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プロツアー『破滅の刻』

観戦記事

第7回戦:覚前 輝也(日本) vs. Sam Black(アメリカ)

By Masashi Koyama


覚前 輝也 vs. サム・ブラック

僕自身の1勝がチームの1勝に、そしてチームの1点へと繋がっていく

 プロツアー『霊気紛争』から導入されたプロツアー・チームシリーズ。

 覚前輝也が所属する「Musashi」。メンバーは次々と好成績を収め、来期の継続的なプロツアー参加へのチケットを手にしている。

 だが、今期もシルバー・レベルとして活動してきた覚前は今大会前の獲得プロ・ポイントが27点と、ゴールド・レベルまで8点も必要な状況だ。

 自ら「チームの仲間は、自分よりも上手い」と謙虚に評する覚前。そんなチームメイトと調整を続ける中で彼らから学び、より強いプレイヤーになるべく己を磨いて来た。

 だからこそ今、覚前はこのプロツアー『破滅の刻』で、「Musashi」唯一の全勝者としてフィーチャーマッチの舞台に立っている。


ゲーム1

 覚前の《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》をブラックが《焼夷流》で対処し、そのまま《ボーマットの急使》を走らせる序盤。

 覚前がこれをサムの続くアップキープに《ショック》で処理し、《アン一門の壊し屋》も《削剥》で捌いてみせる。

 返すターン、《屑鉄場のたかり屋》を送り出した覚前だが、ブラックは《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》に《激情のカルトーシュ》をエンチャントすると、《村の伝書士》を加え、これらのアタックで覚前のライフは12まで落ち込む。

 覚前は4枚目の土地を引き込むと、《反逆の先導者、チャンドラ》で《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を処理。続く《村の伝書士》の攻撃で失うものの、これを《無許可の分解》で処理し、ブラックは《屑鉄場のたかり屋》を《ショック》で排除する。

 そして覚前は、更地となった盤面に《熱烈の神ハゾレト》を送り込む。


サム・ブラック

 が、ブラックも《熱烈の神ハゾレト》で応じ、手札が1枚のため先に攻撃を始めてしまい、覚前のライフは7。

 手札が3枚の覚前は何とか《熱烈の神ハゾレト》の能力を起動し、さらに《削剥》をブラックの《熱烈の神ハゾレト》に「空打ち」することで攻撃に向かわせるが、サムが手札から《地揺すりのケンラ》を唱え、《熱烈の神ハゾレト》の能力を起動すると、覚前のライフは0を割ってしまった。

覚前 0-1 ブラック


 サム・ブラックは世界選手権2008での国別団体戦優勝で一躍世界に名を馳せたプレイヤーで、それからずっとプロシーンの一線で戦い続けてきた。

 今期は獲得プロ・ポイントが32点と、4年連続のプラチナ・レベル獲得まで20点ものプロ・ポイントが必要な状況だ。

 そしてまた、彼の所属するチーム「Mutiny」もまた、現在プロツアー・チームシリーズで6位と苦境に立たされている。

 自分のため、チームのために勝利が必要なのは覚前もブラックも変わりはない。


ゲーム2

 先手マリガンの覚前が《ピア・ナラー》《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》という立ち上がりから、ブラックがそれぞれ《チャンドラの敗北》《削剥》で除去する立ち上がり。

 覚前は残った飛行機械・トークンと2枚目の《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》で戦線を構築し直すが、土地が3枚で止まってしまう。ブラックは先ほどゲームを決めた《熱烈の神ハゾレト》から手札に溜まっていた火力呪文でこれらを退け、手札は2枚。

 そして《ボーマットの急使》を走らせると《熱烈の神ハゾレト》が殴りに行ける状況になり、覚前は《ボーマットの急使》こそ《ショック》で除去するものの、重い一撃を受けてしまう。


覚前 輝也

 覚前はまたしてもブラックの《熱烈の神ハゾレト》に《削剥》と《マグマのしぶき》を打ち込み無理矢理に手札を消費し、《熱烈の神ハゾレト》をプレイ。膠着させる形に持っていこうとするのだが、利は《熱烈の神ハゾレト》を先出ししたブラックにある。

覚前とブラックの一戦は《熱烈の神ハゾレト》合戦の様相を呈している。

 そして、この状況を一変させたのは押し込んでいるブラックだった。《栄光をもたらすもの》が速攻で《熱烈の神ハゾレト》のにらみ合いを尻目に空から殴り、覚前のライフは2。

 ターンを返すと敗北が確定する覚前は少し逡巡するも、笑顔でサムに握手を求めたのだった。

覚前 0-2 ブラック

サム・ブラックが全勝をキープ!

 試合後、ブラックとの感想戦を終えた覚前は「勝ちたかったなあ......当たり前ですけど(笑)」と呟くと、「もう少し早く(ブラックの)《熱烈の神ハゾレト》に《削剥》を打ち込むタイミングってありませんでしたかね?」と筆者に問いかけてきた。

 土地が3枚で止まってしまっていたため、そのタイミングが無かったのではないかと告げたが、覚前はそれでもどうにかなったかもしれないと、終えたばかりの試合を反芻していた。

 プロツアーの舞台で敗北を喫してなおそこから積極的に学ぼうとする謙虚な姿勢。それがあるからこそ覚前は大舞台に立ち続けているのだろう。

 そうして掴み取る勝利が、自分の、「Musashi」の明日を切り開いて行くはずだ。

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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