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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

白単ミッドレンジ:軍団、サイドボードより出撃!(スタンダード)

岩SHOW

 マジックの5つの色にはそれぞれ、さまざまなイメージ、役割が与えられている。思想や理念など各色のそれは大きく異なり、それゆえに多元宇宙の住人たちは争うのである。

 白という色のイメージはどうだろうか。マナ・シンボルに描かれているのは太陽、それによりもたらされる光こそ白の力の源。信仰に基づく、神聖なる力で邪なるものを打ち払う。力なき者を助け、強き者を処罰し平等をもたらす。人間をはじめとした、集団による結束を武器にする。何よりも正義を重んじる。こんなところだろうか。

 では『ゼンディカーの夜明け』からあるカードのフレイバー・テキストを紹介しよう。

「こちらは多勢で、しかも正義だ。」

 数と正義を司る、実に白らしい一言だ。このちょっと危うい、盲信的な感じも白っぽさを感じて実に良い。

 この台詞を口にしているのは天使。《軍団の天使》だ。

 イラストも美麗で、まさしく正義の使者という趣があってカッコイイ。このカードは4マナ4/3飛行と攻めに優れたスペックをしており、それだけでも強いのだが、おまけがなかなか面白い。軍団の名の通り、同名のカードを探してきて手札に加えるのだが……その探してくる先が「ゲームの外部」なのだ。一般的に遊ばれているルールで言うところのゲームの外部とは、サイドボードのことである。

 このカードを手に入れて使いたい、でもゲームの外部ってどういうことかわからない! そんな初心者プレイヤーは、これを機にメインデッキとともにサイドボードも用意して遊んでみるのが良いんじゃないかな。

 マジックの通常のマッチというものは、先に2ゲーム先取したプレイヤーが勝者となる。メインデッキでの対戦が終わったら、それとは別に用意した15枚までのカードの中から好きなカードをメインデッキに追加、あるいはメインデッキからカードを抜くことができる(この際にデッキが60枚未満になってはならない)。そうやって対戦相手のデッキに対してより有効な形にデッキを変形させて残りのゲームを戦うのである。

 そしてこのサイドボードは、相手への対策手段を用意するだけでなく《軍団の天使》のような特殊なカードのストック先にもなる、というわけだ。今日はこの数と正義で白を体現し、サイドボードを活用する天使を用いたデッキを紹介しよう!

Tom - 「白単ミッドレンジ」
スタンダード (2020年10月4日)[MO] [ARENA]
18 《平地
3 《アーデンベイル城
-土地(21)-

4 《尊い騎士
3 《巨人落とし
3 《無私の救助犬
4 《光輝王の野心家
4 《歴戦の神聖刃
2 《群れの番人
4 《スカイクレイブの亡霊
2 《エメリアのアルコン
2 《軍団の天使
-クリーチャー(28)-
3 《ガラスの棺
1 《カビーラの叩き伏せ
1 《マキンディの暴走
2 《エメリアの呼び声
4 《スカイクレイブの大鎚
-呪文(11)-
1 《巨人落とし
2 《封じ込める僧侶
2 《ラバブリンクの冒険者
1 《エメリアのアルコン
2 《軍団の天使
2 《悪斬の天使
2 《存在の破棄
1 《ガラスの棺
2 《忍耐の偶像
-サイドボード(15)-
Tom氏のTwitter より引用)

 

 デッキカラーも白単色ということで、そういう意味でも初心者には組みやすいデッキだろう。《尊い騎士》《歴戦の神聖刃》といった低マナ域における打点の高いクリーチャーを採用し、自分から攻撃していくスタイルのデッキだ。

 そのようなデッキで白単とくれば、手札がすぐに尽きてしまい、攻め手が無くなってしまう「息切れ」と形容される状況に陥りがち。この弱点をカバーするのが手札を増やす《軍団の天使》というわけだ。

 ただドローするというわけでなく、手に入るのが確定で4/3飛行というのは大きい。しかもサイドボードに2体控えさせているので、最初に持ってきた1枚でさらに2枚目も連れてくることも可能だ。この天使の存在により、序盤に必死になってダメージを刻むというよりはやや余裕をもってゲームを進めることができる。なので3マナ以上のカードも多数採用し、相手への妨害も行いながら攻撃していくデッキになっている。

 妨害要員として最たるものは《スカイクレイブの亡霊》だ。

 4マナ以下の土地でないパーマネントを追放できる、ということでスタンダードにおける強いカードのほとんどに対処が可能だ。白には昔からこの手の追放能力を持ったクリーチャーやエンチャントがいくつかあり、それらのほとんどはそれ自身が戦場を離れると追放していたパーマネントが戦場に戻ってきてしまうという弱点を抱えている。亡霊もこの例に漏れないのだが……ちょっと話が異なる。

 《スカイクレイブの亡霊》には追放したパーマネントが戻ってくる代わりに、それの点数で見たマナ・コストに等しいサイズのイリュージョン・トークンが相手の戦場に生成される、という形のデメリットが付与されている。クリーチャーをどかしたはずがトークンになって戻ってくる、というのは対処に失敗しているように見えるが、考えようによっては危険な能力を持ったものを何の能力も持たないトークンにしてしまえるので、結果的に除去しているのと同じと見ることもできる。地上にトークンが出てきたところで、《スカイクレイブの大鎚》を装備して飛行を持ったクリーチャーで殴ればそこにいないも同然。そんなわけでデメリットを気にせず、手に入れたらガンガン使ってほしい強力レアだね!

 そして、このデッキの《群れの番人》は状況次第でさまざまな仕事をこなすナイスカード。

 出来事の《安全への導き》として唱えることで、さまざまなパーマネントを戦場から手札へと回収する。除去の対象となったり戦闘で負けてしまうようなクリーチャーを救出する、《ガラスの棺》《スカイクレイブの亡霊》を使いまわしてよりヤバいクリーチャーなどに対処、2回以上行動したいときに自分の《エメリアのアルコン》をどかす、《巨人落とし》を《切り落とし》として唱えるために戻す……などなど。

 中でも目を引くのは、土地を戻すという行為。序盤はマナを伸ばすために土地としてプレイした両面カードを手札に戻すことで、呪文として唱えるなんて動きもできてしまうのだ。《エメリアの呼び声》をはじめとするカードを状況に合わせて戻し、ゲームを有利に導く1枚として唱えよう。

 《スカイクレイブの亡霊》をはじめ、優秀なクリーチャーを展開して戦う白単。このデッキはまさに中速、いわゆるミッドレンジと呼ばれるデッキになる。ここからもっと軽量クリーチャーとそのサイズを高めるカードに固めダメージを通していく短期決戦の方向に特化すればアグロに、どっしりと構えて盤面を我がものにする長期戦を目指すのであればコントロールに、それぞれデッキを調整することで変形させることができる。

 デッキの方向性に迷った時は、こういう万能なデッキでプレイを重ねて、いま自分が求めているスタイルや環境に合った構成へと組み替えていく、という楽しみ方も良いかもね。

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