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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ホロウ・フェニックス(モダン)

岩SHOW

 新年、あけましておめでとうございます! いや~まさかこんなに早く年明け第1号のコラム更新になるとは思ってもみなかったんですけどもね、新年早々に皆さまとお会いできてうれしい限りでございまっせ。今年も流行りのデッキ・面白いデッキ・知られていないデッキ……いろいろ紹介して皆でマジック楽しんでいけたらと思っているんでヨロシクゥ!!

 新年最初に紹介するデッキはおめでたいものが良いと思い、今回はいろいろ考えさせてもらいましたわ……まずパッと思いついた「干支デッキ」。猪タイプならそこそこカードいるんじゃないかと調べてみたら《スキャンダル売り》とか《クローサの大牙獣》を見つけてなんだか懐かしい気持ちになるも、猪のロードとかいないので諦め。

 《スキャンダル売り》で手札ガリガリ削ってから《ハルマゲドン》とか、相手に起動させて《ゲリラ戦術》を捨てるとかしたいけども、正月からスキャンダルってのもよろしくないわな。

 お正月と言えばなんとなく、ナヤ(赤緑白)カラー。軽量クリーチャーで攻める「ナヤZoo」に《火打ち蹄の猪》が採用されている可能性に賭けてもみたが、最近このタイプのデッキ自体があまり使われていないようで、数年前のリストを紹介してもな……ということでこれも断念。

 とりあえず猪から離れよう。お正月と言えば初日の出、《第二の日の出》デッキも古いよなぁ~とかいろいろ考えた結果、なんとなく赤いデッキが良いのかなと。ほら、年明けと同時の初詣って焚火がメラメラと燃え盛ってるイメージ、ない? おめでたさの象徴として鳳凰的なものも……マジックのフェニックスと被るとか。蘇る不死鳥も、新たな年の始まりにふさわしい。苦しいね、知ってるよ。

 まあ、2018年末に活躍して注目されたデッキってことも兼ねてね、このデッキを紹介させてくだせえ!

Luis Alvarez-Zucchino - 「ホロウ・フェニックス」
グランプリ・リバプール2018 10位 / チーム共同デッキ構築・モダン (2018年12月8~9日)[MO] [ARENA]
15 《
2 《ラムナプの遺跡
-土地(17)-

4 《炎刃の達人
4 《弧光のフェニックス
4 《虚ろな者
4 《騒乱の歓楽者
-クリーチャー(16)-
3 《はらわた撃ち
4 《稲妻
4 《燃え立つ調査
4 《信仰無き物あさり
4 《ゴブリンの知識
4 《魔力変
4 《癇しゃく
-呪文(27)-
2 《暴れ回るフェロキドン
1 《熱烈の神ハゾレト
4 《外科的摘出
1 《稲妻の斧
1 《破壊放題
2 《ドラゴンの爪
2 《燃え上がる憤怒の祭殿
2 《血染めの月
-サイドボード(15)-
 

 短くて美麗なリストじゃ……マジックのデッキリストにはさまざまな形があるが、やること一直線でとにかく4枚積みで固めたタイプのものは、すっきりとまとまった美しいものに仕上がるものだ。新しい年の始まりにはこれぐらいのシンプルさがちょうど良い。

 このリストはグランプリ・リバプール2018、チーム共同デッキ構築・モダンで行われたイベントで10位のチームが採用していたデッキのひとつである。

 《弧光のフェニックス》は軽量のインスタントとソーサリーがあればあるほど強く使えるカードであり、すなわちスタンダードにとどまらずにモダンでも大活躍していることは皆さんご存知の通り。

 《魔力変》があるモダンでは赤単でも運用できるとあって、今やモダンの赤の看板となりつつある大人気のクリーチャーだ。マナを払わずに3/2飛行・速攻を、それも複数体同時に戦場に出せるというのはどう考えても強い。

 このデッキはそのフェニックスを軸にしつつ、既存のモダンデッキを次の段階にステップアップさせた。「ホロウワン」だ。

 《虚ろな者》を超高速で展開する、その一点に全力で挑む、ギャンブル要素の強いデッキだ。《燃え立つ調査》《ゴブリンの知識》は無作為に手札を捨てるという、本来ならばとてつもないデメリットを抱えたカードなのだが、その捨てる枚数の多さから、1~2ターン目に《虚ろな者》を0マナで唱えることができる。

 これを《炎刃の達人》などの手札を捨てることとシナジーを持ったカードと組み合わせて、2018年初頭からモダン環境で暴れているデッキだ。

 捨てた手札を活かす方法として《恐血鬼》や《グルマグのアンコウ》など黒いカードを用いていたが、この枠を《弧光のフェニックス》に割いてやることで赤単色でデッキとして成立したというわけである。

 上述のランダム手札入れ替え呪文に加えて、《信仰無き物あさり》や《稲妻》も採用しており、もともとインスタントとソーサリーは多めのデッキだったのも、フェニックスをすんなりと迎え入れることができた理由の1つだ。これにより手札を捨てる→《虚ろな者》を展開する→次いでフェニックスの群れを走らせる……と流れるような動きが可能になったし、最序盤以降の呪文の価値が上昇した。破壊除去であればすぐに立て直すことのできるフェニックスに、《騒乱の歓楽者》での手札補充も加われば、万一長期戦になっても息切れせずに戦うことができるだろう。《癇しゃく》《はらわた撃ち》とあるので強引にライフを削って勝つことは得意である。

 弱点はやはり墓地対策。フェニックスを封じられてしまうと辛い……が、ただ墓地対策が数枚程度であれば、墓地には関係のないクリーチャーで戦えるのでなんとかなる。この点は赤黒の「ホロウワン」よりも強くなった点とも言える。

 結局のところ、どれだけ意識されているのか? という点が大事なデッキである。昨年12月前半にはグランプリやプロツアー地域予選で活躍し、目立ってしまった。この手のデッキはガードが下がったころに一気にかっさらう・逆にガードが上がり切った相手ばかりでは大敗もやむなしというものだ。そこを割り切って、最良のタイミングで用いることができれば……月の世界のマジックかのような怒涛の展開力で、勝ちをもたらしてくれることだろう。

 皆様のそういう勘とかね、勝負所での幸運が今年も舞い込んでくるように、それじゃあ初詣へ行きましょうかね。

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