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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:オルゾフ・エンジェルス~帰ってきた天使は光と闇をクールに司る~(スタンダード)

岩SHOW

 むかしむかし、イニストラードでは夜明けとともに天使の四姉妹が誕生した。

 彼女らはイニストラードの怪物から人間を護る守護天使となった。生きている者を護るのはシガルダ、死んだ者を護るのはブルーナ。そして怪物と戦うのはギセラ。この3名はそれぞれに何度かカード化されているので多くのプレイヤーに知られている。

 では四姉妹の最後の1人は……一番の姉であるリーサだ。彼女は怪物たちと交流し、それらを理解するという方法で人々を守護しようとした。これは他の姉妹とは異質であったため、彼女らから不審がられることはあった。それでも姉妹の関係が壊れることはなかったが……ある日飛来したのは絶対的な正義を重んじる強大な第五の天使、アヴァシン。アヴァシンはリーサの怪物を理解するという道を認めず、最終的にはリーサと彼女の部隊をまとめて滅ぼしてしまった。

 という設定は以前からあったのだが、『イニストラード:真夜中の狩り』で突如としてリーサが本編に登場(かつての姿は『統率者レジェンズ』で見ることができる)。

 クールなキャラクターが帰ってきたことは何を意味するのだろうか。今後の活躍に期待したいところだ。

 リーサは怪物と人間の共存を目指していただけあって白と黒のマナに基づいている。光と闇が合わさっているキャラクターはいつだってクールに見える!

 というわけで今週のCool Deckは《忘れられた大天使、リーサ》というクールなカードを使ったデッキを紹介するぞ! Here we go!

llous - 「オルゾフ・エンジェルス」
Ligue En Melee STD Sept#6 3勝0敗 / スタンダード (2021年9月19日、『ゼンディカーの夜明け』~『イニストラード:真夜中の狩り』)[MO] [ARENA]
9 《平地
5 《
3 《光影の交錯
4 《陽光昇りの小道
1 《フロスト・ドラゴンの洞窟
2 《目玉の暴君の住処

-土地(24)-

4 《若年の戦乙女
4 《正義の戦乙女
4 《スカイクレイブの亡霊
3 《忘れられた大天使、リーサ
1 《不朽の天使

-クリーチャー(16)-
4 《運命的不在
4 《消失の詩句
1 《食肉鉤虐殺事件
4 《ファーヤの報復
4 《シュタルンハイムの解放
3 《エメリアの呼び声

-呪文(20)-
4 《スカイクレイブの影
4 《強迫
3 《黄昏の享楽
2 《魂の粉砕
2 《食肉鉤虐殺事件

-サイドボード(15)-
MTG Melee より引用)

 

このクールなデッキは?

 「オルゾフ(白黒)エンジェルス」! ついにこの時がやって来た、白黒の天使を主役としたデッキの登場だ。

 『カルドハイム』の時点で白と黒で天使デッキを作るパーツは登場していたのだが、前スタンダードでは他のメカニズムに押されて陰に潜まざるを得なかった。

 ローテーションにより多くのセットが抜けた今、何かを失った他のデッキと違って、天使デッキを組むのであればリーサという新戦力が加入してきてむしろ追い風! このクールな好機を逃さずに組まれたのがスタンダードの天使が大集合したこのリストというわけだ。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:天使は攻防自在

 天使でデッキを固めることには利点が大きく分けて2つある。まずその1つは《正義の戦乙女》。

 天使が戦場に出ることでライフを得られるクールな1枚だ。ヒストリックでは《集合した中隊》や数々の軽い天使とクレリックと組み合わせたデッキを成立させているが、スタンダードでもいよいよその本領を発揮することになりそうだ。

 天使のタフネス分ライフを得られて、ライフが初期ライフ総量+7点以上になるとと全クリーチャーに+2/+2修整という攻防一体な1枚。これの軽量版とも捉えられる《若年の戦乙女》と共に戦場にどんどん天使を繰り出すことで優位になっていく、というのが主戦略だ。

 《忘れられた大天使、リーサ》はクリーチャーを展開したところに除去を撃たれてもそれらを手札に戻すことでリスクを軽減してくれるという点、また絆魂を持っているのでシンプルにライフ獲得に貢献するという点で戦乙女と噛み合っていると言える。

 ライフを減らさずに対戦相手を殴り倒す、ビートダウンのクールな理想は天使が叶えてくれるだろう。

クールポイントその2:英雄物語は即ち除去の嵐

 天使でデッキを固めることで得られる恩恵その2は、《ファーヤの報復》のポテンシャルをフルに発揮できるということ!

 この英雄譚は天使・トークンを生成し、その後天使に2回能力を与えるというもの。1枚で自己完結してはいるのだが、これ単体で用いるよりは当たり前だが天使を並べた方が効果は大きいに決まっている。

 すべての天使が二段攻撃を得るⅢ章の効果はゲームを終わらせるポテンシャルなのはもちろんのこと、Ⅱ章の効果が特に強烈。天使をタップすることでそれよりパワーの低いクリーチャーを破壊する、と。これはヤバいでしょう。大抵のクリーチャーデッキはこれにより大打撃を受ける羽目になる。

 で、ここにもリーサが加われば破壊されたクリーチャーは代わりに追放されることになる。死亡時に能力が誘発するものや墓地再利用カードも寄せ付けず、一切の慈悲を持たずに絶滅させる! 彼女自身の方針とはやや異なるような気もするが、実にクールで爽快な光景が拡がること間違いなし。正義を示すのだ。

 他にも白黒は除去に長けており、《消失の詩句》がその象徴と言えるね。

 そこに加わったのが白単色の《運命的不在》。

 これら2マナインスタント2種類でテンポ良く隙なく除去をしていき、《ファーヤの報復》に繋げることで文字通り根絶やしにしてしまえる。

 ここにさらに《食肉鉤虐殺事件》でこちらの天使が被害を受けないよう調整して全体マイナス修整を付けつつ、対戦相手のクリーチャー死亡時に1点回復なんて動きを決めた日には……パーフェクト・クール・ウィンを体感できるに違いない。

クールなまとめ

 滅ぼされ忘れ去られていたリーサがイニストラードに帰還、昼と夜の境界が壊れつつある世界に白黒の天使は何をもたらすのか?

 こちらのクリーチャーの死には慈悲を、対戦相手のクリーチャーの死には無慈悲をもって応える《忘れられた大天使、リーサ》は、白と黒を用いるクリーチャーデッキにおいて良き中堅枠として活躍しそうだ。

 天使というタイプを活かせるこの「オルゾフ・エンジェルス」はスタンダードでどのような地位を築いていくのか、新環境のクールな変遷からは目が離せない。それでは今週はここまで。Stay cool! Find your angel!!

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