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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:黒単オーラ(スタンダード)
今週も私、岩SHOWが個人的に「これはクールだなぁ」と唸ってしまったデッキ、ちょっとした感動を覚えたデッキなどを紹介していく金曜日、「今週のCool Deck」のお時間でございますッ!
毎回毎回、クールなデッキを追い求めているうちに、あれもクールこれもクールと、クールというものが段々と分からなくなってしまいがち。そんな時に自問自答する。クールなデッキとは何か?
その答えはいくらでも出てくる。が、いつも浮かび上がる、なるべく大事にしたいと考えていることもある。ここで紹介するデッキが誰にとってもクールであってほしい、という願いだ。
完全に独断と偏見でクールと感じたものを選んではいるものの、どうせならこれを読んでくれた人もそうだなぁと、共感してくれたら……こんなに嬉しいこともない、というのは言いすぎだけれども、嬉しいよね。誰にとってもクール、という定義で見れば誰にとっても組みやすい、というのは無視できないファクターかもしれないね。お、このデッキ使ってみたいなぁと思った方がスッと組んで試せる、その時点でもうクールな気がするな。
組みやすいデッキというのは、まずデッキに採用されているカードの種類が散っておらず、少なくまとまっていること。そしてコモンやアンコモンが多く、レアは少なめであること。この条件を満たしていれば、かなり構築のハードルは下がるね。パックを剥いて手に入れたカードをベースに、MTGアリーナだったらワイルドカードを使っていくつかカードを揃えれば組める、そんなデッキがあったら誰にでもクールなのになぁ……
なんて、思っていたところ。レアの枚数は10枚、神話レアが2枚。あとはコモンとアンコモンというデッキを見つけた。おぉ、ワイルドカードにとっても経済的!
まあ、そんなデッキが強くなかったり、プレイしていて楽しくなかったりしたらそれはそれでクール度が下がってしまうんだけれども……独自のプレイ感覚と、一定の戦果を望める構築になっていて、勝てるし面白い。おぉ、良いデッキだなぁと。
そしてデッキ名もクールだった。「オーラ」をその名に冠していたのだが、オーラ・デッキと聞くと皆はどんなデッキが浮かぶだろうか。おそらくは『カルドハイム』のルーンを使ったり、《きらきらするすべて》などを自分のクリーチャーにつけることで強化し、大ダメージを与えるタイプのデッキを思い浮かべることだろう。
しかしながら、強化だけがオーラデッキの引き出しじゃない、そんなことを主張するかのような真逆の方向性に突き進んだのが今回のデッキだ。それじゃあ、クールなリストをご覧いただこう!
15 《冠雪の沼》 4 《不詳の安息地》 -土地(19)- 4 《魔王の器》 4 《憎しみの幻霊》 4 《血空の狂戦士》 4 《スカイクレイブの影》 -クリーチャー(16)- |
4 《死の重み》 4 《モーギスの好意》 1 《影槍》 4 《ぬかるみの捕縛》 4 《死住まいの呼び声》 2 《ペラッカの捕食》 4 《死の国への引き込み》 2 《アガディームの覚醒》 -呪文(25)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- |
このクールなデッキは?
現スタンダードのBO1(1本勝負)形式のランク戦に対応したリストだ。その名も「黒単オーラ」!
オーラデッキと言っても、自身のクリーチャーをオーラで強化するのではなく、対戦相手のクリーチャーを弱体化させるオーラを除去として用いる、オーラデッキに陰と陽があるなら間違いなく陰の方のオーラデッキだ。《死の重み》《モーギスの好意》《ぬかるみの捕縛》と計12枚のオーラが、対戦相手の軽量クリーチャーを襲う!
それでは細かく見ていこう。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:オーラである理由
上記のオーラは確かに軽く扱いやすいものではあるが、確実性という面では同じコストのインスタントやソーサリーに比べると落ちる。
《血の長の渇き》《無情な行動》などは対象のタフネスに関係なく破壊する。対してオーラたちは、それがつけられているクリーチャーのタフネスが修整値を上回っていては除去しきることができない。それでも弱体化させることはできるのだが、戦場に残り続ける限りこちらはオーラ1枚分失っているため損していることになる。そういったデメリットの面が目立つオーラを使っている理由は何だろう。
まず、最初のアンサーはこのデッキの相棒。《夢の巣のルールス》だ。
オーラを付けられたクリーチャーのタフネスが0になれば、それは死亡してオーラはこちらの墓地に落ちる。それをルールスの能力を使って、墓地から唱えなおす。これはインスタントやソーサリーの除去にはできない芸当だ。オーラであるということは、ルールスで使いまわせる! 対クリーチャーデッキにおいて、尽きぬ除去で応戦できるというのはクールだ。
そしてもう1つ、クールなクリーチャーがさらなるアドバンテージをもたらす。《憎しみの幻霊》だ。
こちらがコントロールしているオーラがついているクリーチャーが死亡した時、そのオーラ1枚につきカードを1枚引くことができる。対戦相手が1ターン目に《エッジウォールの亭主》を出して来たら、2ターン目に幻霊と《死の重み》で除去して1枚ドロー……テンポも良く、手札の損失もない。
この動き、1ターン目にもすでに幻霊を出していた場合は、2体の能力がそれぞれに誘発するので2枚ドローで手札が増える! これはクールとしか言いようがない。
さらにさらに、幻霊が2体いる状態でタフネス4のクリーチャーを《モーギスの好意》《ぬかるみの捕縛》と2枚オーラの合わせ技で除去したとする。2体が2枚ずつドローさせてくれるので4枚ドロー! 修整値が高くないことが、このように複数のオーラを貼って倒すというアドバンテージの取り方を可能としているのだ。除去をオーラに寄せる、そのクールな理由として十分に足るものだろう。
クールポイントその2:BO1を狙い撃ち
このデッキは紹介時にも触れたようにBO1専用のデッキだ。同じスタンダードと言っても、サイドボーディングありの2本先取形式とBO1とでは環境の様相が大きく異なる。サイドボードで対策されると脆いデッキが、そんなのどこ吹く風とメインのみのゲームを謳歌しているのだ。
というわけでまず多いのは「赤単アグロ」。次いで「ディミーア・ローグ(ならず者)」もかなり多い。1時間BO1をやって、このどちらかにしか当たらなかったということもザラだ。メインでブン回って押し切っちゃおうという開き直ったデッキが強い環境なのだ。
そしてこの「黒単オーラ」は……その両方に強い! そいつぁク~ルじゃないか。軽い除去を多数備えているということで、対戦相手が序盤からクリーチャーを出してくるデッキは好都合。オーラを投げつけて相手の攻め手を失わせ、幻霊とルールスでアドバンテージ差をつけて引き離す。タフネス3以下のクリーチャーは根絶やしすることが可能だ。
ならず者デッキはこちらのライブラリーを切削してくる。これもこのデッキにとっては好都合だ。ルールスデッキは墓地を利用してナンボで、これと相性抜群のカードが採用されている。《魔王の器》だ。
これを墓地から唱えたり戦場に戻すと、器からデーモンに昇格して5/5飛行のトークンになる。これを墓地に落とすには、相手の攻撃をブロックしたり《モーギスの好意》を貼ったりして死亡させる必要があるのだが、相手がこちらを切削してくれるということは勝手に墓地に落ちるということ。それをルールスから唱えたり《死住まいの呼び声》《アガディームの覚醒》で戦場に戻すことでデーモンが立ちはだかる。ご馳走様と、クールにいただこうじゃないか。
《スカイクレイブの影》も墓地から唱えられるので、とにかく切削は大歓迎。相手のクリーチャーは除去し、こちらは提供されたカードでクリーチャー展開。ならず者デッキ側からしたらたまったもんじゃないだろう。
ただ、それらアグロデッキ相手には強いものの、コントロール相手には苦戦を強いられる。BO1という形式が良くも悪くも勝率には大きく作用している。BO3であれば、コントロールデッキ相手に無意味な弱体系オーラをクリーチャーなどの有効なカードと入れ替えることもできるが、メイン1本のみ出たとこ勝負だとどうしようもない。
まあ、端からコントロールに勝つ道を捨てたことで対アグロを勝てるようにしているデッキなので、それらに負けることをあまりクヨクヨ考えずに済むのは精神衛生的にもクールだ。一応は《血空の狂戦士》を育て上げて殴るという形で勝負できなくもないので、対戦相手の相棒が《空を放浪するもの、ヨーリオン》だった際には積極的にマリガンしてこれを探しに行けばまだチャンスはあるかも。
クールなまとめ
「黒単オーラ」はデッキを組むハードルが低く、それでいてさまざまな小技で相手を追い詰めることが出来る、奥が深くて楽しいデッキだ。
《夢の巣のルールス》は1枚あればルールス系のデッキが組めるので、これを手に入れておけばさまざまなデッキに挑戦することが可能だ。スタンダードやヒストリックにおける最もクールなカードの1つなので、ワイルドカードで作っておくといろいろ楽しめること間違いなしだ。
その中でもこの黒単は2色土地など必要としないので、スタートにはもってこいだろう。オーラデッキの固定観念を取り払ってくれたり、仮想敵を絞ることで勝率を高めるなど、クールなポイントにもあふれていたね。
それじゃあ今週はこの辺で。Stay cool! Put auras!!
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