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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ゴルガリ・ワーム:BO1は別のゲーム?(スタンダード)

岩SHOW

 皆は普段、マジックをどう遊んでいるだろうか。

 MTGアリーナを用いている、という返事はかなりの割合を占めるだろう。家で、気軽に、時間を選ばず、対戦相手も自動的に見つかる……これらがアリーナの良いところ。対戦相手と面と向かってコミュニケーションをとりながら、カードを実際に引くという行動を伴いながら、というテーブルトップの良さはそこにはないが、学生や社会人が空いた時間にサッと遊んでサッと終われるアリーナは良いものだ。

 では、そのアリーナの中でどう遊んでいるか、という質問に対するアンサーはどうなるだろう。これは結構割れると思うね。構築かリミテッドか、当コラムに関係のある構築でもスタンダード・ヒストリック・ブロール・イベントでの特殊な構築……と多岐にわたる。同じスタンダードでも、パックを剥きまくって組んだガチガチの強力デッキか、毎日コツコツ集めたカードで組んだカジュアルなものかでも趣は異なる。

 さらに、スタンダードで遊ぶにしても、ただ単にプレイしているのか、何かしらのイベントに参加するのか、それともランク戦に挑んでいるのか、と少なくとも3つのパターンがある。最も多いであろうランク戦という答えでさえも、その先には通常のランク戦とマッチ形式のものとの二択となる。マジックの遊び方、いっぱいあるねぇ。

 おそらく、長きにわたりマジックを遊んでいるプレイヤーはこの二択で後者を選んでいることだろう。マジックの基本とも言える、2本先取制で2ゲーム目以降はサイドボードを用いるルールだ。

 これに対して、マッチでない方のランク戦は一本勝負。BO1とも呼ばれ、古くからのプレイヤーには馴染みの薄い形式である。先手後手の勝率差やデッキ同士の有利不利を考えた場合、どちらのプレイヤーも必ず先手番が得られてサイドボードで苦手を克服できるマッチ形式はマジックを遊ぶ上で優れた形であり、こちらの方をより好むというプレイヤーはかなり多い。

 ただBO1ならではの魅力はあり、アリーナ世代にとってはこちらの方が最初に触ったために思い入れが強いというプレイヤーも少なくないだろう。BO1はマッチ形式のスタンダードとは、同じフォーマットとはいえど環境は少々異なる。一本勝負だからこそ、ブン回ってそのまま押し切って勝ち逃げを決めようというアグロデッキ、ないしはサイドボードで対策されると脆いがメイン戦では暴れ回れるという類のデッキが多く使用される傾向にある。

 だからといって遅いデッキにはチャンスがないというわけではなく、仮想的が絞り込みやすい分しっかりと狙い撃てる構成にすれば大勝ちも夢じゃない。

 今日はミシックランクに到達したBO1の遅いデッキを紹介しよう!

uebelst4r - 「ゴルガリ・ワーム」
スタンダード(BO1) (2020年11月2日)[MO] [ARENA]
5 《
5 《
3 《疾病の神殿
4 《インダサのトライオーム
2 《ロークスワイン城
2 《寓話の小道

-土地(21)-

2 《漁る軟泥
2 《残忍な騎士
1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス
4 《カタカタ橋のトロール
3 《虐殺のワーム

-クリーチャー(12)-
4 《血の長の渇き
4 《無情な行動
4 《精神迷わせの秘本
3 《狼柳の安息所
4 《絶滅の契機
4 《変わり樹の共生
4 《怪物の代言者、ビビアン

-呪文(27)-
CG | uebelst4r氏のTwitter より引用)

 

 デッキ名はずばり「ゴルガリ・ワーム」! 黒と緑のカードでコントロールし、ワームで勝負を決めるデッキだ。ワームとは《虐殺のワーム》!

 対戦相手のクリーチャーすべてに-2/-2修整を与え(この時の背びれで引き裂くエフェクトがたまらない)、相手のクリーチャーが死亡するたびに相手のライフを攻める。防御的かつ攻勢に転じる一手を担う名カードだ。

 アグロデッキ、すなわち小粒なクリーチャーを展開して殴るというデッキが多いBO1の、それらを丸ごとワームで飲み込んでやろうというのがコンセプト。黒の優秀なインスタントとソーサリーを用いてクリーチャーを除去し、1体出しただけではすぐに潰されてしまうことを嫌って相手が複数展開したところをワームでかっさらう。後はワームや《怪物の代言者、ビビアン》のトークンなどで戦場を制圧して終了。このずっしり感、そそられるよね?

 《虐殺のワーム》は実にパワフルで、これの効果をより高めたり、あるいはクリーチャーをほとんど使ってこない相手にも機能するようにしたくなる1枚だ。そのための相棒的存在が《カタカタ橋のトロール》。

 5マナ8/8トランプル速攻とスペックだけ見れば超優秀、なのだが相手にクリーチャーを生け贄に捧げられると戦闘前にタップしてしまう。その場合でもライフ回復と1枚ドローをもたらしてくれるので無になるわけではないが、そもそもこれが戦場に出た際に相手に0/1のヤギを3体もプレゼントしてしまうというデメリットがなかなかに大きい。

 だが、これはワームデッキにとってはなぎ倒す標的が増え、その分ライフを失わせられるということでもある。《怪物の代言者、ビビアン》の[-2]能力を起動し、ワームを唱える。ビビアンの能力により点数で見たマナ・コストが1小さいトロールをライブラリーから戦場に出し、相手にヤギをプレゼント。そのままそのヤギを含む相手のクリーチャーをワームが喰らう! ライフが減ったところにトロールが走る! これで一瞬でカタを付けることができてしまうのだ。相手の戦場にタフネス2以下のクリーチャーのみがおり、その数が3体以上だった場合、このコンボだけで20点のライフを削り切れてしまう。ワーム×トロール=ワンショット!

 黒単色でも組めるデッキではあるが、ビビアンを用いつつマナを伸ばすために緑を使っているのがこのデッキの冷静な一面と言える。BO1で妨害要素の薄いクリーチャーデッキとばかり当たる場合は有力な候補となるね。

 この手のデッキが成立している背景には《精神迷わせの秘本》の存在も大きい。

 手札が増えるだけでなく、ライフも回復できる便利なアーティファクトで、マナを支払わずにタップするだけで占術ができるのもかなり偉い。相手にボコスカ殴られているときには2マナ払ってドローしている暇もないので、躊躇せずに占術で欲しいカードを探しにいきながら4点のライフをいち早く得て、こちらの土俵となるロングゲームへと持ち込もう。

 BO1のみならずマッチ戦に持ち込んでも活躍するタイミングもあるかも? 気になった人は調整してみよう。

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