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週刊デッキ構築劇場
清水直樹のデッキ構築劇場・シミック王国の復活
読み物
週刊デッキ構築劇場
2013.02.04
清水直樹のデッキ構築劇場・シミック王国の復活
演者紹介:清水 直樹
言わずとしれた、デッキ構築劇場看板役者。主な戦績は、プロツアー・アヴァシンの帰還 トップ8、プロツアー・オースティン2009トップ8、グランプリ・京都2007トップ8、日本選手権2006トップ8など。
「シミックの王子」の二つ名で呼ばれるように、シミックギルド(青緑)を愛し、青緑を含むデッキを構築した数で言えば、日本ではトップ、世界でも屈指のデッキビルダー。個性的なデッキ名をはじめとした数々のパフォーマンスには多くのファンがおり、青緑を使うプレイヤー数の増加に多大な貢献を果たした。
また、交友関係も広く、清水を中心としたコミュニティの爆発的な広がりを『爆発的青緑(パンシミック)』と表現することもある。
代表作は、スクリブ&フォース・セル・ABSOLUTE ZERO・ユグドラシル・イオナズン他多数。
『ギルド門侵犯』デッキ構築劇場:シミック編
みなさんこんにちは!
というより、お久しぶりです!
諸事情により、少しの間構築劇場はお休みをいただいていましたが、この『ギルド門侵犯』発売に合わせて満を持して復活しました!
いよいよ、今度こそ、本格的に我が「シミック王国」の復活です!!
思えばここまで長い闘いでした。2006年の『ディセンション』からかれこれ7年。当時を知っている人がむしろ少ないかもしれません。僕は「青緑」という色の組み合わせの大きな魅力に取りつかれ、以後(ヘンテコな)青緑のデッキを作っては大会に持ち込み続けました。
いつしか僕は「シミックの王子」なんていうありがたい肩書を頂くようになりました。とてもキャッチーで、かつ中二病の僕にもマッチしているのでかなり気に入っています。Twitterのアカウントなんて"princeofsimic"ですし。
さて、そんな活動を続けていたら、海外でも僕のシミック好きは知られるようになっていたみたいで、先日のプロツアーではこんなインタビューを受けました。
「君は日本でシミック大好きとして知られていると聞いています。そこで質問ですが、シミックの魅力は何ですか?」
この質問は何回か受けたことがあるのですが、僕はいつもこのように返しています。
「マジック:ザ・ギャザリングにおいて、一番クリーチャーが強い色は何ですか?」
......多くの人は、「緑」と答えます。
「では、マジック:ザ・ギャザリングにおいて、一番クリーチャーでない呪文が強い色は何ですか?」
......多くの人は、「青」と答えます。
「したがって、マジック:ザ・ギャザリングにおいて最強の色の組み合わせは、青緑です。Q.E.D」
色々と論理の飛躍とかあるだろとか突っ込まれそうですが、大体納得してもらえます(笑)。
そうです。緑の強力なクリーチャーを、青の便利な呪文でバックアップする、それがシミックの魅力なのです。時にはこの組み合わせが強力なコンボを形成することもあります。過去の例を出せば、《対立》と《自然発生》なんかがその典型です。これぞまさしく青緑!という感じのコンボで、僕が青緑好きになっていったのもこのコンボがスタンダードで使えた時期からになります。(もう12年も前です......笑)
さて、そんなシミックの魅力を語らせていただいたところで、今回はどのようなデッキを構築劇場してしまうのでしょうか。その前に、まずこの方にご挨拶をしておきましょう。今後もお世話になるかもしれないですし。
――お初にお目にかかります。「シミックの王子」です。
《首席議長ゼガーナ》「うム」 |
――今回あなたのようなとっても強そうなギルドマスターを迎えることができ、とても光栄です
「よきにはからってくれたまえ」 |
――そ、そうですね、とりあえず《ウルフィーの銀心》と結魂したらなんか凄い枚数引けるんじゃないかと思っています。
「《修復の天使》とも相性がいいぞヨ」 |
――さすがですね。しかし早速白が混ざってしまっては今回の構築劇場のコンセプトには合いませんね...今回はそのコンボは諦めましょう。
「なんと......王子の次回作にご期待下さい」 |
というわけで、最初は《首席議長ゼガーナ》さんをピックアップして使っていこうかということも考えていたのですが、ゼガーナさんが言うとおり他の色を足したくなる衝動に駆られてしまうので今回はやめておきます。ごめんね議長!
代わりに、今回ピックアップするのはコイツです!
じゃじゃじゃーん!
4匹並んだら祝勝利! 新たな勝利条件カードの登場です。
とりあえずデッキに4枚入れてー、4枚並べれば勝利ー!!
......どんな確率やねん!
っていうか1体でも除去されたら詰み......
これはただ普通にデッキに入れるだけではとても達成できません。ではどうすればよいでしょうか?
そうだ、コピーしてしまえばいいんだ!
《大笑いの写し身》《クローン》といったカードが今のスタンダードにはありますね。これを使えば枚数の水増しができます!
特に《大笑いの写し身》は1枚で2体分用意できるので相性がいいかも。さらに《大笑いの写し身》はコピートークンが出るので、セレズニアから「居住」を借りてくるともっといいかも。
しかし、「コピー」というのをヒントにカードリストを探していたら、なんとこんなカードが今のスタンダードにはありました!
そもそも効果を知っている人が少ないかもしれないレベルのマニアックなカードですね。伝説のクリーチャーにつけちゃうと大変なことになっちゃったりするオーラですが、通常のやり方としては、相手の強そうなクリーチャーにエンチャントして(例えば《スラーグ牙》とか)自軍をいきなり強化するというような使い方ができるカードです。
ただ今回は、《無限反射》を《先端生物学者》につけることで、一気に勝利条件の達成を狙います!
条件は簡単。なんでもいいのでクリーチャーが《先端生物学者》以外に3体。その状態で《先端生物学者》に《無限反射》を付けると、自分のクリーチャーが全部《先端生物学者》になって祝勝利!
ターン終了時にチェックを行うので、相手はソーサリー呪文で対処することができません!多色であることで《究極の価格》も避けられるので、実は結構決まりやすいんじゃないか!?
というわけで今回はこの「いきなり俺の勝ち♪」となるコンボを軸にデッキを考えていきたいと思います。
しかし、考えていく上で1つ大きな壁にぶち当たりました。
コンボデッキを考えていく上で、重要な要素となるのはコンボを揃えやすいかどうかなのですが、今のスタンダードの青緑では「ライブラリーから《先端生物学者》を探してくる」ことができるカードがほぼ存在しません!! 《ヴェールの呪いのガラク》がいますが、条件があまりにも厳しい......
これはコンボをそろえるのも大変だ......
なにかいい方法はないものか......
......!
あったーーーーー!!
以前自分自身の構築劇場でフィーチャーしたカードですが、もういちど効果をおさらいしておきます。
- ライブラリーの一番上をめくる
- 戦場に出せる?
- いいえ→乙!! (インスタント・ソーサリー、クリーチャーがいないのにオーラがめくれた...など)
- はい→そのカードを戦場に出して、最初へ戻る
つまり、戦場に誰もいなくても《原初のうねり》を撃つと《先端生物学者》と《無限反射》がいきなり戦場に揃っちゃって大勝利!? ということが起こるのです!!
ただ注意しなくてはいけないのは、《先端生物学者》が先に戦場に出てくる必要がある、ということですが......
これは面白いデッキになりそう! というわけで今回のデッキはこちらです!
10 《森》 2 《島》 4 《繁殖池》 4 《内陸の湾港》 3 《魂の洞窟》 -土地(23)- 4 《東屋のエルフ》 4 《エルフの幻想家》 4 《円環の賢者》 4 《ザーメクのギルド魔道士》 4 《先端生物学者》 4 《エルフの大ドルイド》 4 《練達の生術師》 -クリーチャー(28)- |
4 《無限反射》 2 《原初のうねり》 3 《情け知らずのガラク》 -呪文(9)- |
4 《ウルヴェンワルドの足跡追い》 3 《クローン》 2 《自然の伝令、イェヴァ》 3 《解放の樹》 2 《獰猛さの勝利》 1 《情け知らずのガラク》 -サイドボード(15)- |
《原初のうねり》《無限反射》という重い呪文のマナコストをクリアするため、新加入の《円環の賢者》を採用しました!
こいつはさりげなく種族が「エルフ」なので、《エルフの大ドルイド》を久々に引っ張り出してくることができます! ただ残念なことに、《円環の賢者》→《エルフの大ドルイド》と順にプレイすると《円環の賢者》が+1/+1修正されるせいで進化できなくなってしまうので、そこはご注意を!
その他エルフカードを並べていくことで、《先端生物学者》のコピーの土台とします。4枚並べることができれば《先端生物学者》+《無限反射》のコンボでゲームに勝利することができます!
また、エルフカードをたくさん並べれば《エルフの大ドルイド》から大量のマナが出るようになるので、《原初のうねり》をキャストできるようになるでしょう。このデッキでは、《原初のうねり》以外のカードは全てパーマネントカードで構成されていますので、ひとたび《原初のうねり》の解決に入れば戦場はあなたのパーマネントで埋め尽くされることでしょう。そうすれば、《先端生物学者》《無限反射》のコンボ達成も夢ではありません!
しかし、それでもやはりコンボをサーチできないという弱点は払拭しきれていません。そこで、今回は「コンボが揃ってなくてもなんとかなる」ように工夫をこらしてみました。それが《練達の生術師》です。
このクリーチャーに書いてあることはとんでもなくて、こいつ以降に出てくるクリーチャーは全部+2/+2修正されるようなものです。もちろん種族はエルフなので、《エルフの大ドルイド》で強化されているとその追加の+1/+1カウンターの数も増えちゃいます。《エルフの幻想家》でも十分に活躍できるようなサイズになってしまいます! サイズ勝負ができるようになれば、仮にコンボが揃わなくても普通にアタックしてゲームに勝ちに行くことができます。
更に、こいつに《無限反射》をつけるとそれはそれは大変なことになります。大変すぎて数えるのがすこし怖いのですが、たとえば戦場に2体《練達の生術師》という状態になると、次に出るクリーチャーには+1/+1カウンターが4個乗ります。
そのうえでそのクリーチャーは《練達の生術師》ですから、次に出るクリーチャーには+1/+1カウンターが4+6で10個乗って、しかもそのクリーチャーは《練達の生術師》で......ひえぇー!
こんなパワーがあれば、きっとちょっと攻撃するだけですぐに相手をやっつけることができるんじゃないでしょうか? 《先端生物学者》でなくてもゲームに勝てるということで、コンボの弱点は大きく緩和されたといえるでしょう。
デッキの残りのカードは、できるだけコンボを揃えていく必要があるということで、カードを引ける能力を持ったカードを中心に集めてみました。
《ザーメクのギルド魔道士》はエルフであり、かつ《練達の生術師》とも相性が抜群ということで採用しています。《無限反射》などを引けなければ恐らくマナもあまりがちでしょうし、両方の能力を有効に活用できると思います。今後のスタンダードでも《絡み根の霊》とのプチコンボはよく見かけるようになるかも!?
《エルフの幻想家》もカードを引けるエルフで、更に場に残ると《無限反射》のタネにもなり、非常にこのデッキと相性がいいカードです。
サイドボードでは《ウルヴェンワルドの足跡追い》が特徴的なものとなっています。クリーチャー除去能力がほぼないデッキなので、どうしても必要になった場合には《ザーメクのギルド魔道士》あたりと差し替えで入れていくとよいと思います。
あとは、癌となりうる《至高の評決》に対して《自然の伝令、イェヴァ》の瞬速で対抗しています。《至高の評決》のようなリセット呪文を持つデッキに対しては、コンボで勝つことは難しいのです。そうなったときにこの4/4というサイズと瞬速の能力は非常に頼もしいものになります。
デッキ名は、《無限反射》にちなんで、それを利用したおもちゃである「万華鏡」にしてみました! ちょっとエレガントな感じが出ています!?
さて、今回の「復活シミック編」はここらで終わりにしたいと思います。早速面白そうなコンボデッキを組むことができました。
間もなくスタンダードでプロツアー「ギルド門侵犯」も行われますし、そこで我らがシミックがどのような活躍をしてくれるのか、とても期待しています!
それでは、Decks, be Ambitious!!
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