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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スゥルタイ・ミッドレンジ(スタンダード)

岩SHOW

 予測通りのデッキもあれば、こんなデッキは思いつかなかったと驚かされるものもある。環境最初期のトーナメント上位デッキは、いつも発見に満ちていて……リストを1つ1つ眺めているだけで楽しくなってしまう。

 今週は『ドミナリア』発売週に活躍したデッキを追いかけてきたが、最後は僕が個人的に最もグッときたリストを紹介しよう。スゥルタイ(青黒緑)カラーの中速(ミッドレンジ)デッキで、環境のパワーカードと、シブい働きをするカードをごちゃっと一堂に集結させた……なんというのかな、贅沢なフルコースのメニュー表のような、見ているだけでワクワクしてしまうものなのだ!

Todd Stevens - 「スゥルタイ・ミッドレンジ」
StarCityGame.com Team Open Atlanta 10位 / スタンダード(3人チーム構築戦) (2018年4月28~29日)[MO] [ARENA]
6 《
2 《
1 《
4 《異臭の池
4 《水没した地下墓地
3 《森林の墓地
1 《花盛りの湿地
2 《内陸の湾港
2 《植物の聖域
1 《廃墟の地
-土地(26)-

4 《禁制品の黒幕
1 《豪華の王、ゴンティ
2 《スカラベの神
4 《歩行バリスタ
-クリーチャー(11)-
4 《致命的な一押し
4 《宝物の地図
2 《喪心
1 《アズカンタの探索
2 《黄金の死
4 《ヴラスカの侮辱
4 《ウルザの後継、カーン
2 《秘宝探究者、ヴラスカ
-呪文(23)-
2 《貪る死肉あさり
2 《殺戮の暴君
2 《強迫
3 《帰化
3 《否認
1 《アルゲールの断血
2 《黄金の死
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 このデッキの主役は、間違いなく《ウルザの後継、カーン》だ。

 カーン!マジックを始めた頃からずっと好きなキャラクターで、目覚めたり蝕まれたり、いろいろあったんだけども今では「ウルザの後継」と呼ばれる立派なプレインズウォーカーに。

 僕は《精霊龍、ウギン》《解放された者、カーン》と無色のプレインズウォーカーが大好きで、この《ウルザの後継、カーン》も『ドミナリア』の中でかなりグッときている1枚。無色のプレインズウォーカーは重いデザインが続いていたが、ここにきて4マナととても使いやすいコストに。どんなデッキでも使えるが、どんなデッキで使ってもそのポテンシャルを発揮できるとは限らない、そんなデザインがたまらないのだ。このスゥルタイカラーのデッキは、どんなデッキでカーンを使えば良いのか迷っていた僕にとっては「その手があったか」と目から鱗であった。

 カーンはカードを得る能力を2つと、アーティファクトの数によってサイズが変動する構築物・トークンを生成する能力を持っている。特にトークンを生成する能力は、普通のクリーチャーデッキなんかで使っても悪くはないが、どうせならアーティファクトが並ぶデッキで使用したい……というわけでモダンの「親和」で強いのではないかという話を以前にしたが、スタンダードでは機体を使ったビートダウンならイケてるかな?くらいにしか考えていなかった。

 で、このリスト。青黒緑でアーティファクトが中心になっているわけでもない構成なのに、よく見ればカーンとシナジーを形成するカードがいっぱいなのだ。

 まず驚いたのが《禁制品の黒幕》! シブすぎる!

 2マナ1/4絆魂というスペックで、赤を中心とした各種クリーチャーによるビートダウンデッキに対して優秀な壁として機能してくれるカードだが、このカードの強みはその壁としての性能だけではない。アーティファクトが戦場に出ると占術1を行うことができ、ドローの質を高めることができる。これ、カーンが生成する構築物・トークンでもしっかりと能力が誘発するのだ。戦場にクリーチャーを投下しながら、より状況に合ったカードを引く可能性を上げる……地味ではあるが、こういう細かいアドバンテージがゲームの勝敗には影響してくるものなのだ。

回転

クリックで変身します

 さまざまなデッキで採用される《宝物の地図》も、アーティファクトであるため構築物・トークンのサイズアップに貢献し、毎ターンの占術1で3色デッキ特有の土地をうまく引けない問題が起こらないように支える。また、変身すると宝物・トークンを3つ生成し、これで構築物のサイズが一気に跳ね上がったり、《禁制品の黒幕》で占術1の3連打など、素晴らしい噛み合いを見せる。宝物を生け贄にして除去や各種パワーカードを引きに行くこともでき、カーンとともにこのデッキのエンジンを担っていると言っても過言ではない。

 《秘宝探究者、ヴラスカ》もクリーチャーを除去して自身やカーンを守りながら、同時に宝物を生成して構築物のサイズを大きくする。

 これ自身が純粋なパワーカードで1枚でゲームを支配することもでき、先にカーンを出すことで対戦相手に《ヴラスカの侮辱》や《イクサランの束縛》を使わせ、その後に堂々と登場させて圧倒する作戦を狙うのも良いだろう。消耗戦の末にうっかりプレインズウォーカーが2枚並べば、大体勝ち。

 《喪心》の加入でより強くなった除去で盤面をコントロールし、カーン&ヴラスカのコンビや環境最強の1枚《スカラベの神》で圧倒する。4~5ターン目くらいからこっちが攻める番だぜと動き出す、強者のデッキ感がたまらないね!

 カーンを引いたけど、どんなデッキを組んだらいいのか迷っている人は、ぜひこのデッキを参考に自分なりの構築に挑戦してほしいね! なんたって無色だから、可能性は無限大!

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