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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス現出(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス現出(スタンダード)

by 岩SHOW

 前スタンダード環境において存在感を示したデッキとして、個人的には各種「現出」系のデッキを推したい。最も強烈な能力を持つのは《老いたる深海鬼》という認識で間違っていないだろう。これを現出コストを支払って早いターンのうちに戦場に出して、対戦相手のパーマネントをタップしつつ墓地の《コジレックの帰還》の能力を誘発させて更地を作り上げる......この現出持ちと墓地から戦場に戻るクリーチャーを組み合わせて、アドバンテージを得ながら驚異的な展開を行うその姿に、僕らは魅せられた。

 「現出ドレッジ」と、そこから派生した「ティムール現出」といったデッキは、ここしばらくのスタンダードでは見ることのなかった、良い意味で気持ち悪い動きはマジックプレイヤーを惹きつけるもので、試合を実況していてもこの上なく楽しい。

 そんな現出デッキは『カラデシュ』ローテーションに際して失ったものがほとんどなく、かつ得たものは多数という、恵まれしデッキタイプだ。早速結果を残しているデッキがあったのでご紹介しよう。「グリクシス現出」デッキだ!

Zach Voss - 「グリクシス現出」
StarCityGames.com Standard Open Indianapolis 準優勝 / スタンダード (2016年10月1~2日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《
3 《
3 《窪み渓谷
4 《燻る湿地
3 《尖塔断の運河
3 《ウギンの聖域
4 《進化する未開地

-土地(23)-

4 《傲慢な新生子
2 《墓所破り
4 《屑鉄場のたかり屋
4 《秘蔵の縫合体
4 《憑依された死体
2 《不憫なグリフ
4 《老いたる深海鬼

-クリーチャー(24)-
4 《安堵の再会
2 《終わりなき時計
3 《コジレックの帰還
4 《密輸人の回転翼機

-呪文(13)-
2 《膨らんだ意識曲げ
3 《侵襲手術
2 《稲妻の斧
3 《集団的蛮行
1 《コジレックの帰還
2 《即時却下
2 《最後の望み、リリアナ

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 現出クリーチャーが持つ青マナは固定として、このデッキではそれらのクリーチャーに至るまでをサポートする色として黒と赤が選ばれている。黒を用いる理由としては、手札を墓地に捨てることが出来る《墓所破り》、そして墓地から戦場に出るクリーチャーとして非常に優秀な《憑依された死体》が使えることにあった。『カラデシュ』環境ではこれに加えて、新たなる墓地から帰還するクリーチャー《屑鉄場のたかり屋》が使えるようになった。

 イニストラード産のゾンビたちが手札を消費するのに対し、この構築物は墓地のクリーチャーカードを糧として戦場に出てくる。この方が戦場に戻ってくるのはより簡単で、また普通に唱えるのにも色マナを要求しないので扱いやすい。いわゆる「求めていた品質」というやつ。

 赤いカードは現出コンボに絡む《コジレックの帰還》と、手札を捨ててカードを引くための《傲慢な新生子》と期待の新戦力《安堵の再会》。

 《安堵の再会》は手札を2枚捨ててカードを3枚引くという、まさしくこんなカードが欲しかったという1枚。このデッキでも先述の《屑鉄場のたかり屋》+それの餌や一緒に蘇る《秘蔵の縫合体》を捨てることができるのはオイシイね。

 墓地を肥やすために用いられるのも『カラデシュ』で新たに追加されたアーティファクトだ。《終わりなき時計》はタップすることで自身のライブラリーを2枚墓地に置くことができる。大げさに言えば、毎ターン追加の2枚ドローをしているようなものだ。これで《屑鉄場のたかり屋》《秘蔵の縫合体》《憑依された死体》を埋められればその分アドバンテージを得られるからね。

 機体デッキのエースである《密輸人の回転翼機》は、このデッキでも大車輪の活躍を見せる。1枚引いて1枚捨てる、いわゆるルーター能力がこのデッキでは活きてくる。3/3飛行で殴りつつゾンビを蘇らせて現出エルドラージに繋ぐなど、実に良い動きを見せることだろう。《傲慢な新生子》はこれに搭乗できるため、これまでよりも後半に引いてきた時にやれる仕事が増えたというのも地味に嬉しい。

 『カラデシュ』には《金線の使い魔》という「現出してください!」と書かれているようなカードも収録されている。発明の次元と他者の肉体を乗っ取るエルドラージがシナジーを形成するとは思いもしなかった......まさかここまで完成度の高い現出デッキが登場するとは。ここからさらに完成度を高められるのか? デッキパワーは十分に見えるが、果たして世界中のプロプレイヤーたちが持てる力を総動員してデッキを作り上げるプロツアーという大舞台で、活躍することができるのか? 要注目!

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