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『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ

観戦記事

『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップマッチ

Corbin Hosler

2020年12月6日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

 3日間にわたる戦いの果て。予選ラウンド15回戦とスター選手揃いのトップ8ラウンドの激戦のすえに、『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップマッチの舞台が整った。

 一方には、世界最高の名手の呼び声高いマジック・プロリーグ所属プレイヤー、オータム・バーチェット/Autumn Burchett。もう一方は、この『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップで自身初のトップ8入賞を果たし、ヒストリックのマッチ全勝を目指すブラッド・バークレイ/Brad Barclay。

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オータム・バーチェット(左)
ブラッド・バークレイ(右)

 

 イングランド選手権を2度制しているバーチェットは、昨年の「2019ミシックチャンピオンシップⅠ(クリーブランド)」でも感動的な優勝を見せている。今大会では「2020年シーズン・グランドファイナル」から2連続となるトップ8入賞を達成し、2つ目のタイトル獲得を狙っているが、バークレイの方もひとつの歴史を作り上げてきた。彼は今大会のヒストリック・ラウンドで無敗を貫き通し、予選ラウンドからトップ8ラウンドの勝者側ブラケット踏破まで合わせて、彼の「アゾリウス・コントロール」は10戦全勝という記録を築き上げているのだ。

Brad Barclay - 「アゾリウス・コントロール」
『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ トップ8 / ヒストリック (2020年12月4~6日)[MO] [ARENA]
5 《
4 《平地
4 《神聖なる泉
4 《灌漑農地
4 《氷河の城砦
3 《アーデンベイル城
2 《ヴァントレス城
-土地(26)-
 
-クリーチャー(0)-
2 《墓掘りの檻
4 《検閲
3 《不可解な終焉
1 《霊気の疾風
1 《軽蔑的な一撃
1 《アズカンタの探索
4 《吸収
4 《排斥
4 《神の怒り
4 《サメ台風
2 《覆いを割く者、ナーセット
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー
-呪文(34)-
3 《ドビンの拒否権
1 《不可解な終焉
1 《軽蔑的な一撃
1 《本質の散乱
1 《封じ込め
3 《神秘の論争
2 《機を見た援軍
1 《空の粉砕
2 《覆いを割く者、ナーセット
-サイドボード(15)-

Autumn Burchett - 「ゴブリン」
『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ トップ8 / ヒストリック (2020年12月4~6日)[MO] [ARENA]
16 《
4 《エンバレス城
2 《ファイレクシアの塔
-土地(22)-

4 《スカークの探鉱者
4 《人目を引く詮索者
4 《ずる賢いゴブリン
4 《ゴブリンの酋長
4 《ゴブリンの女看守
3 《ゴブリンの戦長
4 《群衆の親分、クレンコ
4 《上流階級のゴブリン、マクサス
-クリーチャー(31)-
2 《精神石
2 《通報の角笛
3 《髑髏砕きの一撃
-呪文(7)-
1 《ゴブリンのクレーター掘り
2 《宝石の手の焼却者
2 《ゴブリンの首謀者
1 《ゴブリンの損壊名手
4 《削剥
2 《通報の角笛
2 《アイレンクラッグの妙技
1 《反逆の先導者、チャンドラ
-サイドボード(15)-
 

 バークレイはすでに、バーチェットの「ゴブリン」を2度も下している。トップ8ラウンドに加えて、予選ラウンドの序盤でも倒しているのだ。だからといってバーチェットは勝てないと思う者はいないだろうが、バークレイにも最後の1人に残る心構えができているということだ。

第1マッチ

 第1マッチは両者ともリソースを交換し合う立ち上がり。バークレイは《霊気の疾風》と《排斥》で盤面に脅威を残さず、バーチェットは《人目を引く詮索者》を通してライブラリー・トップから価値を引き出す狙いを見せた。そしてバーチェットが力ずくで《ドミナリアの英雄、テフェリー》を退場させると、その価値は上がり続けた。バークレイは《神の怒り》で盤面の維持を図ったが、バーチェットはその後もクリーチャーの展開を続け、戦線を再構築していく。

 バーチェットはバークレイのライフを残り5点まで追い詰め、優位を確かなものにした。しかしそこで2枚目の《神の怒り》が放たれ、勝負は互いにのデッキの一番上のカードに委ねられた――先に体勢を立て直した方が勝ちだ。バーチェットは《ゴブリンの酋長》を引き込み、バークレイのライフを残り3点としたが、バークレイはもう1枚《神の怒り》を唱え、バーチェットが土地を引く間に《吸収》も備えた。これをきっかけにバークレイの遅い「アゾリウス・コントロール」デッキは攻勢に転じ、そのまま振り返ることなくゲームを決めた。

 

 しかし第2ゲームは「ゴブリンの勝ち方」の講義のような展開になった。バーチェットは序盤からプレッシャーをかけつつ、ゲーム後半に役立つエンジンも構築していった。多角的な攻めにより、バークレイは複数の脅威に同時に対処しなくてはならず、体勢を崩され続けた。最後には「ゴブリン」の必勝パターンである大量展開からの攻撃で圧倒した。

 これでバークレイが序盤に得たリードをそのまま守る展開はなくなり、勝負は振り出しへ。バーチェットにとっては大きな1勝となった。

 

 最終ゲームは互いの立場が逆転するような展開だった。バーチェットの方が2枚の《通報の角笛》でカード・アドバンテージを得ていき(《通報の角笛》は「ゴブリン」のメインデッキに加わった大きな革新であり、これによりバーチェットはゲームを通して追加のカードを安定して得られる)、バークレイの方が序盤に繰り出した《サメ台風》のトークンで空から攻撃を仕掛けていったのだ。

 バークレイの手札には余分なカードが溜まっていったが、ライフは23点と豊富に残り、《墓掘りの檻》である程度の備えもできた。しかしここで彼は、積極的な攻撃で勝つ方向へ加速した。6マナと《サメ台風》2枚が揃った今、十分に選択できるプレイだった。

 第1ゲームを取るのに時間をかけたコントロール・デッキが、ここにきてアグレッシブな姿勢を見せた。《サメ台風》をサイクリングして4/4のクリーチャーを生み出すと、それはバーチェットにとって攻撃の障害となり、ライフを脅かす圧力になった。バーチェットは続くターンも飛行を持つサメの軍勢に対抗するすべを見いだせず、第1マッチをバークレイに譲ることになったのだった。

 

 これでバークレイの「アゾリウス・コントロール」は、ヒストリックで驚異の11連勝を達成した。完全制覇まであと1勝だ。

第2マッチ

 一般的にサイドボードに採用されるカードをメインデッキで使用しているのは、バーチェットだけではなかった。2マッチ目は第1ゲームからバークレイが《墓掘りの檻》を設置し、バーチェットが取れる選択肢に制限をかけた。4枚目の土地を置けないバーチェットに対し《神の怒り》を放ったバークレイは、ゲームの掌握を確信した。

 続けて《ドミナリアの英雄、テフェリー》が着地。バーチェットが4枚目の土地を引き込むのが遅れれば遅れるほど、不利は深刻になっていった。バーチェットの《ゴブリンの女看守》を《検閲》で止めたバークレイはその後2枚目の《吸収》も手札に加え、もはや結果は見えた。数ターン後、バークレイはチャンピオンシップ王者のタイトル獲得まであと1勝に迫った。

 

 第2ゲームの分水嶺は3ターン目に訪れた。そこでバーチェットは、2マナを立たせ《検閲》構えを思わせるバークレイに対して何もせずターンを返すか、《ゴブリンの酋長》を繰り出すかの選択に直面した。

 この試合を通して、バーチェットは一貫して《検閲》を回避するプレイングをしてきた。「ゴブリン」デッキの持つ爆発力を信じてじっくり腰を据え、序盤に活きる打ち消し呪文のようなカードを対戦相手に使わせない動きに徹していたのだ。

 そのバーチェットが、ここではマナを使い切ることを選んだ。果たしてバークレイは《検閲》を構えており、次の脅威にも《吸収》で応じた。だがその結果、バーチェットの手札から繰り出される2枚目の《通報の角笛》が解決された。

 そしてバークレイはもう1つ問題を抱えることになった。手札の内容が《ドミナリアの英雄、テフェリー》と土地5枚というものになったのだ。バーチェットが次に繰り出すクリーチャー群への回答はなく、戦場には《ゴブリンの酋長》と《群衆の親分、クレンコ》が立て続けに登場し、盤面は一気にゴブリンで埋まった。致命傷となる攻撃を目前にしたバークレイは、2回のドローで《神の怒り》を引き込まなければならなかった。

 《サメ台風》をサイクリング。

 引かず。

 ドロー・ステップ。

 そこには《神の怒り》が。

 

 この完璧なドローでバークレイは一命を取り留めたが、しかしバーチェットの展開は止まなかった。《上流階級のゴブリン、マクサス》の号令一下、上流階級の軍勢が集まり、再び致命傷を与えられるだけの攻撃手が戦場に揃ったのだった。

 

 バーチェットは正念場を迎えた。ここでバークレイから第3ゲームを奪い、第1マッチを落とした傷を塞がなければならない。

 両者は再び序盤からリソースを交換し合い、バークレイは危険な《通報の角笛》を《排斥》して見せた。バーチェットも《ゴブリンのクレーター掘り》を着地させ、《墓掘りの檻》に備える。続けて《ゴブリンの酋長》、《群衆の親分、クレンコ》と展開すると、総攻撃でバークレイのライフを残り10点まで落とした。《神の怒り》で時間を稼ぐバークレイだが、そこでタップ・アウトの状態になりバーチェットに《上流階級のゴブリン、マクサス》を唱えるチャンスが生まれた――今すぐ手札に来てくれさえすれば。

Muxus-Goblin-Grandee.jpg

 だがここでは来なかった。バーチェットは2枚の《精神石》を生け贄に捧げてさらにライブラリーを掘ったが、引き込めたのは《ゴブリンの酋長》だけだった。《ゴブリンの酋長》はバークレイのライフを残り6点まで削ってくれたが、《不可解な終焉》を受けて追放された。

 これで再びバーチェットはライブラリー・トップに集中し、ゲームを終わらせる好機を伺うことになった。そこには《上流階級のゴブリン、マクサス》が待っていたものの、バークレイはそれを討ち取る《軽蔑的な一撃》を持っていた。

 バークレイが《ドミナリアの英雄、テフェリー》で手札を増やしていく中で、バーチェットは土地を引き続ける厳しい展開になった。そして幾度かの攻撃ののちに、ブラッド・バークレイが『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ王者の座に就くことになった。

 

 バークレイはスコットランド代表チームの一員としてワールド・マジック・カップに何度も出場し、国際舞台で活躍した経験がある。そんな彼はこの大舞台での驚くべき勝利の直後にも、地元コミュニティとスコットランド人プレイヤーへの想いを最初に語ったのだった。

 

 改めて、ブラッド・バークレイ、『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップ優勝おめでとう!

ブラッド・バークレイ選手、#ZNRChamps優勝おめでとうございます!
バークレイ選手は、少数派の「アゾリウス・コントロール」でヒストリックのマッチ全勝を達成しました。そしてスコットランドの心の王者から『ゼンディカーの夜明け』の王者になったのです。


 
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RESULTS

対戦結果 順位
最終
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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