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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラクドス脱出:マグマとクロクサ(スタンダード)
最近は本当にオンラインで行われるトーナメントが盛んだ。マジックのデッキ構築の進化、環境の探究というものはやはりトーナメントがあってこそのものである。
なんでもないフリープレイやランク戦でまったり遊ぶ分には、1回負けたくらいでそこまで深く考えることもなく「今日は結構負けちゃったなぁ~また明日デッキの悪いところを見直そう」というようなスタンスで問題はないが、トーナメントに参加するとそうはいかない。勝てば得られるものがある、せっかくの時間や参加費などのコストをかけているのだからぼろ負けはしたくない、否、するわけにはいかない。だからこそデッキ選びは真剣になり、トーナメントに参加する前に入念に調整を行い、完成度を高める。
そしてトーナメント優勝などの上位成績を収めたデッキはそのままオンラインで公表される。そこから得たデータを元に、次なる戦いに備えてプレイヤーはデッキを磨いていく。
オフラインしかなかったころは週末にしかトーナメントがなく、1週間かけてこのサイクルが行われていたようなものだが、オンラインでは場所などの制約がないので毎日のように大小さまざまなイベントが開催されている。1日でデッキ究明の速度がグイグイと上がっていく、そんな世界で我々は今マジックをしているのである。
というわけで、今回はオンライントーナメントで優勝したスタンダードのデッキを1つ紹介しよう。
6 《沼》 4 《山》 4 《悪意の神殿》 1 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(19)- 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《マグマの媒介者》 4 《ぬかるみのトリトン》 4 《砕骨の巨人》 2 《残忍な騎士》 2 《悪ふざけの名人、ランクル》 2 《峰の恐怖》 -クリーチャー(22)- |
3 《血の長の渇き》 2 《棘平原の危険》 2 《無情な行動》 1 《切り裂かれた帆》 4 《ティマレット、死者を呼び出す》 2 《ハグラの噛み殺し》 3 《髑髏砕きの一撃》 1 《アガディームの覚醒》 1 《死者を目覚めさせる者、リリアナ》 -呪文(19)- |
3 《スカイクレイブの影》 1 《エンバレスの盾割り》 3 《夜鷲のあさり屋》 1 《アゴナスの雄牛》 1 《魂標ランタン》 1 《塵へのしがみつき》 3 《苦悶の悔恨》 2 《切り裂かれた帆》 -サイドボード(15)- |
赤黒の中速デッキ、この色と言えば《死の飢えのタイタン、クロクサ》。
このデッキにおいてもクロクサは主役であり、このタイタンを使って相手の手札とライフを攻める。クロクサを使うのであればやはり脱出させてナンボ、つまりは能動的に墓地にカードを貯める工夫をデッキに用意した方が強く使えて、このデッキにもそうした工夫が見られる。自らのライブラリーを切削するのが最もわかりやすく効率も良い。
《ぬかるみのトリトン》《ティマレット、死者を呼び出す》を用いてそれを行うわけだが……これ、どうせならクロクサ以外にも墓地にカードが貯まることに意味を持たせたくなるものである。デッキに4枚しか入れられない以上、どうしてもクロクサにたどり着けないこともある。そんな時に他にも活かせるカードがあるかどうかでデッキの強さは変わる。そこで白羽の矢が立ったのが……新カード《マグマの媒介者》だ。
自分の墓地にインスタントかソーサリーが4枚以上あれば4/4にサイズアップする能力を持っている。2マナでこのサイズは破格だ。早期にこれを達成できれば一気に勝負を決めることもできるだろう。
この構成は他の新カードによってもプッシュされている。《マグマの媒介者》のためにインスタント or ソーサリーをデッキに多数採用したいが、その枚数はある程度限られてしまう。そのデッキ構築の限界を取っ払うのが、第1面が呪文、第2面が土地の「モードを持つ両面カード」である。
これらを土地として採用することでただの土地の枚数を抑えることができる。そうなると切削した際に土地ばかりが落ちて媒介者が育たない、という状況を防ぎやすくなるのだ。序盤は土地として置いて使えるマナを確保し、ゲーム展開によっては呪文として用いる。その大半が除去なので相手のクリーチャーを潰していくのは得意だ。状況によっては媒介者の能力で捨てて、他のカードに変換するというのも手だろう。モードを持つ両面カードは墓地では第1面を参照するので媒介者のためのカウントも進むし、もちろんクロクサの餌にもできる。
相手のクリーチャーを除去しつつデッキを切削し、媒介者やクロクサを利用、《峰の恐怖》や《死者を目覚めさせる者、リリアナ》などで盤面を支配してゲームエンドというのが理想的な展開だ。
単純にクリーチャーを1枚1枚出してくるデッキに対しては滅法強い。そうでないデッキ、コントロールなどに対しては除去が無駄になってしまうのでこの枠を少々入れ替える必要がある。そのためにサイドボードにカードが用意されているが、中でも面白いのは《スカイクレイブの影》。
2ターン目に出てくるパワー3として優秀な攻め手となってくれるだけでなく、上陸でしぶとく再利用できるイカしたヤツだ。墓地から唱えられる、ということは切削で墓地に落とせばその分手数が増えるということになる。キッカー・コストを支払えばパワーは5まで成長するし、除去が多い相手に対しては土地は大事に運用して《スカイクレイブの影》を上手く使えるように心がけよう。《寓話の小道》を置いて起動せずにとっておく、とかね。
こういった墓地を用いるデッキは使えば使うほど手に馴染み、引き出しも多くなる。ちょっとした枚数調整で印象もガラリと変わるものなので、ちょっとプレイしてみて気に入ったらとことん自分に合う形にカスタマイズしてみるのも良いかもしれない。《墓掘りの檻》や《虚空の力線》などの強力墓地対策がスタンダードを去った今こそが、使い時なのかもしれない……が、《漁る軟泥》には今後とも注意が必要だ!
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