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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
宝船と不死鳥と(パイオニア)
今日も新フォーマットであるパイオニアのデッキを紹介しようじゃないか。
このフォーマットは、発足時に禁止カードが5枚設定された。《溢れかえる岸辺》《汚染された三角州》《血染めのぬかるみ》《樹木茂る山麓》《吹きさらしの荒野》、『タルキール覇王譚』に収録されている「フェッチランド」と呼ばれる5枚だ。
「フェッチランド」はライブラリーの中から特定の基本土地タイプを持つ土地を戦場に出す能力を有する。例えば《樹木茂る山麓》であれば《山》か《森》はもちろん、《踏み鳴らされる地》《蒸気孔》《草むした墓》などの2色土地も探してこれるので、デッキの多色化に大いに貢献する。
さらにフェッチランドは生け贄に捧げることで能力を起動するので、墓地のカードを増やすことができる。単純に枚数を増やすことで「探査」呪文を唱える助けになったり、「昂揚」能力の条件を満たしたりといったデッキを動かす潤滑剤になり得る。
別にフェッチランド自身が悪さをするわけではないが、それがあることでカードパワーが跳ね上がるものがいくつか存在するので、禁止にされたのだろう。
フェッチランドによるマナ基盤の自由自在っぷりがないのは多色デッキファンには残念かもしれないが、色を足すということはリスクを背負うことだというマジックの本質に基づいてのデッキ構築は工夫のし甲斐があって楽しいものだ。
それに、先にちらっと触れた「探査」呪文には超強力なものがある。フェッチランドが使えるフォーマットでは禁止・制限に指定されてしまったそれは、かの1マナ3枚ドロー《Ancestral Recall》の再来だと言われた……《宝船の巡航》であるッ。
4 《島》 2 《山》 4 《蒸気孔》 2 《硫黄の滝》 4 《尖塔断の運河》 4 《シヴの浅瀬》 -土地(20)- 4 《氷の中の存在》 2 《谷の商人》 4 《弧光のフェニックス》 -クリーチャー(10)- |
4 《選択》 4 《稲妻の斧》 4 《乱撃斬》 4 《航路の作成》 2 《巧みな軍略》 4 《イゼットの魔除け》 4 《癇しゃく》 4 《宝船の巡航》 -呪文(30)- |
1 《厚かましい借り手》 1 《呪文貫き》 3 《削剥》 1 《丸焼き》 2 《神々の憤怒》 2 《神秘の論争》 3 《王家の跡継ぎ》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
現行スタンダードでも面白い動きを見せることで人気なカード、《弧光のフェニックス》を用いた「イゼット・フェニックス」のパイオニア版だ!
インスタントとソーサリーを1ターンに3回唱えると墓地から戦場に戻る能力を持ったフェニックス。マナ・コストが軽く、手札を捨てることのできる呪文・ドロー呪文を用いてフェニックスを墓地に落としつつこの条件を満たして戦場にフェニックスを並べ、速攻と飛行を活かして殴り切る……というのがデッキの狙い。
スタンダードにもある《選択》《谷の商人》に加えて、この秋にローテーション落ちした《航路の作成》やパイオニアで使える最も古いセットである『ラヴニカへの回帰』から《イゼットの魔除け》などを用いてこのフェニックス復活を目指していく。
で、これらの墓地を貯める動きが《宝船の巡航》と相性抜群というわけなのだ。フェニックス以外のカードは墓地にあっても使い道がないので、これらを思い切って追放し、巡航のコストを思いっきり軽くして3枚ドロー! これのおかげで、フェニックスが除去された際の立て直しに必要なインスタントとソーサリーを瞬時に補充することが可能だ。3枚もドローできるのは流石に魅力的で、ちょっとやそっとの妨害じゃこの手数には対応できないだろう。
ただドローをしているだけのデッキというわけでもなく、盤面に触れる力もしっかりと備えているのがこのデッキの良いところだ。
フェニックスを捨てる手段でもある《稲妻の斧》は、たった1マナで5点ダメージと大抵のクリーチャーを除去できて強烈。
《癇しゃく》も捨ててマッドネスで1マナで唱えられれば数の勝負にも対応可能だ。こちらは本体にもバンバン撃ち込んで、スピード決着を狙える時にはそうしていこう。
フェニックス以外にインスタントとソーサリーと相性の良い《氷の中の存在》をサブの攻撃手段として採用しているのはモダンのデッキと同じだ。
《目覚めた恐怖》に変身した際には盤面からホラー以外を一掃できる。《氷の中の存在》から4つ目の氷カウンターが取り除かれて変身するタイミングとフェニックスの墓地から戻るためのカウントをうまく噛み合わせれば、こちらの戦場には3/2飛行が複数と7/8がいて相手の戦場は空っぽという状況に持ち込んで一瞬で勝負を終わらせられる。狙うべし!
サイド後に問題となってくるのは墓地対策。《トーモッドの墓所》や《安らかなる眠り》に《漁る軟泥》など、墓地対策には強いものが揃っているので、どの色のデッキでもどれかを備えていることだろう。または《弁論の幻霊》などの1ターンに唱えられる呪文数を制限してくるカードもサイドインされる可能性がある。
デッキの勝ち方を否定されるわけだが、そんな時にはこちらも勝ち方を変えればよい。というわけでプレインズウォーカーを用意してある。
《王家の跡継ぎ》と《反逆の先導者、チャンドラ》は、どちらも忠誠度を貯めて大マイナス能力を使えば対戦相手に大ダメージを与えられるので、除去で護りながら忠誠度を増やしていきたい。特にチャンドラは紋章を得たら勝ったようなものなので、積極的に狙っていきたいところ。その過程でもダメージを与えられるし、良いカードだね。
このデッキは実にパイオニアらしいと言えよう。スタンダードとモダンのちょうど真ん中といったカード群で構成されていて、かつモダンでは使えないカードを堂々と唱える、まさしくパイオニアの醍醐味が詰まっている夢にあふれたデッキだ。
《宝船の巡航》が当時好きだった、ストレージに眠らせたままだというプレイヤーは、その封印を解いて再びゴージャスなクルーズを楽しんでみてはいかがかな?
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