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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

今日の1枚:Shahrazad

浅原 晃

 1993年12月17日、マジックで初めてのエキスパンション『アラビアンナイト』が発売されたのじゃ。このセットは有名な「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」をテーマにしたものじゃ。ちなみに「千夜一夜物語」の概要を簡単に話すと、人間不信となったペルシャの王に妻のシェヘラザードが毎夜話を聞かせ、その不信を解いていくのじゃが、その聞かせた話を集めた説話集なのじゃ。

 そこで、今日は『アラビアンナイト』から、その語り手をカード化した、《Shahrazad》を紹介していくぞい。

 あなたも語り手の気分になれる、そんなデザインで生み出されたのが《Shahrazad》なのじゃ。元の世界観や人物像のイメージから、マジックの能力へと当てはめていく、『アラビアンナイト』はそんなトップダウン・デザインのセットなんじゃ。

 そして、この《Shahrazad》は残りのライブラリーで、サブゲームを始めてしまうカードなのじゃな。アラビアンナイトは物語の中で物語を語る作中作としても有名じゃろう? それを、ゲーム内で再現するとどうなるか? ゲーム中ゲームしかなかろう、というわけでな、サブゲームが始まり、負けた方はライフの半分を失って元のゲームに戻ってくる、そんな前代未聞のカードが生まれたのじゃ。黎明期ならではの制約のない、自由な発想で生まれたカードと言えるじゃろう。

 では、このフレイバーを再現した美しいデザインのカードがどういう評価を受けたかというと、ふぉっふぉっふぉ、大不評じゃった。最初の1回は面白いカードといった印象もあったのじゃが、とにかく時間も場所も取るカードじゃったし、1本目を先取した相手が時間稼ぎに使う戦法も生まれたから、人間不信を解くはずの話が人間不信になってしまう、そんなカードになってしまったのじゃな。そして、サブゲーム中にサブゲームが発生と、聞きたくもない話を延々とされるパターンもあってのう、さっくりと禁止カードに指定されたのじゃ。シェヘラザードも毎夜違う話をしたから良かったわけで、同じ話は何回もするものではないということかもしれんのう。

 その点、わしのコラムも、マジック界の千夜一夜物語と言われておるからな……え、話が長くて眠くなって来た? ふぉっふぉっふぉ、わしの千夜一夜は一筋縄ではいかんぞい、物理的に寝かすかーい! カーンカーンカーン(フライパンを叩く音)

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