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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:続唱8post(レガシー)
さあ金曜日、今週もクールなデッキを紹介してしまうぞッッ、Cool Deckのコーナーだ!
皆の週末のマジックライフがクールなものになるのをお手伝いしたいという思いから始めたこのコラム。最近、良い週末を過ごしているかな?
僕はこのところ他人のプレイを観戦しながら、実況という名の居酒屋的な駄弁りをする機会に恵まれており、マジック的に非常に充実した週末の夜を送っている。やっぱりプレイヤー同士が各々思い入れのあるデッキをプレイし、それぞれのテクニックを披露している姿を観戦するのはとっても楽しいねぇ。
ウェブカメラとSpellTableというアプリケーションを用いた、オンラインでのレガシーの対戦会を観つつワイワイトークで盛り上がらせてもらっている。
レガシーは各自の色が濃く出るフォーマット。このデッキを見てくれ!このカードを使わせてくれ!そういうクールなマジックLOVEが伝わってくる世界なんだよね。積み重ねたマジックの歴史、その中でその人が何を見て何と出会い、何を愛したか。ある意味、デッキリストを通じて丸裸にされてしまいそうな環境だ(笑)。
先日も実況という名のフリートークをしつつ試合を観ていたのだが……こりゃあもう、どのカードが何をしてどうなったとかそういうことを説明するのを放棄したくなる、結果だけ見てコメントしようぜという結論に達した、衝撃的なゲームを目撃してしまった。Cool以外の言葉、出てこねぇんだよなと。
それじゃあもったいぶらずにリストを見てみよう!
1 《森》 1 《冠雪の森》 2 《Tropical Island》 2 《Taiga》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《新緑の地下墓地》 1 《樹木茂る山麓》 2 《宝石の洞窟》 4 《雲上の座》 4 《微光地》 1 《ヴェズーヴァ》 4 《古えの墳墓》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 1 《天上都市、大田原》 1 《世界樹》 1 《カラカス》 1 《死者の原野》 -土地(30)- 4 《エルフの再生者》 4 《不屈の巡礼者、ゴロス》 1 《原始のタイタン》 4 《大渦の放浪者》 4 《頂点壊滅獣》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(18)- |
4 《開墾》 4 《創造の技》 4 《虚空の杯》 -呪文(12)- |
2 《セファリッドの女帝ラワン》 4 《花の絨毯》 3 《忍耐》 1 《魔力流出》 1 《無垢への回帰》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
レガシーにおける……これはなんだ? カスケードデッキとのことであるが、もう分類とかどうでも良くなってくる個性の塊だ。
カスケードとは「続唱」という能力のこと。それを持つカードを唱えた際に誘発し、そのカードよりもマナ総量の小さいカードをライブラリーから唱えられる。
該当するカードが出るまでライブラリーを上からめくっていくというランダム性の高いものではあるが、1枚のカードから2つの呪文という堅実なアドバンテージは手堅く強いもので、特に《血編み髪のエルフ》は3/2速攻というパーマネントに除去なり手札破壊なりプレインズウォーカーなりがついてくるということで、レガシーでもアグレッシブさの象徴として鳴らしていた時代があった。
カスケードデッキということはこの血編みを使うのかと思いきや、その姿は見当たらない。このデッキのカスケード担当は……いやぁ、ちょっとクールすぎるわ。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:重けりゃ重いほど良いものな~んだ
続唱はそれを持つカードのマナ総量が大きければ大きいほど、ライブラリーからコストの重いカードを唱えられる。つまり重い続唱こそ勝利への道!となるわけだが、現実的に唱えられないような重すぎるカードを採用するわけにはいかない。
なので4マナという現実的コストでかつ3マナの呪文を唱えられる決定力の高さで《血編み髪のエルフ》の人気が高かったわけだが……このリストはそんなこじんまりとしたことを言わずに、夢を追い求めろと言わんばかりのクールさだ。
採用されている続唱カードは2種類、まずは《大渦の放浪者》!
マナ総量8の3色カードというヘビーなコストではあるが、なんと2回も続唱を行える! 理論上これ1枚で本体8マナ+7マナのカード2枚で、計22マナ分の呪文を唱えてしまうなんていう荒業中の荒業も狙える、夢にあふれたクールなクリーチャーだ。
そしてこの放浪者すらも小物に感じてしまうのが……《頂点壊滅獣》!
名前もイラストもクールすぎる化け物中の化け物だ。10マナという驚異のマナ総量に抱えたるは4回の続唱! 最大で計46マナ分の呪文!? いやまあ、それを実現させるような構成にすると流石にデッキがデッキの形を保てなくほどの質量になってしまうので、そこまでの冒険はされていないが……それでも放浪者4枚・壊滅獣4枚はぶっ飛んだ構成、クールすぎるオリジナルデッキだよ。
理想的なゲーム展開は壊滅獣を唱えて、そこからの4回のドキドキタイムのうちに放浪者が入っていればさらに大量展開、最終的に並んだクリーチャーに放浪者が速攻を与えてドンッといくパターン。
これを成し遂げるためには大量のマナが必要で、そこでこのデッキでは《雲上の座》を用いる。
神座タイプの土地の数だけマナを加えるというこの土地と、《微光地》《ヴェズーヴァ》を組み合わせて、早期ターンに超大量のマナを獲得しようという算段だ。これらの土地を採用したリストは土地の英名より「8post」とか「12post」と呼ばれるものだね。
また、《エルフの再生者》《不屈の巡礼者、ゴロス》《原始のタイタン》と土地サーチクリーチャーも採用し、postの展開をプッシュする。
ゴロスは《世界樹》とのコンボで、これの能力で続唱を持つ巨大生命体を唱えられるのも噛み合っていてクール。
そしてこれらクリーチャーと同じく土地を大量展開するソーサリーが……本当にクールすぎるチョイス、《開墾》だ。
これ、『メルカディアン・マスクス』発売当初に当たったレアで、めっちゃ使いたくなるデザインだけれども、そもそも土地がめくれてくれるかわからないし、相手も土地を得られるしで使い道が見つからなかった1枚なんだよなぁ。まさか2022年に躍動している姿を目の当たりにするなんて、なんだかグッときちゃったね。
レガシーのデッキは軽量カードで構成されているものが多く、ゆえにデッキ内の土地総数を絞っているリストが多く見られる。一方こっちは土地を並べてナンボの30枚構築。だったら《開墾》で一方的に得をするのではないかという、良い意味での開き直りがso cool。
観戦していたゲームではこれによって対戦相手の戦場に《暗黒の深部》と《演劇の舞台》が揃ってしまうという友情コンボも発動していたが、それすらも乗り越えて勝利するというクールすぎるパワフルさには正直、目がくらんだぜ。
クールポイントその2:どこまでも繋げろ、そう無限の明日まで……
《大渦の放浪者》《頂点壊滅獣》、それらを唱えるための《開墾》。ここまででもレガシーという環境で剥き出しの個性、他に類を見ないカードが並ぶリストだが、さらに実況時に困惑させられた1枚がある。《創造の技》だ。
なんだこれは?と、初見の1枚が飛び出てきてテキストどころかカード名が分からず、デッキリストを確認してようやく理解できたほどだ。
『統率者(2021年版)』に収録されているこのカード、「実演」という能力を持っていて、これを唱えた際にコピーすることを選ぶことができる。そうすると対戦相手もこれのコピーをプレイすることになる。
ライブラリーをシャッフルして、土地でないカードが公開されるまでめくってそのカードをマナを支払わずに唱える、という続唱とちょっと似た赤らしい混沌に満ちた処理を行う。
相手がこれで呪文1枚分得をするが、《開墾》と同じく「こちらのデッキの方が重くて強いもん入っているから気にしない」というスタイルだ。2回めくればヤバいもんにヒットするだろうという「レッツゴー!」な精神がクール極まるね。
これから続唱生命体に繋げても良いし、その逆に続唱でこれをオープンすればもう祭りがいつまでも終わらない。
そして最も理想的なヒットは《引き裂かれし永劫、エムラクール》だ。
《創造の技》はマナ・コストを踏み倒しているが、ちゃんと唱えているのでエムラクールの追加ターン獲得能力が誘発する。追加ターンを得れば攻撃して滅殺6で盤面をフッ飛ばして……勝ちってことね。
実際に観戦していたゲームでは、壊滅獣からの大量の《創造の技》に繋がり、長い長い処理の果てにエムラクール降臨、《カラカス》で無限ターン確定という、意識がすべて持っていかれそうな情報量は、もはやブラックホールのそれだった。
クールなまとめ
いやぁ~毎度のことながら、クールでぶっ飛んだデッキに出会うと興奮してしまうね。さらにそれが紙のカードでプレイされている光景とくればなおのこと心に響く。マジック最高、それしか出てこない。
早く大きな会場で沢山のプレイヤーが集まって楽しくやっている会場を練り歩き、クールなデッキを探していたあの日々に戻りたいと、改めて強く感じた週末だった。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Let's cascade!!
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