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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ナヤ・ウルヴズ(スタンダード)

岩SHOW

 早いもので、もう街はクリスマスムードに彩られている。

 クリスマスカラーといえば……白赤緑。降り積もる雪の白、サンタの衣装やトナカイの鼻の赤、そしてツリーやリースの緑。自然とおめでたさを感じられるカラーリングで、なんだか落ち着くね。

 マジックで言えばこの色の組み合わせは「ナヤ」と呼ばれる。アラーラという次元は、それぞれに3色のマナしか存在しない5つの断片に分かれていた。その中で青と黒がない断片の名前から、このカラーリングのデッキを「ナヤ○○」と呼ぶようになった。

 ナヤ・デッキの共通点は、クリーチャーを用いたアグレッシブなデッキであるというところ。白も赤も緑も、昔からマナ総量の小さいクリーチャーの質に優れている色だからね。その象徴とも言える《野生のナカティル》は愛用していたプレイヤーも少なくないだろう。

 ナヤは3色、ということは言うまでもなく2色よりもマナに関してシビアさが増す。土地の構成に余裕がなくなるというか、やはりどうしても3色のうちどれかの色を引けないという事態に陥ってしまうゲームは発生する。

 そのようなリスクを背負ってでもナヤでデッキを組む理由。それは白という色の特性にある。赤緑の2色でも十分に強いアグロデッキは組めるのだが、そこに白を加えるとクリーチャー除去性能が格段に上昇する。《剣を鍬に》《流刑への道》などなど、白の優秀な低コストの除去をデッキに搭載することで、対クリーチャーデッキにおいて道を塞がれて攻撃がストップするという、アグロデッキにとっての致命的なゲーム展開を回避することが可能となる。

 今回紹介するのも赤緑2色でも十分にデッキの形にはなるが、白を加えることで完成度が増したナヤデッキを紹介しよう。「ナヤ・ウルヴズ」だ!

MordhauModsRSoiKeks - 「ナヤ・ウルヴズ」
スタンダード (2021年11月28日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《
4 《落石の谷間
4 《岩山被りの小道
2 《草茂る農地
4 《枝重なる小道
4 《針縁の小道
1 《ハイドラの巣
1 《バグベアの居住地

-土地(22)-

4 《隆盛な群れ率い
4 《群れ率いの人狼
2 《ケッシグの自然主義者
4 《粗暴な聖戦士
4 《無謀な嵐探し
3 《不吉な首領、トヴォラー
3 《結ばれた者、ハラナとアレイナ
4 《移り気な放火魔

-クリーチャー(28)-
1 《蛇皮のヴェール
2 《運命的不在
2 《レンジャー・クラス
2 《髑髏砕きの一撃
3 《群れの希望、アーリン

-呪文(10)-
1 《不吉な首領、トヴォラー
3 《不機嫌な一匹狼
1 《群れの希望、アーリン
1 《結ばれた者、ハラナとアレイナ
3 《蛇皮のヴェール
4 《燃えがら地獄
2 《運命的不在

-サイドボード(15)-
MTG Arena Zone より引用)

 

 現スタンダードにおいて、イニストラード・セットの連打により赤と緑の代表的種族となった狼男、そして狼。『イニストラード:真紅の契り』で《隆盛な群れ率い》という待望の1マナ圏を手に入れて、よりアグレッシブに攻めるデッキを組むことが可能になったところだ。

 これで赤緑2色の狼デッキが組める!と考えたプレイヤーも少なくないだろうし、僕も実際にそう考えてトライしてみた。しかしながら……ちょっとパワー不足を感じたというか、上述のアグロあるあるビタ止まりになりがちだったので、いったん諦めて別のデッキに取り掛かっていた。

 そしてイニストラード・チャンピオンシップ開幕週を迎えた現在(原稿制作時)、上記のリストと遭遇した。そうか、ナヤにすれば良かったんだなぁと、感心した次第。

 白にも狼男はいるし、何だったら最強クラスの1枚じゃないか。そう、《粗暴な聖戦士》!

回転

 戦場に出ればクリーチャーを1体追放する、凄いヤツ。純正2色の狼男デッキが抱えていた問題点を解決してくれる、攻防両面で見て非常に優れたクリーチャーだ。

 これに《運命的不在》も足すことで、デッキの突破力を大きく上昇させ、ゲーム中盤終盤にダレてしまって殴り切れないという事態を防ごうという試みだ。

 聖戦士は狼男なので《不吉な首領、トヴォラー》《ケッシグの自然主義者》といったカードともシナジーを形成。

回転

回転

 問題である3色デッキの運用も、多色土地がそれなりに豊富な現行スタンダードであればなんとか、というところ。色を足すメリットの方が上回っている、実際にプレイしてみて、そんな風に感じたね。

 デッキとしてはアグロなので、何よりもクリーチャーの展開を優先。狼や狼男たちに《無謀な嵐探し》で速攻を付けてスピード勝負では負けないという強きの攻めを見せるべし。

回転

 この嵐探しとともに、スムーズな攻撃を促すのが《結ばれた者、ハラナとアレイナ》。狼でも狼男でもないが、このデッキの隠れた主役だ。

 クリーチャー1体に速攻&自身のパワー分の+1/+1カウンターを置くという、使ってみてわかるぶっ飛んだ能力の持ち主。言うなれば嵐探しと《光輝王の野心家》が合体したようなカードで、ぱっと見「4マナ2/3であんまり強くなさそう」と思っていたプレイヤーにもこう解説すれば彼女たちのポテンシャルが伝わるかなと。

 自身のパワー分の個数のカウンターというのがポイントで、戦闘の開始時に同じくクリーチャーを強化しつつ速攻を与える《無謀な嵐探し》との相性は抜群。先に嵐探しの能力を解決し、パワーを+1するとハラナとアレイナが置くカウンターの数も3個に上昇。これが尋常ならざる破壊力!《群れ率いの人狼》に+1/+1カウンターを3個って、それ単騎アタックでカードを引ける値だぜ?《粗暴な聖戦士》のタフネスを上げてダメージ除去で死亡しにくくするのもゲーム展開を大きく左右する。

 というわけでマナを効率的に使ってクリーチャーを展開し、嵐探し&ハラナ・アレイナで速攻を付けてとにかくテンポ良くダメージを刻んでいくデッキだ。誰にでも扱いやすく、これをそのままコピーしてもすぐにゲームを楽しめるよ! 残りライフが少なくなった相手に突撃していく《移り気な放火魔》の頼もしさったらないね。

回転

 サイドボードにも新狼男である《不機嫌な一匹狼》が。

回転

 自身が受けたダメージ分のダメージを対象に与える、赤によくあるアグレッシブな逆恨み系能力の持ち主である。これがなかなかの曲者で、特に地上で戦闘を行うデッキと除去をダメージに頼っているデッキ相手には、簡単に1対2交換を取ってしまう。もちろん残りライフが少ない相手にとってはブロックもできず、攻撃しようにもブロックされればそれもまた敗北という、解除不能の時限爆弾だ。どんな相手に効果的か、いろいろ考えてみると面白いよ。

 というわけで今回は「ナヤ・ウルヴズ」を紹介させていただいた。白を足すことにより盤面に触れる力を上昇させ、ハラナとアレイナでデッキスピードを高めたナイスデッキだったね。狼男デッキ=赤緑2色にまとめる、あるいは普通の人間カードは使わないということに囚われて、思ったような戦果を挙げていられなかったプレイヤーに響くと良いな。

 もちろん土地がより強力になるヒストリックでもこのアプローチはアリなので、弱点をカバーし長所を伸ばして、より強いデッキで楽しんでもらえれば幸いだ!

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