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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ボロス機体(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ボロス機体(スタンダード)

by 岩SHOW

 足し算ばかりが正しいわけではない、それはデッキを作ってみる度に直面する事実だ(これとかね)。時には引き算も必要だ。余分なものをそぎ落とす、というアプローチはマジックの歴史でもそれはそれは多く見られ、時に大成功を収めることも。

 今回もそんな、引き算的アプローチで組まれたデッキがグランプリTOP8を勝ち取ったのでご紹介しよう。「ボロス機体」だ!

Alain Bardini - 「ボロス機体」
グランプリ・トリノ2017 6位 / スタンダード (2017年9月2~3日)[MO] [ARENA]
6 《平地
3 《
4 《感動的な眺望所
4 《鋭い突端
4 《霊気拠点
2 《ラムナプの遺跡

-土地(23)-

4 《スレイベンの検査官
4 《模範的な造り手
4 《経験豊富な操縦者
3 《栄光半ばの修練者
2 《模範操縦士、デパラ
2 《ピア・ナラー

-クリーチャー(19)-
3 《削剥
3 《停滞の罠
4 《キランの真意号
4 《霊気圏の収集艇
2 《反逆の先導者、チャンドラ
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-呪文(18)-
3 《大天使アヴァシン
2 《マグマのしぶき
1 《削剥
1 《石の宣告
1 《排斥
2 《燻蒸
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
2 《先駆ける者、ナヒリ
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン
1 《屍肉あさりの地

-サイドボード(15)-

 『カラデシュ』発売後からスタンダード環境で存在感を示し、進化を続ける機体デッキ。その最初期こそ赤白の2色のものが登場したが、《無許可の分解》というダメージも与えられる万能除去を使わない手はない、ついでに《屑鉄場のたかり屋》も採用しちゃえと組まれた「マルドゥ(白黒赤)機体」が主流となる。このデッキは3色であるがゆえに対応力も高く、さまざまなカスタマイズを施して世界中のプレイヤーが愛用し、今日に至る。

 そして『イクサラン』発売による環境変化を前にした、いわゆる「環境末期」に来て、この「マルドゥ機体」から黒を抜いた赤白、「ボロス機体」が活躍したってのだから、こりゃ面白い。

 黒を採用するメリットは、先にも触れたがやはり除去。《無許可の分解》に加えて軽くて使いやすい《致命的な一押し》、そしてサイドボードにはクリーチャーのみならず土地以外なんでも触れる《苦渋の破棄》なども取られることが多い。これらがなくても、果たして問題はないのか。

 どうやら、現状赤と白の呪文でもどうにかなるようである。《苦渋の破棄》は《排斥》に置き換えることが可能、ダメージこそついてこないが《停滞の罠》も《無許可の分解》にとって代わる3マナ除去となってくれる。

 そしてここに加わるのが《削剥》。このカードは2マナのインスタント3点ダメージであり、アーティファクト破壊も兼ねているため大変使いやすい(プレイヤーに飛ばせないのは......さすがにねだり過ぎというものだ)。これらがあれば、黒の除去がなくても大丈夫!

 さて、黒が抜けて2色デッキになるということは、「マルドゥ機体」の敗因の中でも大きなウェイトを占めていたマナトラブルが緩和されるということである。黒マナが出ない、赤マナが出ない、タップイン土地のオンパレードで思ったように動けない......そういった問題から解放されて、《鋭い突端》のような強力なカードを4枚のびのびと採用できるのは良いことだ。ストレスフリー、これ大事。

 赤白の2色に帰ってきたことで、長らく出番のなかった《模範操縦士、デパラ》もイキイキ。合計8枚の機体カードを強化し、それらとまとめてドワーフもたくましく育て上げる。それらが捌かれてしまっても、能力でガンガン補充できるので問題なし。尽きぬアドバンテージを見せつけてやろうじゃないか。

 《霊気圏の収集艇》《栄光半ばの修練者》を採用することで、ライフを常に一定の値に保ちながらダメージレースを制していくことも可能となっている。このライフ回復手段の採用、タップイン土地を極力排除し2色にまとめた作り......おそらくは、対「ラムナプ・レッド」を意識して組まれたものなのだろう。グランプリという舞台であれば、依然としてこの赤いアグロデッキを使用するプレイヤーは多いことだろう。それらに取りこぼさないように組めば、勝ち星を稼げる。その読みがハマって、TOP8という結果につながったんじゃないかな。

 時期的にはもう日本選手権も終わって、皆の気持ちは次なる環境へ向かっていることだろう。これを書いているのは日本選手権開催前。その結果も踏まえて、これら環境末期に誕生したリストが果たして次期環境で生き残るのか否か? そんなことを考えてみるのも面白いんじゃないだろうか。機体はローテーションを受けても丸々残るしね!

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