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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

赤緑エルドラージ(モダン)

岩SHOW

 2018年前半のトーナメントシーンは、プロツアーのフォーマットだったこともあって、モダンが注目を集める形となった。

 解禁カードの存在も大きいことかと思う。Magic Online Championshipがそうだったように、《血編み髪のエルフ》は赤と緑の2色を用いるデッキを大きく後押ししている。《精神を刻む者、ジェイス》よりもシーンに与える影響は大きいのかもしれない、そう思わせるほどだ。個人的にはスタンダード、今はなきエクステンデッド、レガシーにモダンと長きに渡って用いたカードなので、血編み旋風が巻き起こっているのは嬉しい限りだ。

 今日も先日行われたグランプリ・フェニックス2018にて決勝ラウンドに進出した《血編み髪のエルフ》採用デッキを紹介するとしよう。「赤緑エルドラージ」!

Michael Hughes - 「赤緑エルドラージ」
グランプリ・フェニックス2018 8位 / モダン (2018年3月17~18日)[MO] [ARENA]
1 《
2 《
1 《踏み鳴らされる地
2 《樹木茂る山麓
4 《燃え柳の木立ち
4 《カープルーザンの森
3 《魂の洞窟
4 《エルドラージの寺院
1 《ケッシグの狼の地
-土地(22)-

4 《貴族の教主
1 《漁る軟泥
4 《エルドラージの寸借者
4 《作り変えるもの
4 《血編み髪のエルフ
4 《難題の予見者
4 《現実を砕くもの
1 《終末を招くもの
-クリーチャー(26)-
4 《古きものの活性
4 《稲妻
2 《精神石
2 《四肢切断
-呪文(12)-
1 《漁る軟泥
2 《台所の嫌がらせ屋
2 《墓掘りの檻
2 《自然のままに
2 《大祖始の遺産
2 《古えの遺恨
2 《塵への崩壊
2 《仕組まれた爆薬
-サイドボード(15)-
 

 『ゲートウォッチの誓い』にて登場した中型エルドラージを用いたデッキは、同セット発売直後から模索され続けてきた。

 《ウギンの目》が使えなくなってからは《貴族の教主》《極楽鳥》とマナ・クリーチャーを採用し、これと《エルドラージの寺院》から2ターン目《難題の予見者》・3ターン目《現実を砕くもの》というパワフルムーブを狙った「バント・エルドラージ」が隆盛。ただ最近はこのデッキも使用率が下がってきている。

 そしてひそかにその勢力を伸ばしていたのが赤緑型。同じくマナ・クリーチャーからの加速が武器で、《エルドラージの寸借者》や《稲妻》といったカードでよりライフを攻める方向に特化したエルドラージ・ビートダウンだ。このデッキ、《血編み髪のエルフ》と相性が悪いはずがない!ということで最近その姿をちらほら見かけたのだが、グランプリトップ8に名乗りを上げるということはその実力は本物だったんだな。

 プレイングに難しい要素は少ない。マナ・クリーチャーと《精神石》で対戦相手よりも使えるマナを増やしながら、最大効率でエルドラージらクリーチャーを投下していく。赤緑という脳みそ筋肉感のある色の組み合わせながら、血編みに《作り変えるもの》にとアドバンテージを稼ぐ手段がしっかりと用意されている。手札を攻める《難題の予見者》、除去1枚では沈まない《現実を砕くもの》なんかもアドバンテージを得るカードと言えるね。

 これらに共通しているのは、いずれも攻撃向けのスペックであるということ。ガシガシ殴るとアドバンテージは失われがちなマジックにおいて、それを補完しつつも打点は低くならないというあたりが、エルドラージというクリーチャーの強さを物語っている。

 2色デッキと書いたが、実際には3色デッキだ。3つ目の色は無色。矛盾している表現だが、とにかく無色マナがなければこのデッキは始まらない。なので他のデッキではあまりその姿を見ることがない《カープルーザンの森》や、対戦相手にライフを与えるので普通のビートダウンでは使いづらい《燃え柳の木立ち》など無色マナを出せる土地が、《樹木茂る山麓》《踏み鳴らされる地》よりも優先して採用されているのだ。これらの土地が出てきたら、相手のデッキにはエルドラージが入っていると断定して間違いはないだろう。

 最強の無色土地は言わずもがな《エルドラージの寺院》で、これを引くと引かないとではデッキの動きが大きく異なる。なので主にこれを探す手段として、またすでにある場合はそこから展開するエルドラージを探すために《古きものの活性》を用いる。

 デッキ内の39枚のカードがヒットするので、ハズレなんてことはよっぽどじゃないとないはず。このカードの、1マナとは思えない手に入れることのできるカードの多さも、緑絡みのエルドラージデッキの強さを支えている。

 使えるマナを最大限に活かしてクリーチャーを展開して攻める、ただこれだけのことで対戦相手は圧倒されてしまうことだろう。扱いやすく、これからモダンを始める人にもオススメしたいデッキである。エルドラージたちは専用カードに見えて他のデッキ、たとえば「エルドラージ・トロン」などにも流用できるので、安心してコレクションに加えてやってほしい。

 いかに環境が変われども、2ターン目《難題の予見者》を苦にしないデッキなどない。この必殺ムーブを武器に、これからもどんどんと次元侵攻を行っていくことだろう!

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