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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
サイクリング・ゴジラ(ヒストリック)
ある日のこと。環境が変化することでどんなデッキが活躍するのか、当コラムを書くにあたって検証してみたいことなどもあったので、MTGアリーナでヒストリックをプレイしていた。
ランク戦で勝って敗けてを繰り返し、あぁやっぱりアグロデッキが多いんだなぁ、とかそういうことを実感していた時のこと。ある対戦相手が未知の戦術を披露してきたのだ。
そのデッキは、赤緑白の3色、いわゆるナヤ・カラー。こちらのクリーチャーを《轟音のクラリオン》などで除去され、その返しで盤面を再展開して……というところで事件は起こった。突然、ビルほどの高さの巨大生物が現れ、踏み潰されて負けてしまったのである。粉微塵だ、完敗だ。一瞬にしてすべてを破壊し尽くした、あれは正真正銘の怪獣の王だった。早くも夏に差し掛かり気温も高い昼下がり、だというのに冷や汗をかいて震えている自分がいた(嘘)。
こ、こんなデッキ…使ってみたい! 自分も怪獣王を降臨させたい! その動きはまさに予測不能だったが、見えた部分から推測だ。俗に言う目コピでそれに近い形にはなったと思う。
そんなわけで、今回は完成されたデッキリストというわけではなく、アイディアのたたき台を見てもらう形になる。それじゃあ早速、これがそのリストだ!
3 《森》 2 《山》 2 《平地》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《根縛りの岩山》 1 《奔放の神殿》 2 《寺院の庭》 2 《陽花弁の木立ち》 1 《豊潤の神殿》 3 《聖なる鋳造所》 2 《断崖の避難所》 2 《寓話の小道》 -土地(26)- 1 《力の具現、ジローサ》 1 《殺戮の暴君》 4 《さまよう怪物、イダーロ》 2 《太陽の化身、ギシャス》 1 《原初の夜明け、ゼタルパ》 4 《タイタノス・レックス》 1 《原初の災厄、ザカマ》 1 《原初の飢え、ガルタ》 -クリーチャー(15)- |
3 《恐竜との融和》 4 《雷群れの渡り》 3 《轟音のクラリオン》 4 《空の粉砕》 1 《嵐の怒り》 4 《予測不能な竜巻》 -呪文(19)- |
恐竜・恐竜・恐竜! 古代のロマンあふれる巨大生物たちが並んでいるだけでもテンションが上がるが、このデッキは恐竜よりもさらに上位の怪獣、その王である……《逃れ得ぬ災厄、ゴジラ》!《原始の王者、ゴジラ》!《怪獣王、ゴジラ》! 全ゴジラが集結したゴジラデッキなのであるッッ!
いや~これは良い歳したおっさんがはしゃいでしまうのもしょうがないよ。今までゴジラを各々使ったデッキはプレイしたことがあるが、すべてを一堂に集結させるという貪欲なスタイルは実行したことがなかったんでね。
このデッキは……《怪獣王、ゴジラ》はまあ雰囲気重視の枠なのだが、残り2種のゴジラに共通した能力にフォーカスして作られている。サイクリングだ。
通常のコストは重いが手札から捨てることでカードを引ける、便利な能力を持っているわけだが、これを怪獣王が目覚めるための引き金にする。《予測不能な竜巻》と組み合わせるのだ。
このエンチャントはサイクリングのカードを引く部分を、サイクリングしたカードと同じタイプの呪文を唱えることに置き換える。何が唱えられるかはライブラリーから公開されたもの、すなわちランダム、運任せになるわけだが、構築段階で工夫することである程度そのターゲットを絞り込むことができる。クリーチャーであるゴジラをサイクリングすることで、巨大なクリーチャーを叩きつけるという算段だ。ゴジラからゴジラがめくれてよし、その他の強烈な恐竜がめくれてもよし。
恐竜で統一しているのは単純にサイズに優れているというのもあるが、《太陽の化身、ギシャス》の爆発力を高めるためだ。
ゴジラ・カードはすべて恐竜であり、これらのカードをサイクリングして恐竜の親玉であるギシャスを降臨させ、その能力でさらに恐竜を呼び出して戦場を焼け野原にしてしまうのだ。このコンボを決められた時には、敵ながら天晴れと胸が躍ったものである。
恐竜のチョイスはどれも一長一短でなかなか難しいが、個人的には《原初の夜明け、ゼタルパ》と《原初の災厄、ザカマ》は外せないかな。
ゼタルパは能力の宝庫で打点も高く、破壊不能があるので安心して次のターンを迎えられる。ザカマはサイズに優れているのはもちろん、能力がムチャクチャ。《予測不能な竜巻》はサイクリングのドローを「唱える」に置き換えるため、ザカマを唱えた時に土地をアンタップできる能力が誘発するのだ。こうして起こした土地から得たマナで、3点ダメージをばら撒いたりアーティファクト or エンチャントを破壊して盤面を掃除し、3点回復してライフを安全圏に持って行くのだ。コイツが出てくればクリーチャーデッキ相手には勝ったと思って良いね。これぞまさしく災厄。
サイクリングからのゴジラたち恐竜のなだれ込みは気持ちいいが、それは早いターンに決められるものではない。デッキのクリーチャーが恐竜で統一されている点を活かして《雷群れの渡り》で土地を増やし、《轟音のクラリオン》《空の粉砕》《嵐の怒り》などの除去で盤面を流す。
そうやって耐えた先に、《予測不能な竜巻》からカタルシスが待っている。生き延びることは重要なので、単体を潰す軽い除去を増やすと良い形になりそうだ。幸い、ヒストリックには候補が多いね。《移動経路》のようなサイクリング付きのソーサリーを採用することで竜巻後に除去にアクセスできるルートを用意するのも面白いが、少々運任せではあるか。
サイクリングからギシャスたちが飛び出し、戦場が大怪獣で支配される光景は壮観そのもの。《予測不能な竜巻》はうまく構築してその進路を予測可能なものにしてやることで、とてつもない力を発揮する可能性に満ちている。各々のサイクリングライフを楽しんでほしいね!
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