黒の信心を稼げるパーマネントとなる。シンボルの濃いカードを並べて信心を高め、《アスフォデルの灰色商人》のライフを大量に奪う!

 このシンプルなフィニッシュを武器にした、コントロール的なデッキである。

 以前からパイオニア環境で組むことができたが、ここに《ヴェールのリリアナ》が参戦! 一気にデッキパワーが増したようだ。とりあえず[-2]でクリーチャーを生け贄に捧げさせてから、あとは手札を捨てさせ続けて相手の攻勢を削いでいく。手札の内容が良い場合は、無理して[+1]を起動しなくても良い。生きて戦場に居続けるだけで、リリアナは信心を稼ぐという仕事を果たしているのだから。

 《才気ある霊基体》《残忍な騎士》などシンボル色濃いクリーチャーらを採用して盤面を作っていき、その工程を《思考囲い》《致命的な一押し》などでサポートする。

 この戦術に噛み合った新クリーチャー《黙示録、シェオルドレッド》も採用されている。当然と言えば当然のチョイスだね。

 ダブルシンボルで4マナ4/5接死、戦闘面では攻めるも守るも思うがままのハイスペック。そしてドローとライフに関する能力、これがデッキとバッチリ噛んでいる。盤面づくりを優先するためにライフを犠牲にしがちな信心デッキにおいて、毎ターンのドローで2点回復というのは無視できない恩恵。さらに対戦相手のライフもドローのたびに2点削る。接死軍団を並べて睨み合っているうちに、じわじわとライフが減っていって気が付けば《アスフォデルの灰色商人》の射程圏内に……なんと理想的なゲーム展開だろうか。マナやタップも不要、突っ立っているだけで仕事をするシェオルドレッドは、実は信心デッキにとってリリアナ以上の収穫かもしれないぞ。

 《黙示録、シェオルドレッド》の降臨で評価が急激に変化したカードが《血の署名》だ。

 2マナで2枚ドロー、効率に優れたソーサリーだが2点のライフを失うというデメリットが特徴的。デッキによってはこの2点ルーズが痛く響くので、どんなデッキにも使えるというものではない。

 ただモノは使いよう、この呪文は対戦相手を対象に取ることもできる。無理やりカードを引かせて2点失わせるわけで、アグロデッキで残りライフ2点まで追い込めば本体火力として投げつけてフィニッシュ!という、使い手の技量で化ける1枚。

 この《血の署名》がシェオルドレッドの手にかかれば……自分を対象にすれば2点失って2枚引いて4点回復、差し引き2点得することになる。手札もライフも両取りしちゃって良いんスか? さらにこれを対戦相手を対象に唱えれば、2枚引かせて4点、さらに2点のライフを失うと、トータルで2マナ6点火力は鬼だろう! たまったもんじゃない。《絶望招来》など他のライフを失わせる要素と併せつつ、灰色商人の一撃に繋げて勝ってやろうぜ。

 鎖のヴェールの力を持ったプレインズウォーカーにファイレクシアの法務官。最強クラスの戦力が加わり、大幅強化を受けたパイオニアの「黒単信心」。スタンダードに負けじと、パイオニアでも新環境が始まっている。パイオニアとそれに付随するエクスプローラー、今後も要注目! 次回もこれらのフォーマットからデッキを紹介するので、よろしくゥ!

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