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『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ
『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ トップ8ラウンド ハイライト
2020年12月6日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップは、最後に優勝トロフィーを掴むという夢を持った184名で始まった。そしてスタンダードとヒストリックの2フォーマットにわたり行われた予選ラウンド15回戦を経て、その夢を実現するべく再び舞台に上がる8人が決した。
ダブルエリミネーション方式で行われるトップ8ラウンドでは、ヒストリックが採用された。『ゼンディカーの夜明け』と『Jumpstart』の登場に加えて、この人気フォーマットにさらなる革新をもたらすべく追加された『アモンケットリマスター』と『カラデシュリマスター』の影響により、ヒストリックは今まさに激変を起こしている。
参考までに、今大会の予選ラウンドにおけるスタンダードとヒストリックのメタゲームまとめを以下に示そう。ヒストリックでは最高の勝率を記録したアーキタイプを《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が支えており、トップ8入賞に向かって取り組んできたプレイヤーは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を使うかその対抗策を用意してきたことが伺える。
だがこれは、トップ8が決まるまでの話に過ぎない。ここからは、データでは測れない展開が待っているのだ。
アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucci(右)
トップ8ラウンドはMPL選手同士の決戦で幕を開けた。2連続トップ8入賞のオータム・バーチェットとイタリアのアンドレア・メングッチ――《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を擁するメングッチ対「ゴブリン」を操るバーチェットの対戦だ。
16 《山》 4 《エンバレス城》 2 《ファイレクシアの塔》 -土地(22)- 4 《スカークの探鉱者》 4 《人目を引く詮索者》 4 《ずる賢いゴブリン》 4 《ゴブリンの酋長》 4 《ゴブリンの女看守》 3 《ゴブリンの戦長》 4 《群衆の親分、クレンコ》 4 《上流階級のゴブリン、マクサス》 -クリーチャー(31)- |
2 《精神石》 2 《通報の角笛》 3 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(7)- |
1 《ゴブリンのクレーター掘り》 2 《宝石の手の焼却者》 2 《ゴブリンの首謀者》 1 《ゴブリンの損壊名手》 4 《削剥》 2 《通報の角笛》 2 《アイレンクラッグの妙技》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
2 《森》 2 《島》 1 《沼》 1 《平地》 4 《繁殖池》 1 《草むした墓》 1 《陽花弁の木立ち》 1 《湿った墓》 2 《水没した地下墓地》 1 《氷河の城砦》 4 《インダサのトライオーム》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 3 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(9)- |
4 《思考囲い》 2 《致命的な一押し》 4 《成長のらせん》 2 《霊気の疾風》 2 《取り除き》 2 《本質の散乱》 3 《絶滅の契機》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(23)- |
2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 1 《破滅を囁くもの》 2 《霊気の疾風》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《取り除き》 1 《肉儀場の叫び》 3 《サメ台風》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
イングランド選手権優勝2回の記録を持つバーチェットは、「ゴブリン」デッキをヒストリックで愛用していると語る。《通報の角笛》が加わったことで、このデッキは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《ハイドロイド混成体》が生み出す莫大なカード・アドバンテージと渡り合える手段を増やした。
バーチェットのプランは決着のゲームで完璧にはまった。《人目を引く詮索者》も《群衆の親分、クレンコ》という最高の相棒を引き当て、「ゴブリン」デッキがトップ8ラウンド最初の勝利を挙げたのだった。
続く対戦は、少なくともテーブルトップの実績ではあまりに偏りのあるマッチアップになった。「Magic: The Gathering Česko Slovenská Liga」での成功に始まる長い道のりを経て『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップの舞台にたどり着き、自身初のトップ8入賞を果たしたトマス・ポコルニー/Tomáš Pokornýが、15回目のトップ8入賞を達成した殿堂顕彰者ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifに挑むのだ。
トマス・ポコルニー(右)
2 《森》 2 《島》 1 《沼》 4 《繁殖池》 4 《草むした墓》 4 《寓話の小道》 2 《異臭の池》 3 《水没した地下墓地》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 2 《ロークスワイン城》 -土地(28)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 3 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(6)- |
4 《思考囲い》 3 《致命的な一押し》 4 《成長のらせん》 2 《霊気の疾風》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《本質の散乱》 2 《肉儀場の叫び》 2 《大渦の脈動》 2 《絶滅の契機》 1 《サメ台風》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(26)- |
1 《漁る軟泥》 1 《長老ガーガロス》 1 《墓掘りの檻》 3 《否認》 1 《霊気の疾風》 1 《取り除き》 1 《肉儀場の叫び》 3 《サメ台風》 3 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
2 《森》 2 《島》 1 《沼》 4 《繁殖池》 1 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 2 《湿った墓》 1 《水没した地下墓地》 2 《氷河の城砦》 4 《インダサのトライオーム》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 3 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(7)- |
4 《思考囲い》 3 《致命的な一押し》 4 《霊気の疾風》 4 《成長のらせん》 2 《ネスロイの神話》 3 《絶滅の契機》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(25)- |
1 《平地》 3 《トカートリの儀仗兵》 3 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 2 《否認》 2 《肉儀場の叫び》 3 《サメ台風》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
しかしポコルニーは、ナシフを相手にしても萎縮せず戦った。この生ける伝説との緊張感あふれる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》同系戦を制し、トップ8ラウンドでの力強い前進を始めたのだ。
もう一方の側の準々決勝では、ブラッド・バークレイ/Brad Barclayの《ドミナリアの英雄、テフェリー》がルカ・マーニ/Luca Magniの「4色ミッドレンジ」をじわじわと追い詰めた。
ルカ・マーニ(右)
5 《島》 4 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《灌漑農地》 4 《氷河の城砦》 3 《アーデンベイル城》 2 《ヴァントレス城》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
2 《墓掘りの檻》 4 《検閲》 3 《不可解な終焉》 1 《霊気の疾風》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《アズカンタの探索》 4 《吸収》 4 《排斥》 4 《神の怒り》 4 《サメ台風》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(34)- |
3 《ドビンの拒否権》 1 《不可解な終焉》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《本質の散乱》 1 《封じ込め》 3 《神秘の論争》 2 《機を見た援軍》 1 《空の粉砕》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
2 《森》 2 《島》 1 《沼》 1 《平地》 4 《繁殖池》 2 《草むした墓》 3 《湿った墓》 1 《寺院の庭》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 3 《インダサのトライオーム》 1 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 3 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(9)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 4 《成長のらせん》 2 《霊気の疾風》 1 《取り除き》 1 《ネスロイの神話》 2 《ヤヘンニの巧技》 1 《絶滅の契機》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(23)- |
2 《漁る軟泥》 2 《長老ガーガロス》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《霊気の疾風》 1 《取り除き》 1 《ネスロイの神話》 2 《サメ台風》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
爆発的な速度のヒストリックにおいては力不足だと多くのプレイヤーに認識されていた「アゾリウス・コントロール」だが、その乗り手であるスコットランドのベテラン・プレイヤーはこの週末、予選ラウンドのヒストリック部門で7戦全勝という最高の成績を収めているのだ。
ヤン=モーリッツ・メルケル/Jan-Moritz Merkel(右)
2 《森》 2 《島》 1 《沼》 1 《平地》 4 《繁殖池》 1 《草むした墓》 1 《陽花弁の木立ち》 1 《湿った墓》 1 《氷河の城砦》 2 《水没した地下墓地》 4 《インダサのトライオーム》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 3 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(9)- |
4 《思考囲い》 2 《致命的な一押し》 4 《成長のらせん》 2 《霊気の疾風》 2 《取り除き》 2 《本質の散乱》 3 《絶滅の契機》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(23)- |
2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 1 《破滅を囁くもの》 2 《霊気の疾風》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《取り除き》 1 《肉儀場の叫び》 3 《サメ台風》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
3 《森》 2 《島》 2 《沼》 4 《繁殖池》 4 《草むした墓》 1 《異臭の池》 3 《水没した地下墓地》 4 《ゼイゴスのトライオーム》 1 《ロークスワイン城》 4 《寓話の小道》 -土地(28)- 1 《漁る軟泥》 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 4 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(9)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 3 《成長のらせん》 2 《霊気の疾風》 1 《物語の終わり》 1 《大渦の脈動》 2 《絶滅の契機》 1 《衰滅》 1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(23)- |
2 《漁る軟泥》 2 《再利用の賢者》 1 《探索する獣》 1 《見栄え損ない》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《本質の散乱》 2 《神秘の論争》 1 《肉儀場の叫び》 1 《魔女の復讐》 2 《サメ台風》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
最後の準々決勝ではブラッド・ネルソンがヤン=モーリッツ・メルケルを敗者側ブラケットへ叩き落とし、戦いの舞台は準決勝へ。ネルソンとバークレイの試合の勝者との戦いへ進むべく、バーチェットとポコルニーが対峙する。
その試合は長くは続かなかった。バーチェットはこの週末を通して攻撃の達人であることを証明してきたが、スタンダードの「グルール・アドベンチャー」で立ちはだかる壁を突破してきたことに加え、ヒストリックでもポコルニーを素早く打ち倒し快走を続けたのだ。一方、バークレイは対照的にネルソンが繰り出す呪文を冷静に打ち消し、最終ゲームを掌握した。こうして、勝者側ブラケット決勝の舞台が整った。
コントロール・デッキが攻撃的な赤のデッキに苦しめられるのはよくあることだ。とりわけ、盤面をクリーチャーで埋めて単体除去をものともしないデッキ相手は厳しい。しかし、確かにバーチェットの「ゴブリン」デッキの勝ち手段はそれに当てはまるのだが、このアーキタイプ自体は数枚のキーカードに依存したものであり、それらを最大限に活かすための構築になっているのだ。
実は「ゴブリン」は見た目ほどアグレッシブなデッキではなく、打ち消しを温存されて《上流階級のゴブリン、マクサス》に当てられるかどうかで勝敗が左右される。決着のゲームでバークレイはその方針を徹底し、再びMPL選手を打ち破って『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップマッチの席を確保したのだった。
残るは、バークレイと2マッチ先取の最終決戦に挑むプレイヤーを決める戦いだ。後がないメングッチとマーニは、それぞれナシフとメルケルをストレートで下して次のステージへ進んだ。この試合でマーニは、《ヤヘンニの巧技》でそうそう見られない動きを見せた。
メングッチの次なる相手はブラッド・ネルソン。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を使うミッドレンジの同系戦らしくゲームは長びき、互いにキーカードを解決させるチャンスを得るたびに勝敗のゆくえは揺れ動いた。そのキーカードとなるのは、主に《世界を揺るがす者、ニッサ》だ。
勝敗を左右する《世界を揺るがす者、ニッサ》をめぐるスリリングな3ゲームのすえに、最高の形でこのプレインズウォーカーを守り、先に《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を「脱出」させたのはメングッチだった。
2人のMPL選手が戦っている一方で、マーニとポコルニーもチャレンジャー同士の同系戦を繰り広げていた。この試合を制し驚くべき走りを続けたポコルニーだが、次に立ちはだかるのはイタリアのスーパースター、メングッチだ。
はじめはポコルニー優勢だった。彼は第1ゲームを手際よく取り、第2ゲームもリソースの面で優位に立った。しかし相手は、これまで幾度となく優れたプレイヤーならではのプレイを見せてきたメングッチだ――彼は、負けると思われたゲームで逆転手を見出したのだ。
メングッチは針に糸を通すような細い勝ち筋をたどり続け、ついに《世界を揺るがす者、ニッサ》のために道を開けることに成功した。そのゲームを奪うと勢いそのままにマッチを勝ち取り、その姿を見た解説のコーリー・バウマイスター/Corey Baumeisterも思わず特別な衣装を身につけることになったのだった。
この日最初の試合を落としたメングッチだが、「負ければ終わり」モードに入ってから3連勝でここまで上がってきた。5人のプレイヤーが敗退し、残るはメングッチとバーチェットによる敗者側ブラケット決勝のみ。バークレイが待つチャンピオンシップマッチの舞台に立つ者を決める最後の戦いだ。
それは、この週末を通して何度も開催されたバーチェットの「ゴブリン・ショー」となった。
もはや信じられないという者はいないだろう。デッキに加えた《通報の角笛》が勝利への道を先導し、バーチェットは手がつけられない《群衆の親分、クレンコ》でメングッチを打ち破った。バーチェットは、チャンピオンシップマッチでブラッド・バークレイとの再戦に臨む。
こうして『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップマッチは、ヒストリックというフォーマットの幅広さを象徴するようなデッキ同士の対戦となったのだった。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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