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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
セファラ・ウィニー(スタンダード)
グランプリ・千葉2019のフォーマットは『基本セット2020』を用いたリミテッド。リミテッドで皆が一番頼りにするキーワード能力と言えば? そう、飛行。今回は基本セットということもあって、よりシンプルな環境なので飛行能力の有無やそれへの対策はかなり重要なファクターとなるんじゃないかな。
飛行持ちはリミテッドにおいては3マナ2/1のようなややサイズが小さいものであっても重宝されるが、構築においてはそうではない。構築ではクリーチャーはコストで見たサイズが重視されるので、5マナ3/4などは他の能力が優れていないと競技シーンで活躍することは難しい。
だったら……逆説的に、コストで見たサイズが優れている飛行持ちは活躍できるってことだよな? さらに他の能力も優秀なら非の打ち所がないってことだ。じゃあ、7/7飛行にメリット能力がさらに2つ乗っかっていたらどうだい? コストによるってんなら、1マナだ。1マナ!
《天空の刃、セファラ》は、条件付きとはいえたったの{W}で戦場に出てくる7/7飛行・絆魂持ちで、他の飛行クリーチャーに破壊不能を与えるとんでもない天使だ。
その条件とは飛行クリーチャーを4体タップするというもの。こうなると一気に難しく見えるかもしれないが、ご安心を。白には1~2マナに飛行クリーチャーがズラリと何種類も存在する。それらを開幕からばら撒いてセファラを早いターンに召喚する……
この動き、何かに似ていると思わないかい? そう、「白ウィニー」のベストムーブである、「早期ターンに《敬慕されるロクソドン》」とやってることは本質的に同じなのだ。
ということは、軽量飛行クリーチャーを大量に採用してこのセファラとロクソドンで勝ちに行くデッキが……組める!
今日はサンプルとしてもとても完成度の高いリストをご紹介!
10 《平地》 3 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 -土地(21)- 4 《薄暮まといの空渡り》 4 《癒し手の鷹》 4 《忠実なペガサス》 4 《錆色翼の隼》 4 《高名な弁護士、トミク》 2 《悔恨する僧侶》 4 《天穹の鷲》 4 《敬慕されるロクソドン》 3 《天空の刃、セファラ》 -クリーチャー(33)- |
3 《順風》 3 《議事会の裁き》 -呪文(6)- |
4 《紺碧のドレイク》 4 《霊気の疾風》 3 《不可解な終焉》 4 《時を解す者、テフェリー》 -サイドボード(15)- |
どうせ飛行持ちで固めるなら《天穹の鷲》と《順風》も使って飛行クリーチャーをとにかく強化して殴ってしまえ、というわけで白単に青を足した形の飛行ウィニーデッキだ。
吸血鬼が1種類しか入っていないのに《薄暮まといの空渡り》を採用したり、単体では戦闘に参加できない《忠実なペガサス》も投入していることからも、このデッキの「とにかく軽くて飛んでいるカードを序盤から展開し、強化するかセファラに繋げて殴りきる」という強い意志がうかがえる。
対戦相手がどれだけ強固なクリーチャーを展開してガチガチの陣容を築いても、それが飛行か到達を持っていなければこちらの精鋭が素通りして本体を攻められる。ナチュラルでは線が細くても、上述の飛行クリーチャー強化カードとロクソドンでドーピングしてやればその打点は馬鹿にできないものに膨れ上がる。
そしてセファラの絆魂のおかげでライフが劣勢の状況からでもまくれるし、破壊不能が付いた小粒をブロッカーに回して時間を稼ぐことも可能。デッキは見た目によらない、これらの小さな飛んでるヤツが1ターン目から出てきたら、むしろ警戒レベルを最大に高めて対戦していきたいところだ。
このデッキリストをこのコラムで紹介するのにうってつけだなと思ったポイントは、一見強くなさそうでも侮れないという点と、もう1つ。サイドボードがシンプル過ぎるという点。それはもう、理論上最もシンプル(笑)。
《紺碧のドレイク》はプロテクション(赤)で、メインが苦手とする《ゴブリンの鎖回し》などにも耐えつつ攻撃を食い止め、反撃のセファラに繋げるためのカウントとしての役目をしっかりと果たす。
《霊気の疾風》はセファラが戦場に出ない限りはこのデッキにとって致命的な存在《目覚めた猛火、チャンドラ》への良いアンサーだ。
打ち消せなくとも解決させずにライブラリーの上に送ってしまえば、1ターンは稼げる。この手のデッキにとってその1ターンが勝負を分ける。他にも《世界を揺るがす者、ニッサ》や《根の罠》など、1ターン遅らせるだけでも効果大なカードを狙って投げつけてやろう。
《不可解な終焉》は殴り合いになる相手に入れて、《時を解す者、テフェリー》はその逆に全く殴り合いにはならないデッキ相手にイン。具体的に言えば最近また頭角を現してきた《荒野の再生》+《運命のきずな》デッキだ。これもまた《根の罠》を否定できるので、計算を狂わせて勝利をその手に収めよう。
実際にこのサイドボードを試してみたが、役割がハッキリしているものを最大限採用しているので、メインのカードとの入れ替えが行いやすいという利点を実感した。この手の殴るデッキでは、サイドを複雑に作りすぎると入れ替えを行った後のデッキの良さがガクッとダウンしてしまうことがあるからね。
ただそれと同時に《霊気の疾風》が何枚か《否認》とか《軽蔑的な一撃》だったら……と思うことがあったのも事実。皆も実際に試してみて、こうすればもっと自分用として、仮想敵に対して上手く刺さるなという構成を考えてみてほしいね。
わかりやすくて、ブン回りの時には圧倒的にボコボコにできるという魅力にあふれた青白の《天空の刃、セファラ》デッキ。ポテンシャルはかなりあると見受けた! カラーリングも清々しいので、高温多湿な日本の夏のお供にはもってこいじゃないか?
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