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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

赤黒ゴブリン(レガシー)

岩SHOW

 ラヴニカはギルドが統べる次元、この世界に属する者はいずれかの2色のマナから恩恵を受ける。この次元の住人から最も遠いものはなんだろう。……無色か。そもそも色を持たないなんて、ギルドに生きる者からすれば信じられないことだろう。アーティファクト(色マナが出るものはラヴニカでも愛されている)や、エルドラージやカーン、ウギンといった面々はラヴニカとは相反する存在だ。

 それらに対する怒りを表現したのが《ゴブリンのクレーター掘り》。

 無色のパーマネントは何であれ問答無用で道連れ! 彼の自爆した後には何もないクレーターのみが残る……って感じか。

 このカードはスタンダードにおける《ウルザの後継、カーン》への対抗策を意識して作られた側面が強いだろう。それ以外のフォーマットでも、カードプールが拡がれば拡がるほど、狩れるパーマネントは多くなっていく。《虚空の杯》《罠の橋》《精霊龍、ウギン》《引き裂かれし永劫、エムラクール》……それらに対して1枚で応えられて、かつクリーチャーに2点ダメージを飛ばす能力で無色以外にも活躍する可能性あり、2マナ2/2と使いやすいサイズ感も魅力的。そして何より、タイプが強い! ゴブリンだ。

 レガシーのゴブリンデッキはこれを得たことで、無色系デッキに対して耐性が大きく向上した。先日開催された年末の定番・国内最大級のレガシーイベントであるエターナル・パーティー2018にて、9位と惜しくもトップ8には届かなかったが、好成績を残したリストを見てみよう!

Jansen Vinnie - 「赤黒ゴブリン」
Eternal Party 2018 9位 / レガシー (2018年12月16日)[MO] [ARENA]
4 《
3 《Badlands
3 《血染めのぬかるみ
3 《樹木茂る山麓
4 《魂の洞窟
1 《ヴォルラスの要塞
4 《不毛の大地
2 《リシャーダの港
-土地(24)-

4 《ゴブリンの従僕
1 《モグの狂信者
3 《ゴブリンのクレーター掘り
3 《ゴブリンの群衆追い
3 《モグの戦争司令官
1 《棘鞭使い
4 《ゴブリンの女看守
3 《宝石の手の焼却者
3 《ゴブリンの戦長
1 《ゴブリンの酋長
1 《軍勢の戦親分
4 《ゴブリンの首謀者
1 《ヤスデ団
1 《包囲攻撃の司令官
-クリーチャー(33)-
4 《霊気の薬瓶
-呪文(4)-
2 《フェアリーの忌み者
1 《ゴブリンの損壊名手
1 《トーモッドの墓所
1 《外科的摘出
2 《陰謀団式療法
1 《思考囲い
2 《紅蓮破
1 《真髄の針
1 《大祖始の遺産
1 《グールの誓い
1 《抵抗の宝球
1 《紅蓮操作
-サイドボード(15)-
bigweb より引用)
 

 ゴブリンデッキは固定パーツは多い。《ゴブリンの従僕》と《霊気の薬瓶》はレガシー環境でそこそこ重めのクリーチャーで戦うこのデッキにはなくてはならない存在。

 相手を足止めするための《不毛の大地》と《リシャーダの港》も必須だ。

 アドバンテージを得ながら状況に合ったゴブリンを入手するための《ゴブリンの女看守》《ゴブリンの首謀者》だってマストだ。

 ただ、残ったスロットは「たくさんゴブリンを入れる」という条件さえ満たせばOK! ここにどのカードを何枚採用するかが腕の見せ所で、このリストはクレーター掘りをかなり重視して3枚採用している点が注目ポイント。直近グランプリでのエルドラージの優勝もあって、使用者が増えると予想したのかもしれない。《難題の予見者》はおろか、あの除去されにくさに定評のある《現実を砕くもの》も一撃でポン! 「スニーク・ショー」などのエムラクールデッキもこの手のトーナメントではよく当たることになるので、そこへの対策もバッチリと。

 このトーナメントでは《石鍛冶の神秘家》デッキが優勝したのだが、そのデッキの核とも言える《殴打頭蓋》も屠れるのは最高、ゴブリン絶滅の引き金となる《梅澤の十手》だってどうにかしちゃう、と。とにかく環境にマッチしている大したヤツだ。《魂の洞窟》から唱えたり《ゴブリンの従僕》《霊気の薬瓶》から戦場に直接出すことで、《意志の力》や《虚空の杯》などの打ち消しを無視できるのも100点!

 《軍勢の戦親分》の採用も魅力的に映る。

 ゴブリン・デッキは相手とカードの交換を繰り返して消耗戦に持ち込んで、《ゴブリンの首謀者》などのアドバンテージで盛り返して勝ちたいデッキ。この親分はたった1枚で対戦相手のライフに大いにプレッシャーをかけ、《ゴブリンの熟練扇動者》のようにすべてのゴブリンが必ず攻撃するようなデメリットもなく運用できる。《宝石の手の焼却者》のためのゴブリン・カウントもたった1枚のカードで2つも3つも稼いでくれる。

 こうして見るとゴブリン、本当に恩恵を受けたね。これは『ラヴニカの献身』でも出てくるであろうゴブリンたちにも期待しちゃうね!


 ところで、ラヴニカには無色ではないがギルドとは異なった主義を貫いている伝説のゴブリンたちがいることをご存じだろうか? ヤツらは依頼があればなんでも「吹っ飛ばす」過激な凄腕集団。明日は彼らに迫ってみよう!

Shattergang_Brothers.jpg
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