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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

赤黒機体の隆盛(スタンダード)

岩SHOW

 さまざまなデッキが登場し白熱するスタンダード環境。一体どんなデッキが強いのか、それを証明するのにおあつらえ向きの舞台となったのはグランプリ・バーミンガム2018(スタンダード)

 このグランプリの結果は、なかなかにインパクトのあるものだった。優勝は環境最初に結果を残したデッキでもあった赤黒のアグロデッキ。環境的にまた強くなった《キランの真意号》を用いる、通称「赤黒機体」だ。なんと、上位32名中15名がこのデッキを選択していたという。約50%ってのはすごい数字だ。

 ただ、この数字だけ見るのとデッキリストを比較するのとでは印象が大きく異なってくる。その構成にも、プレイヤーごとに大きな違いがあるのだ。まったく同じデッキがトーナメントを支配した、というよりも、「赤黒」と「対赤黒を見越した赤黒」が勝ち上がってきた、というのが真実であろう。それじゃあまずは、アグロらしい構成の「赤黒機体」を見てみよう!

Matt Brown - 「赤黒機体」
グランプリ・バーミンガム2018(スタンダード) 3位 / スタンダード (2018年5月12~13日)[MO]
11 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
4 《産業の塔
1 《霊気拠点
-土地(24)-

4 《ボーマットの急使
3 《損魂魔道士
4 《屑鉄場のたかり屋
4 《ゴブリンの鎖回し
2 《ピア・ナラー
1 《栄光をもたらすもの
3 《歩行バリスタ
-クリーチャー(21)-
3 《削剥
4 《無許可の分解
1 《木端+微塵
3 《キランの真意号
2 《反逆の先導者、チャンドラ
2 《ウルザの後継、カーン
-呪文(15)-
2 《栄光をもたらすもの
2 《強迫
1 《チャンドラの敗北
1 《削剥
1 《宝物の地図
2 《大災厄
1 《栄光の刻
1 《最古再誕
1 《霊気圏の収集艇
1 《反逆の先導者、チャンドラ
1 《ウルザの後継、カーン
1 《
-サイドボード(15)-
 

 1ターン目《ボーマットの急使》から走り出す、多くの人がイメージする赤黒の形。

 1マナ圏には他に《損魂魔道士》も採用。1ターン目から殴れるクリーチャーを展開しやすくしつつ、これの持つ「戦闘以外のダメージを-1/-1カウンターに変換する」能力により、緑の大型クリーチャーも《削剥》などでサイズダウンさせて対処が可能に。何より《ゴブリンの鎖回し》との相性の良さは、シナジーを越えてちょっとしたコンボだ。これで対戦相手の戦場をぐちゃぐちゃにして、反撃させない。これらにも耐えるようなクリーチャーは《無許可の分解》でポン。

 ボーマットをはじめ《歩行バリスタ》《屑鉄場のたかり屋》《ピア・ナラー》とアーティファクト・クリーチャーが豊富なデッキである。そこで、この手のデッキに定番の《反逆の先導者、チャンドラ》に加えて《ウルザの後継、カーン》もプレインズウォーカー枠で採用されている。

 [-2]で出てくるトークンも2/2以上のナイスサイズである確率がかなり高いってわけだ。打点を供給しつつカードも引けて忠誠度が高いと、このデッキのカーンは良いことづくめのパワフルカードとして対戦相手の前に立ちはだかるだろう。

 サイドボード後は特にこれらプレインズウォーカーでの勝利を意識しており、コントロールデッキにシフトする変形サイドを行って戦えるようになっている。中でも注目すべきは《最古再誕》!

 相手からクリーチャー(かプレインズウォーカー)と手札、2つのリソースを奪いつつ相手がやっとの思いで倒したチャンドラ or カーンを復活させる、というイジワルに溢れた英雄譚だ。今後このようなデッキでシブい活躍を見せてくれそう!

Martin Jůza - 「赤黒機体」
グランプリ・バーミンガム2018(スタンダード) 4位 / スタンダード (2018年5月12~13日)[MO]
13 《
4 《泥濘の峡谷
4 《竜髑髏の山頂
3 《産業の塔
1 《霊気拠点
-土地(25)-

4 《屑鉄場のたかり屋
4 《ゴブリンの鎖回し
2 《ピア・ナラー
4 《再燃するフェニックス
2 《栄光をもたらすもの
4 《歩行バリスタ
-クリーチャー(20)-
3 《マグマのしぶき
3 《削剥
4 《無許可の分解
3 《キランの真意号
2 《反逆の先導者、チャンドラ
-呪文(15)-
1 《ピア・ナラー
1 《栄光をもたらすもの
4 《強迫
2 《アルゲールの断血
1 《削剥
2 《大災厄
1 《グレムリン解放
2 《木端+微塵
1 《反逆の先導者、チャンドラ
-サイドボード(15)-
 

 プロツアー殿堂顕彰者マーティン・ジュザ/Martin Jůzaが使用したデッキでは、先ほどのリストとは打って変わって1マナ圏のクリーチャーは不採用。それらのクリーチャーは同型戦では《ゴブリンの鎖回し》などによって簡単につぶされてしまうし、単体で《キランの真意号》に搭乗できないため消耗戦になると引きたくないカードになってしまう。それらを排除して、より安定感を重視した中速デッキとして組まれたものになっている。

 赤黒は強いデッキであり、また実力者の多くが選ぶ可能性の高いデッキである。それを見越したうえで、《キランの真意号》《屑鉄場のたかり屋》のしぶとい攻めと《無許可の分解》で大型クリーチャーを無効化できるという赤黒の良さを残しながらも同型に強い形に調整してきた、半歩先を見た「赤黒機体」デッキだ。

 軽量クリーチャーを抜いて《マグマのしぶき》で相手のそれには応えられるように。さらに環境随一のしぶとさを誇る《再燃するフェニックス》を4枚採用、これで勝つという強い意志を感じる。

 どんなデッキを相手にしても強いカードであり、同型戦をはじめとする《封じ込め》などの追放除去がないデッキ相手のゲームでは攻防一体の不死鳥として大暴れしてくれる。序盤はやや受けにも回りつつ、これとメインから2枚採用された《栄光をもたらすもの》による空からの攻めでの勝利を狙う。

 いずれの形でも《ゴブリンの鎖回し》は4枚。

 《ボーマットの急使》に《地揺すりのケンラ》《ラノワールのエルフ》その他トークン……タフネス1を並べるデッキはこれ1体でジャリンジャリンと薙ぎ払う……2ターン目真意号、3ターン目に盤面に触れながら搭乗して攻撃という動きもでき、赤黒に安定感をもたらしているエースクリーチャーだ。

 今回のこの結果を受けて、鎖回しに無茶苦茶されるタイプのデッキの使用を避けるプレイヤーが増えることだろう。そうなると、今度はそういった小型クリーチャーをばら撒くデッキを苦手としていたデッキにスポットライトが当たることに……? さあ、その目で環境の変遷を確かめに行こう!

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