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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ティムール再生(スタンダード)

岩SHOW

 ちょうど昨年の今頃、『ラヴニカの献身』がリリースされたんだよな。1年、早いもんだ。このセットはさまざまなカードをもたらしてトーナメントシーンに影響を与えたものだが、その中でもインパクトが大きかったものは何と言っても《荒野の再生》だろう。

 ターン終了時にすべての土地をアンタップする、そのシンプルなテキストが生み出す爆発力は近年でも随一のものだ。能力が誘発した後に土地をタップしてマナを得て、能力解決で起きた土地からまたマナを得る。その溢れんばかりのマナで唱えるは《運命のきずな》! 追加ターンのメインでは《水没遺跡、アズカンタ》を起動してまた《運命のきずな》を発見し、エンドに土地を起こしてきずな、きずな、きずな! 終わらないターンを獲得して勝利する、恐ろしいデッキだった。このコンボを主役とした「○○ネクサス」というデッキで勝ちまくったプレイヤーもいたことだろう。昨年秋のローテーションで《運命のきずな》はスタンダードを去り、このデッキタイプは消失した。

 マジックに別れはつきもの、その分次のデッキと出会えるから、多くのプレイヤーは次に進むことができる。残るカードもあるし、似たようなカードが心のスキマを埋めてくれるものだ。ただ《運命のきずな》は、ちょっと代わりになるようなカードが見たらないものなのも事実。きずなロスに陥ったプレイヤーもいるようだ。

 そんなプレイヤーたちの気持ちに応えるため……ではないが、かの初代ミシックインビテーショナル王者であるアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciが《荒野の再生》を用いたデッキを配信で披露し、注目が集まった。そのリストはきずなを失ったプレイヤーらの心に響いたようである。

 というわけで、今日のデッキは「ティムール再生」!

Sn00gans - 「ティムール再生」
スタンダード (2020年1月29日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
4 《繁殖池
2 《神秘の神殿
4 《踏み鳴らされる地
1 《奔放の神殿
4 《蒸気孔
3 《天啓の神殿
2 《ヴァントレス城
2 《寓話の小道
-土地(27)-

4 《厚かましい借り手
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《老いたる者、ガドウィック
-クリーチャー(9)-
4 《選択
4 《成長のらせん
4 《嵐の怒り
4 《荒野の再生
4 《タッサの介入
4 《発展 // 発破
-呪文(24)-
2 《樹上の草食獣
4 《夜群れの伏兵
1 《ハイドロイド混成体
2 《霊気の疾風
2 《魔術遠眼鏡
1 《溶岩コイル
3 《神秘の論争
-サイドボード(15)-
Sn00gans氏のTwitter より引用)
 

 このデッキは《荒野の再生》から得たマナで《発展 // 発破》の《発破》を唱えて勝つことを狙っている。X点ダメージを与えつつX枚ドロー、そこから追加の再生や《発破》に繋げようと。このコンセプト自体はきずなが失われる前より存在し、むしろこっちを愛用していたというプレイヤーも少なくないだろう。

 再生を複数枚並べることができれば、15点くらいは軽く叩き出せる。同時に大量ドローできれば2枚目3枚目は簡単に見つかるのでそれで勝つというわけ。きずなと違って時間がかかるわけではなく、決まる時はほぼ一撃で終わるという違いがあるが、《荒野の再生》に大きく頼っていることと、それを活かすために《成長のらせん》などを用いる点が共通する。

 このデッキが『テーロス還魂記』リリース後に再び注目されるようになった理由は、ちょうどいい新カードをいくつか得たから。まずは青緑と言えばすっかりこのお方、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》。

 《荒野の再生》の効果を高めるための土地を増やしつつ、3点回復できるというのが実に大きい。このデッキは細かに除去を唱えていくものではないので、最序盤は相手に好き放題展開することを許してしまう。つまりノーガード、そんなデッキにとって3点回復はなんとも沁みる嬉しいものなのだ。

 もちろん、ゲームが進めばドローカードなどを餌に脱出して壁役兼アタッカーにもなり得る。《荒野の再生》に依存したデッキだからこそ、それに無関係で単独で勝つ手段になり得るカードを備えられるのは大きな意味を持つ。実際にこのデッキをプレイしてみると、《荒野の再生》を巡る攻防の末にウーロと《厚かましい借り手》で殴り勝つ展開になることはちょくちょくある。

 そして、ノーガードになりがちなこのデッキのガード役になるのが《嵐の怒り》。

 4マナと使いやすいコストで全体に4点と、大抵のクリーチャーを処理できるナイス除去。クリーチャーのみならずプレインズウォーカーにもダメージが入るため、このデッキの天敵とも言える《時を解す者、テフェリー》などのカードを排除する手段にもなってくれる。

 そして新戦力最後の1枚は《タッサの介入》。

 インスタントでコストに{X}を含むカードは《荒野の再生》と相性が良いのは当然のことだが、この《タッサの介入》は決め手となる《発展 // 発破》を探すことに大きく貢献してくれるだろう。途中、相手のエンドに4マナで2枚ドローとしてさっさと使ってしまうことが良い結果に繋がることもある。

 打ち消し呪文である点も重要だ。自衛のために《悪意ある妨害》のようなカードをデッキに入れたいが、再生を置いて勝ちに行くぞって時にトップデッキすると使い道がなくて無駄ドローになりがち……そんなジレンマを見事に解消してしまった。これと《老いたる者、ガドウィック》《ハイドロイド混成体》などで手札を増やし、ゲームを終わらせにかかるべし。

 このデッキは人気配信者のcrokeyzの手でアップデートが施されている。最後のオマケに載せておこう。《選択》を《海の神のお告げ》に置き換え、《荒野の再生》から捻出されるマナをより効率よく使って、欲しいカードを見つけられるようになっている。

Andrea Mengucci - 「ティムール再生」
スタンダード (2020年1月29日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
4 《繁殖池
2 《神秘の神殿
4 《踏み鳴らされる地
1 《奔放の神殿
4 《蒸気孔
3 《天啓の神殿
2 《ヴァントレス城
2 《寓話の小道
-土地(27)-

4 《厚かましい借り手
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
1 《ハイドロイド混成体
1 《老いたる者、ガドウィック
-クリーチャー(9)-
4 《成長のらせん
4 《海の神のお告げ
3 《嵐の怒り
4 《荒野の再生
4 《タッサの介入
4 《発展 // 発破
1 《世界を揺るがす者、ニッサ
-呪文(24)-
2 《夜群れの伏兵
2 《霊気の疾風
2 《丸焼き
2 《溶岩コイル
2 《魔術遠眼鏡
4 《神秘の論争
1 《嵐の怒り
-サイドボード(15)-
Andrea Mengucci氏のTwitter より引用)
 

 しかしまあ、ウーロはあらゆる青緑デッキを強くしているなぁ。このタイタンが暴れ回るのを神々たちが黙って見ていることはないとは思う。天敵となり得るデッキが出てくるだろう。一体どんなデッキであれば青緑に、ウーロに対して効果的か? 考えてみるのも楽しいだろうね。

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