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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
覆されたカード評価(パイオニア)
影のなか、すべてが変化した。
本日の主役のフレイバーテキストである。
トーナメントシーンにおいて、カードの評価というものは一定ではなく、ちょっとしたことで大きく変動する。使用用途が不明なデザインだったものが、あるカードの登場で勝利へと直結する1枚へと変貌する……コンボが成立するようになれば、昨日までのネタカードが今日の主役にランクアップだ。
先日、名古屋にて開催されたマジックフェストでも、これまでスポットライトを浴びることなく影の中にいた1枚が、プレイヤーズツアーの最大勢力を誇るデッキの中核となり、上位にもその名を連ねることとなった。これだからマジックは面白い。
世間の評価が変化した1枚とは《真実を覆すもの》。
4マナ6/6飛行と恵まれたスペックの持ち主であるが、少し特殊な能力を持っている。自分のライブラリーをすべて追放し、墓地にあるカードをライブラリーと置き換える。墓地に強いカードのみが少数あれば密度の濃いライブラリーを作って、その後のドローに期待が持てる。ただしその枚数が極端に少なかった場合、カードが引けなくなって負けるというリスクが高まるため、デメリット能力であるとも言える。
ゆえに登場から今日に至るまで扱いにくいカードとして認識されていたのだが、『テーロス還魂記』のリリースにより、その能力は敗北どころか勝利への道筋へと化けたのである。
6 《島》 3 《沼》 4 《湿った墓》 2 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《詰まった河口》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《タッサの神託者》 4 《真実を覆すもの》 -クリーチャー(8)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 4 《選択》 2 《海の神のお告げ》 2 《検閲》 2 《湖での水難》 2 《思考消去》 4 《時を越えた探索》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(27)- |
1 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《正気泥棒》 1 《墓掘りの檻》 1 《喪心》 1 《減衰球》 1 《軍団の最期》 1 《究極の価格》 3 《神秘の論争》 2 《衰滅》 1 《最後の望み、リリアナ》 2 《悪夢の詩神、アショク》 -サイドボード(15)- |
《タッサの神託者》はその能力の解決時に、自身の青への信心よりもライブラリーの枚数が少なければその場で勝利と相成る。
2マナと軽い神託者に加えて、同じくカードが引けなくなることを勝利へと置き換える《神秘を操る者、ジェイス》と揃えればデッキの完成だ。
青と黒の除去・手札破壊・打ち消しで相手に自由な行動をさせないコントロールデッキとして立ち回り、コンボを決める隙を伺う。
《時を越えた探索》で手札を補充しながらゲームを進めるのだが、この探索がポイント。
墓地に溜まった不要カードを探査で追放し、その枚数を減らす。こうすることで《真実を覆すもの》を出してからタイムラグなく神託者orジェイスで勝利へと持って行くことが可能だ。
多少カードが残っていても、《検閲》《異臭の池》のサイクリングで掘り進めることで極力間を置かずに勝利を狙いに行くこともできるぞ。
4 《島》 2 《沼》 3 《湿った墓》 3 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《欺瞞の神殿》 1 《ヴァントレス城》 1 《ロークスワイン城》 2 《廃墟の地》 3 《寓話の小道》 -土地(25)- 2 《タッサの神託者》 4 《真実を覆すもの》 1 《スカラベの神》 -クリーチャー(7)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 4 《選択》 3 《検閲》 1 《湖での水難》 1 《思考消去》 1 《神秘の論争》 1 《悪意ある妨害》 1 《英雄の破滅》 1 《衰滅》 3 《時を越えた探索》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 1 《悪夢の詩神、アショク》 -呪文(28)- |
2 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《強迫》 2 《破滅の刃》 2 《否認》 2 《肉儀場の叫び》 2 《神秘の論争》 1 《夢を引き裂く者、アショク》 1 《最後の望み、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
《真実を覆すもの》はコンボのみではなく、そのスペックを活かして殴り勝つプランを選択可能なのも強みだ。リストによっては《スカラベの神》という圧倒的な制圧力を誇るフィニッシャーを用意していたり、除去を兼ねる《悪夢の詩神、アショク》や《最後の望み、リリアナ》も用いていたり。コントロールするためのカードチョイスにも使用者の個性が出るため、どのリストが強いかは各自で回して自分に合ったものを探し出そう。
名古屋では、日本およびアジアでも屈指の強豪プレイヤーたちがこの青黒デッキを選択し、トップ8における最大勢力となった。
また、同時期で開催されたブリュッセルのプレイヤーズツアーでも「青黒《真実を覆すもの》」は成績上位デッキの中で最大勢力となった。そこでは神託者によって評価が大きく上昇した《真実を覆すもの》と同様に、覆すもののおかげで注目されるようになったカードを用いるリストもあった。
6 《島》 2 《沼》 4 《湿った墓》 2 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 3 《詰まった河口》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《タッサの神託者》 3 《真実を覆すもの》 -クリーチャー(7)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 4 《選択》 2 《検閲》 3 《暴君の嘲笑》 1 《湖での水難》 1 《思考消去》 2 《久遠の闇からの誘引》 1 《神秘の論争》 3 《時を越えた探索》 3 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(28)- |
1 《真実を覆すもの》 3 《正気泥棒》 2 《強迫》 1 《喪心》 1 《軍団の最期》 1 《害悪な掌握》 1 《究極の価格》 1 《暴君の嘲笑》 3 《神秘の論争》 1 《肉儀場の叫び》 -サイドボード(15)- |
《真実を覆すもの》がエルドラージであることを活かす《久遠の闇からの誘引》!
これでサイドボードから《真実を覆すもの》を手札に加えられるので、デッキ内の総枚数は実質上昇。対戦相手に追放されてしまったり、あるいは自身の《時を超えた探索》のコストに充てても回収できるので、よりテクニカルな動きが楽しめるようになっている。
2枚で勝つことのできるコンボなので、かつてモダンの覇者であった《欠片の双子》と《詐欺師の総督》コンボを想起させるとして「青黒双子」などとも呼ばれる覆すものデッキ。
今週末に控えた、アメリカはフェニックスでのプレイヤーズツアーでも台風の目となることだろう。完全に狙われる側になっても勝てるだけのパワーがあるのか? その答えはアメリカのトッププレイヤーたちが明かしてくれるはずだ。
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