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ガフ提督の「ためになる」今日の1枚

フレイアリーズの「グッとくる」マジック英雄譚 今日の1枚:荒廃の天使

浅原 晃
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 アポカリプス? そうか、2001年6月6日はファイレクシアとドミナリアの戦いが決着した、『アポカリプス』が発売された日だったな。重厚なストーリーに強力なカードたち、プレイヤーの記憶に鮮烈に残ったセットの1つだ。カード1つ1つを挙げれば無限に語れるセットだが……そうだな、前に《猫族の戦士ミリー》を紹介しただろう? 今日はそのミリーを殺したクロウヴァクス、そして、彼の愛した天使、セレニアの話をしようか。

 アーボーグの貴族の子であったクロウヴァクスがセレニアと出会ったのは少年の時だ。一族に代々受け継がれた指輪に封じられていた天使、セレニアに一目惚れした彼はそれを持ち歩くようになった。

 その後、青年へと成長した彼はウェザーライト号に乗り、ジェラードらと行動をともにする。しかし、ファイレクシアとの戦いで彼の一族は皆殺しとなり、傷心と自責の念から、故郷に墓守として1人残ることとなった。

 しかし、彼は孤独に精神を病み、それを癒すため、愛するセレニアを解き放った。だが、セレニアは彼の愛に応えず、飛び立っていってしまった。そして、彼は再びウェザーライト号へと乗ることになった、セレニアに会うために。

 しかし、彼の前に現れたのはファイレクシアを先導する《闇の天使セレニア》だったのだ。彼は苦悩し、仲間を窮地に晒せないと、自らの手で愛するセレニアを殺した。だが、セレニアには呪いが掛けられていた、セレニアを殺した者をファイレクシアの僕とする呪いがな。そして、クロウヴァクスは愛する天使を殺しただけでなく、自らが守るべき仲間という想いも呪いによって奪われたのだ。

 その後、ミリーを殺し、ファイレクシアの司令官《隆盛なるエヴィンカー》となったクロウヴァクスはドミナリアへと侵攻するも、最後は《ジェラードの評決》にあるように、決闘に敗れて死んだ。だが、この過酷な運命の中で彼の唯一の救いは、セレニアの復活をヨーグモスに願っていたことかもしれない、《荒廃の天使》は蘇ったセレニアの姿だからな。彼は愛する者に最後に会い、その魂は、彼女によって安息の地へと運ばれていったのだ。

 《荒廃の天使》は能力も《ハルマゲドン》付きと派手だから、出された瞬間に魂を連れていかれたプレイヤーも多かったかもしれないな。

 ふふふ、マジックはカード1つ1つの中に語りきれない大きな物語がある、『アポカリプス』もそういうセットなんだ。私? 私も当然、《破滅的な行為》で存在感をバシッと出しているぞ。もう、こんな大破壊は必要ないだろうがな……何? 『モダンホライゾン』でヨーグモスが《スランの医師、ヨーグモス》となってカード化だと? おのれ……よし、待ってろ、押し入れから、次元爆弾を取り出してくるから!

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