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プロツアー「テーロス」

観戦記事

準決勝:厄介な妨害
Jeremy Dezani(フランス) vs. 三原 槙仁(日本)

Marc Calderaro
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Marc Calderaro / Tr. Yusuke Yoshikawa

2013年10月13日


ジェレミー・デザーニ/Jeremy Dezani(青単信心) vs. 三原 槙仁(世界ランキング20位/コロッサル・グルール)

 ジェレミー・デザーニは、フィーチャーマッチ・エリアに入場してきた対戦相手にこう聞いた。「今年は殿堂?」 これは金曜日からずっと質問されてきたことだった。世界ランキング20位の三原槙仁は、去年から今年にかけてグランプリで3回・プロツアーで1回のトップ8という華々しい戦績を、個人戦の世界王者であり国別対抗戦世界王者であるというすでに十分印象的な経歴に書き加えていた。彼の革新的な「コロッサル・グルール」デッキは、トップ8の座を確保するのみならず、多くの人に三原が殿堂顕彰に実にふさわしいという思いを確かなものとさせた。もし彼がこのプロツアーを最高の結果で締めくくることができたなら、その動機をさらに確固たるものにできるだろう。しかしそのためには、彼はまずフランス人のジェレミー・デザーニを倒さなければならないだろう。それは簡単なことではない。

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今週末、ジェレミー・デザーニが名を成す一方で、三原槙仁は彼が2014年のプロツアー殿堂顕彰の候補に上がる主要なプロとしての実績を固めていた。

 デザーニと彼の青単信心デッキは、ともに今週末のビッグウェーブのひとつとなった。かのフランス人はグランプリで1回の優勝と4回のトップ8の経験があるが、プロツアー・サンデーに臨むのは今回が初めてだった。彼とそのチームによる青単デッキは素早く爆発的な展開をして、きわめて大量の青いクリーチャーで波に乗ることができる。加えて、このデッキは緑を基盤とするミッドレンジ・デッキを食い物にするように構築されている。大会の序盤で、同じく青単信心でトップ8を果たしたサム・ブラック/Sam Blackは「赤緑のデッキとしか当たらないとしたら夢みたいだね」と言っていた。三原のデッキは、他の類似のデッキの大半よりも青単を倒すことに長けてはいる――《世界を喰らう者、ポルクラノス》を4枚積み、《ミジウムの迫撃砲》と《霧裂きのハイドラ》をともにサイドボードにとっている――が、依然として苦しい闘いだろう。

 三原のデッキのサイドボード後には有利になる点が多くあるものの、それはドローに大きく左右される。デザーニが十分な圧力をかけ続けつつ、序盤に三原の動きを妨害することができれば、彼には決勝に進む大いなるチャンスがある。メインデッキには1枚の《分散》と2枚の《サイクロンの裂け目》があるのみだが、大量の占術によりそのときに一番必要な妨害呪文を見つけることができる。また《潮縛りの魔道士》は攻撃的クリーチャーと強烈な妨害という最高の組み合わせを2マナの身体に詰め込んでいる。軽快な妨害と重厚な圧力というゲーム・プランは早速第1ゲームで示されることになった。

ゲーム展開

 ジェレミー・デザーニは《雲ヒレの猛禽》、《審判官の使い魔》とゲームの幕を開け、《潮縛りの魔道士》で《エルフの神秘家》を拘束し、たった1枚のはずの《分散》で対戦相手の第3ターン《世界を喰らう者、ポルクラノス》を戻した。こうした妨害は実際に墓地に送るようなものではないが、それで十分効果的だ。デザーニに必要なことは、地上戦力を並べ、小さな一群で早期のダメージを与え、そして《波使い》のようなヘビー・ヒッターを使えるようにして、ゲームを締めくくる、という簡単なことだけだ。

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緑と赤のクリーチャーにとって強烈な逆風となる《潮縛りの魔道士》を4枚積みしたデッキを相手に、三原は苦しい戦いを強いられる。

 《波使い》はこの対戦で重要な役割を占める。このアグロ・コントロールデッキにおける攻撃的クリーチャーの一員として、三原が多くの巨大クリーチャーを唱え《世界を喰らう者、ポルクラノス》で戦線を一掃できるようになってしまう前に、デザーニはその圧力により早期に大量のダメージを与えることができる。このような動きを今後も続けられれば、彼は勝利を得ることになるだろう。

 一方の三原槙仁は《エルフの神秘家》から入り、続いて《炎樹族の使者》から《旅するサテュロス》と並べていた。《潮縛りの魔道士》にマナを縛られながらも、三原は第3ターンに《世界を喰らう者、ポルクラノス》を唱えることができた。第4ターンにもそれを再度唱えられる(《分散》のおかげだ)。《世界を喰らう者、ポルクラノス》がある状態でアンタップを迎えられれば、どんなデッキにも厄介なことになるだろう。第4ターンで三原はライフ16、そしてアンタップを迎えようとしていた。

 しかしそのようなことにはならなかった。三原は世界を喰らうほどの一団でデザーニのライフを削ろうとしていたのだが、《世界を喰らう者、ポルクラノス》が手札に返った直後、デザーニは1枚目の《波使い》で5体のエレメンタル・トークンを生み出し、次のターンにさらに2枚目を出し6体を追加したのだ。デザーニはパワー37に相当するクリーチャーを戦場に出していた。三原の戦線は、たとえ世界を喰らう者がいたとしても、比べるとちっぽけなものに見えていた。これがまさに、デザーニが望んでいた強烈な圧力だ。

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デザーニの妨害は「コロッサル・グルール」とのマッチアップで輝く。

 三原は意気消沈し、そしてデザーニが第1ゲームを取った。

 第2ゲーム、三原はサイドボードを使う最初の機会を得た。デザーニは第1ゲームからのプランにこだわり、まず1マナで《審判官の使い魔》、2マナで《凍結燃焼の奇魔》と続けた。しかし、前回とは違い、三原の流れは《森の女人像》からの《世界を喰らう者、ポルクラノス》だった――対象にできない「譲れ」の標識から、「止まれ」の標識が続いてきたのだ。前回のように簡単には行かないようだった。そしてどちらのプレイヤーが勝つにせよ、戦闘は数ターンしか行われないだろう。それは三原がこの伝説の5/5の怪物化能力を起動できるかどうかにかかっている。

 デザーニにとっての「止まれ」は、三原にとっての「進め」だ。《世界を喰らう者、ポルクラノス》によって、デザーニのライフを15とした。しかしデザーニは度重なる除去を受けながらも《海の神、タッサ》を顕現させ、三原を攻撃してライフを8に、そして3にした。盤面における主導権は2人のプレイヤーの間を行ったり来たりしていたが、デザーニの側が優勢のように見え、一方で三原は《世界を喰らう者、ポルクラノス》を起動、攻撃して相手を倒すに十分なマナを集めつつあった。

 ライフはデザーニ9・三原3、デザーニが《潮縛りの魔道士》で《世界を喰らう者、ポルクラノス》を封じたところで、三原はほとんど瞬きもしなかった。彼は《世界を喰らう者、ポルクラノス》の2枚目を置き、用済みになった1枚目を墓地に送った。デザーニはそれをわずかに目で追った。彼はこの巨大な獣に対処する別の方法を見つけなければならなくなるかもしれない。しかし適切なタイミングと流れでマナを使うことによって、デザーニは手札の《分散》を使い最後のダメージを与えることができた。

 第3ゲームへの準備が済むと、デザーニは手を前に置き、彼の中の不安と内に潜む興奮と戦っていた。そして三原は、5枚へとマリガンを強いられていた。

 第3ゲームの三原の開幕数ターンは、彼がまるで別のデッキをプレイしているかのようだった。最初の動きは《エルフの神秘家》、いつも通りかと思いきや、それは第3ターンの出来事だった。彼ができたのは、デザーニがマナ・カーブに沿ってプレイしてくる脅威のうち《夜帷の死霊》を《ミジウムの迫撃砲》で除去して出血を食い止めることだった。しかしながら、すぐに「お代わり」が現れた。

 デザーニは第3ゲームも計画を順に繰り返していった。初期に着実な圧力を加え、嫌らしい《潮縛りの魔道士》と《サイクロンの裂け目》で十分な妨害手段を得て、歩みを止めるものなどなかった。計画に沿って、三原のライフは即座に一桁になり、そしてすぐにゼロになった。

ジェレミー・デザーニが3-0で三原槙仁を下して決勝に進出!
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