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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

シミック・エルフボール(スタンダード)

岩SHOW

 エルフは大人気種族である。ファンタジーと言えば三角耳の美しいエルフ、みたいなところは確かにある。マジックにおけるエルフはありとあらゆる次元に生息しており、セットを重ねるごとに選択肢を増やしていく優遇された部族だ。

 カードとしてのエルフの最たる特徴は、マナ生産能力に長けていること。《ラノワールのエルフ》のように確実に増やすものから、《ティタニアの僧侶》のように爆発的な生産量を誇るものまで、バリエーションは豊富だ。

 昔からこのエルフを上手く使って大量に得たマナで《火の玉》を唱えるがごとく、マナを注げば注ぐほど威力の高いカードを唱えるというデッキは組まれ続けていた。同時にカードを得る手段もあれば、引いてマナ出して引いてマナ出して、最後はドン!みたいなコンボチックな動きをする強力なデッキを組めることがある。「エルフボール」や「親和エルフ」と呼ばれたデッキがそうだ。

 『ラヴニカの献身』では青緑のギルド・シミックに所属するエルフがいくつか登場した。「エルフボール」的な視点から見ると、最注目は《培養ドルイド》!

 2マナ0/2と頼りないがマナは確実に伸ばしてくれて、マナに余裕があれば順応能力で3/5というサイズにも成長できる。そして順応などで+1/+1カウンターを得ていると、なんと生み出すマナは3マナに膨れ上がる!

 この加速っぷりは使ってみたくなる、ということで組まれたのがこのシミック式エルフボールってわけだ!

VTCLA - 「シミック・エルフボール」
Magic Online Competitive Standard Constructed League 5勝0敗 / スタンダード (2019年1月20日)[MO] [ARENA]
11 《
1 《
4 《繁殖池
4 《内陸の湾港
2 《手付かずの領土
-土地(22)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《僧帽地帯のドルイド
4 《成長室の守護者
4 《培養ドルイド
4 《鉄葉のチャンピオン
3 《養育者、マーウィン
2 《管区の案内人
2 《獣に囁く者
4 《ハイドロイド混成体
-クリーチャー(31)-
4 《石のような強さ
3 《孵化 // 不和
-呪文(7)-
3 《クロールの銛撃ち
3 《打ち壊すブロントドン
4 《無効皮のフェロックス
2 《呪文貫き
3 《否認
-サイドボード(15)-
 

 《培養ドルイド》を美味しく使うのにうってつけのカードがある。《石のような強さ》だ。

 これで《培養ドルイド》にカウンターを置いてやると3マナ出るようになり、そしてこの呪文の効果でドルイドがアンタップする! つまり、すでにマナを出したドルイドを起こしてもう一度マナをひねり出して……と、まるでかつての《暗黒の儀式》のようなマナ加速ができてしまうのだ! これはヤバいでしょ!

 で、そのマナからエルフをさらに増やしていく。そうすると《養育者、マーウィン》のサイズが上昇し、すなわち彼女が生み出すマナもごりッと増える。まさしく、あふれかえったマナで暴れる! それがこのデッキの狙いだ。

 ただマナを出してクリーチャーを唱えるだけ、というのでは爆発力はあっても手札が尽きてしまえばそれで終了だ。何より《石のような強さ》を使っている分手札は消費している。これを補填するカードがあるのか? あるんです!

 《獣に囁く者》はエルフたちに1枚ドローを付与し、ドカドカ並べることを毎ターン行えるようにしてくれる。これでデッキ内のエルフを可能な限り吐き出して、その圧力で攻め切ろう!

 エルフを補充する、という役目は《成長室の守護者》も果たしてくれる。

 この蟹エルフの順応により誘発する同名サーチ能力で手札を継続して補充しよう。この2枚が組み合わされば、もはやアドバンテージが留まることを知らない状態に。

 そして最も手札を満たしてくれて、かつゲームを終わらせてくれるのがこのデッキの《火の玉》枠、《ハイドロイド混成体》だ。

 Xの半分のドローとライフ回復をもたらす、巨大な飛行・トランプル持ち……一部のデッキはこれを唱えられただけでもう勝負がついてしまいかねない。1枚唱えたということはドローが進んでおり、2枚目以降が見つかりやすいというのも良いところだ。エルフたちのサポートで、シミックが誇る生物兵器を出撃させよう!

 コンボデッキの一種ではあるが、普通にクリーチャーを展開して殴って勝つというルートを選べるのもこのデッキの良いところだ。《エルフの部族呼び》を少々仕込んでおいて、そっちの側面を強くするのもありかもしれない。

 柔軟に環境に適応するエルフと、理想の生物を目指すシミックのごとく、思い思いのベストなエルフ・デッキを目指して試行錯誤してほしいね!

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