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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

オーラ・アーチャー(パイオニア)

岩SHOW

 マジックプレイヤー同士の会話で、「オールイン」という言葉を聞いたことはないだろうか?

 もともとはポーカー用語で、手持ちのチップをすべて賭ける行動を指すものである。マジックにおいても同じく、すべてを賭して一点突破を狙う際に用いられる。少々リスクはあっても、1枚のカード、1つの戦略にすべてを注ぎ込む。もし相手がそれに対する解答を持っていたら? その時は負けだ。でもなかったら? その時は勝ちだ。マジックとはリスクを避けるべきゲームであるが、しかしながら思い切って勝負に出なければ勝てないゲームでもある。

 オールインの典型的な例が、クリーチャーとオーラだ。クリーチャーに貼り付けることでそれを強化するオーラは多数ある。サイズアップしたり飛行などの能力を与えたり……これで強化して殴るというのはシンプルにして強力なアプローチなのだが、リスクも高い。クリーチャーを除去されてしまうと、オーラとまとめて2枚以上の損失になってしまう。1体にペタペタと複数枚オーラを重ねるオールインは危険と隣り合わせな行為。皆、初心者のころにはリミテッドなんかでこれを経験して、オーラは慎重に使うべきだと学ぶのである。

 でももし、ある程度のリスクがケアできている状況だったらどうだろう。もともと除去耐性の高いクリーチャーであれば安心してオーラを複数枚付けて悠々と殴れるのではないか。答えはYesだ。モダンでは《ぬめるボーグル》などの「呪禁」持ちにバシバシとオーラを貼り付けて、どんなクリーチャーとの殴り合いにも負けないバケモノを作り上げるデッキがある。

 ボーグル・デッキの1マナ圏である《林間隠れの斥候》は『基本セット2014』のカードである。ということは、パイオニアでも使えるというわけだ。Wow、じゃあ他にも低マナ域に呪禁持ちがいればオーラでオールインなデッキが組めるんじゃないか? えぇ、いますとも。《バサーラ塔の弓兵》がね。

Luis Menezes - 「オーラ・アーチャー」
FNM @ Carcara do Paraiso (Recife, Brazil) 6位 / パイオニア (2019年11月1日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《平地
4 《寺院の庭
3 《陽花弁の木立ち
2 《梢の眺望
2 《要塞化した村
2 《豊潤の神殿
1 《寓話の小道

-土地(17)-

4 《林間隠れの斥候
4 《バサーラ塔の弓兵
1 《上級建設官、スラム
1 《模範となる者、ダニサ・キャパシェン

-クリーチャー(10)-
4 《天上の鎧
4 《結束のカルトーシュ
4 《グリフの加護
3 《第六感
4 《きらきらするすべて
4 《歩哨の印
2 《むかしむかし
1 《天界のほとばしり
4 《ひるまぬ勇気
1 《活力のカルトーシュ
2 《神々の兜

-呪文(33)-
2 《魔女跡追い
2 《沈黙
1 《墓掘りの檻
1 《強打
3 《ヘリオッドの試練
2 《存在の破棄
4 《神聖の力線

-サイドボード(15)-
mtgtop8 より引用)

 

 このデッキのとる戦略、それは何度も言うようにオールインだ。《林間隠れの斥候》《バサーラ塔の弓兵》のどちらかを戦場に送り出し、あとは手札にあるオーラを全力でつけてぶん殴る!

 重要なオーラは《天上の鎧》《きらきらするすべて》の2つ、そしてオーラではなく装備品の《神々の兜》。

 エンチャントが出れば出るほど修整値が上昇するこれらのカードでクリーチャーを超絶強化し、そのパワーで一方的にゴリ押す! ただそれだけだ。

 デッキの特性上、その大半はエンチャントが占める構成になり、クリーチャーは何体も並べてということをしたいわけではないので最低限の枚数に絞られる。呪禁持ち2種に加えて、少々重いが能力を多数持ち、オーラのコストも軽減する《模範となる者、ダニサ・キャパシェン》と、オーラを唱えればドローさせてくれる《上級建設官、スラム》で計10枚のみ。土地の枚数も同様に大胆に削っており、そのため《むかしむかし》を採用して安定感を少しでも上昇させようという姿勢だ。

 正面切っての殴り合いを挑むわけだが、数で戦うデッキ相手には打点で上回られる可能性がある。そこで絆魂を付与して殴ることでライフレースにて突き放すことを狙うわけだが、パイオニアにはおあつらえ向きなオーラ、《ひるまぬ勇気》がある。

 これで絆魂とついでにトランプルを与えることで、どうでもいいクリーチャーでブロックしてしのぐという対処を封じるのだ。

 トランプルが付けば《第六感》でのドローもより狙いやすくなるのも嬉しいところ。《歩哨の印》も使うタイミングで絆魂を与えられるし、攻撃をビタリと食い止める警戒も嬉しい。

 《結束のカルトーシュ》は先制攻撃で集団ブロックも許さず、《グリフの加護》は飛行でブロッカーをそもそも無視する。

 これらキーワード能力を与えるオーラと、エンチャント参照強化カードを組み合わせて、斥候と射手を人知を超えた怪物へと成長させるのだ。

 呪禁持ちとオーラの組み合わせは最強!なのだが、もちろん弱点もある。クリーチャーを対象としないタイプの除去だ。すべてのクリーチャーを破壊する・手札に戻すもの、そしてプレイヤーを対象として生け贄を要求するタイプのものだ。

 前者に対しては、それらの呪文は5マナ以上であったり、それを行うためには下準備が必要だったりで時間がかかるため、間に合わせずに殴り切るという、まさしくオールインの姿勢で挑むべし。

 後者に関しては《リリアナの勝利》のように軽いものもあるので気を付けたいところ。なるべく2体以上並べる、《結束のカルトーシュ》でトークンを用意しておいてそれを生け贄に捧げる、《神聖の力線》をサイドインして自分に呪禁を付与……などの方法で対応しよう。

 開き直ってゴリゴリ育てて殴る。やることがシンプルだからこそ、細部をケアして、気持ちのいいオールイン・マジックを楽しもう!

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