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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

新たな視点、新たなサイクリング(パイオニア)

岩SHOW

 マジックは積み重ねが生み出す妙を楽しむゲームである。最新のカードが古きものたちと邂逅し、新たなデッキの歴史が始まるのだ。

 『イコリア:巨獣の棲処』では過去と繋がるキーワード能力が再録されている。ご存知サイクリングだ。

 サイクリングの初出は『ウルザズ・サーガ』、実に20年以上前のセットである。これ以降、定期的にサイクリングを持ったカードと、サイクリングを使用すると得をするカードがさまざまなセットに収録されてきた。効果が限定的だったり、コストが重くて序盤では役に立たないカードなんかがサイクリングを持っているだけで「とりあえずドロー」に置き換わってくれて無駄になりにくくなる。デッキが潤滑に動かない、いわゆる事故を回避するために役立つ能力で多くのプレイヤーに好かれている。

 前回サイクリングが登場したのは『アモンケット』ブロック。その時には、サイクリングがデッキをスムーズに回す手助けどころか、完全に主役になったデッキも登場した。

 《新たな視点》というサイクリング・コストを{0}にしてしまうエンチャントの登場で、好きなだけサイクリングすることが可能になった。

 その上で《葬送の影》でサイクリング・カードをごっそりと回収し、延々とライブラリーを引き進む。サイクリング時に《砂時計の侍臣》や《シェフェトのオオトカゲ》の能力で土地をアンタップしたり戦場に出すことでマナを得る。

 《副陽の接近》を唱えるマナを確保したら、唱えたらサイクリング連打ですぐさまもう一度手札に加えて二度目を唱えて勝利と相成る。その勝ち方の特異性からも人気を博したデッキだった。

 これらのパーツは丸ごとパイオニア環境にあるので、『イコリア』からの新規サイクリング・カードも加えて新《新たな視点》デッキを作ろうとしているマニアックなプレイヤーもいるはずだ。

 僕も考えてみたので、参考になれば幸いってことで紹介させてもらおう!

岩SHOW - 「新たな視点」
パイオニア (2020年4月)[MO] [ARENA]
1 《平地
1 《
1 《
2 《
1 《
2 《インダサのトライオーム
2 《ラウグリンのトライオーム
2 《ゼイゴスのトライオーム
1 《サヴァイのトライオーム
1 《ケトリアのトライオーム
2 《氷河の城砦
1 《孤立した礼拝堂
1 《硫黄の滝
3 《繁殖池
1 《内陸の湾港
1 《森林の墓地
-土地(23)-

3 《ドラニスの刺突者
2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《砂時計の侍臣
4 《シェフェトのオオトカゲ
3 《さまよう怪物、イダーロ
-クリーチャー(14)-
4 《成長のらせん
4 《葬送の影
3 《恰好の餌食
4 《新たな信仰
2 《移動経路
4 《新たな視点
-呪文(21)-

 とりあえずサイクリングを持っているカードの中でも目玉といえば、トライオーム!

 複数色を用いるデッキにおいて、タップインとはいえ3色土地の存在は大変に有難いもの。かつサイクリングで《新たな視点》設置後も邪魔にならない土地ってのは偉いよ、偉い。

 他にもサイクリング・カードは多数登場したのだが、このリストでは《ドラニスの刺突者》に注目してみた。

 これ自身がサイクリングを持つのはもちろんのこと、戦場に出ればサイクリングするたびに1点ダメージを飛ばすダメージ源となる。つまりは、これを出して20回サイクリングすればゲームに勝てるのである。2体以上並べばもっと少なくても済む。これを新たな勝ち手段に据えて、怒涛のサイクリング連打を目指すのだ。《葬送の影》からグルグル回して、マシンガンのように相手のライフを削り切ろう。

 追加の勝ち手段的に《さまよう怪物、イダーロ》も使ってみたくて投入してみた。

 1ゲーム中にこれを4回以上サイクリングすれば、戦場にイダーロ本人を出せるという面白いカードである。8/8速攻トランプルとダメージもしっかり弾き出せる。これまた新サイクリングカードである《ひっかく鉤爪》で二段攻撃を与えてやるというプランも考え付いたので、ガツンと叩き込むヘビーな一撃を味わいたいプレイヤーには勧めておこう。

 キーカードとなる《新たな視点》は6マナと重いカードである。これを運用するには普通に土地を置いていては間に合わないので、1ターンでも早く戦場に出すために《シェフェトのオオトカゲ》や《成長のらせん》が役に立つ。

 《移動経路》を撃てば次のターンにはコンボを始動できるはずで、これもまたコンボが始まったらサイクリングとしてグルグル回ってくれる便利な1枚。

 土地伸ばし役でありライフも回復、《新たな視点》によってサイクリング・コストが{0}になる条件のために手札を減らしたくないという悩みにも1枚ドローで応える《自然の怒りのタイタン、ウーロ》も採用してある。

 コンボが決められない状況になっても、サイクリングで捨てたカードを餌に墓地から脱出させて、イダーロと一緒に勝ち手段になってもらおう。

 サイドボード用のサイクリングとしては《萎れ》や《障壁突破》などのパーマネント除去が新戦力として加わっている。

 特に《障壁突破》は破壊不能を持っていて対処しにくい《太陽冠のヘリオッド》も追放してしまえるので効果大。《太陽に祝福されしダクソス》なんかとともに吹き飛ばせればホクホクだ。サイドから対抗カードを入れてしまうと、サイクリングが薄れてしまうというジレンマがだいぶ解消される。

 ソリティア的な動きを好むプレイヤーには特にオススメしたいデッキだ。従来の副陽タイプで組んでも《恰好の餌食》などの細かいところが加わったことで選択肢が増えてより楽しいものになっていることだろう。

 《新たな視点》でなくとも《サヴァイの雷たてがみ》や《繁栄の狐》のようなサイクリングと強烈なシナジーを形成するカードも新登場しているので、とにかくカードを引きたいプレイヤーはいろいろ試してみてね!

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