EVENT COVERAGE

プレイヤーズコンベンション千葉2025

インタビュー

『霊気走破』リミテッドオープン 優勝者 森山 優選手インタビュー

Seo Asako、富澤 洋平

 先行販売タイミングでの開催となった、「世界最速級!! 『霊気走破』リミテッドオープン ~エーテル・フォーミュラ2025~ Supported by 楽天ブックス」。

 1日目はシールド9回戦、2日目にドラフトと決勝ラウンドを実施し、850人を超えるプレイヤーの頂点に立ったのは森山 優選手でした。「決勝が思ったよりあっさり終わって、優勝した実感があまりない」とのことでしたが、優勝後にお話を伺いました。

配信のインタビューでも、1日目のシールドデッキについてなどをお話しいただきました

 

――優勝おめでとうございます。まずプロフィールからお聞きしたいのですが、マジックを始めたのはいつですか?

森山「最初に触ったのは、小学生のころの『第6版』かな。コロコロコミックを読んで、兄と一緒にやっていました。本格的に始めたのは2013年の『ラヴニカへの回帰』で、社会人になってからです。マジックを取り扱っている店が近くにあったので、復帰してみようかなと。確か当時は《ドムリ・ラーデ》や《ボロスの反攻者》が好きで、使ってましたね」

 

――そこからずっと続けてらっしゃる?

森山「コロナ禍が始まったころにいったん離れました。『ゼンディカーの夜明け』のころにMTGアリーナを始めて、そこからはずっとという感じです。ドラフトもそこからしっかりやるようになりました。最初の頃は全然勝てませんでしたけど」

――普段はMTGアリーナをメインにされているんですか?

森山「そうです。新しいパックが出るたびにドラフトをやってますね。カードが集まるし、毎回違うことが起きるのがおもしろくて。あとは、友人たちと普段はレガシーを遊んでます。このところはデスタクを使ってます」

――リミテッドをやる頻度はどれくらいなんですか?

森山「けっこう多いほうなのかな……兄も一緒に、2人でああだこうだ言いながらMTGアリーナでドラフトをやってるんですけど、兄がやってるところを見てるのもカウントすれば、ほぼ毎日1回はBO1のプレミアドラフトをやっている感じですね」

――それはすごい。今もお兄さんとやってらっしゃるんですね。

――まだプロフィールを拝見できていないので失礼なのですが、プロツアーなどへの参加経験はおありですか?

森山「昨年末に、アリーナ・チャンピオンシップ7に参加させていただいてたんですよ」

――あ、そうなんですね!

森山「『サンダー・ジャンクションの無法者』のシールドで予選プレイインを抜けました。『サンダー・ジャンクションの無法者』、相性がすごく良くて」

――じゃあオンラインではすでにワールドクラスだったと。今回は『霊気走破』の発売前ですが、カードやアーキタイプなどの予習はされたんでしょうか?

森山「『サンダー・ジャンクションの無法者』にも乗騎があったので、これくらいなら強いとか、これくらいだったら乗らないほうがいいみたいなのは、そのときの知見が生きた部分はけっこうあるかなと思いますね」

――確かに。では昨日の成績は8勝1敗でしたが、シールドデッキはどんなデッキでしたか?

森山「青赤でした。純粋にプールに恵まれていて、2色でちょうど組めるし、土地も2枚出ていて、とにかく事故りづらいデッキが組めました。ルーティングも多かったので、ゲームの再現性が高かったという感じです」

――昨夜トップ8が決まってから、どのように過ごしましたか?

森山「明日も早いから早く寝ました(笑)。ドラフトは結局最初のパックに左右される部分が大きいし、考えてもそんなに意味がないというか、逆に先入観とかを持たないほうがいいなと思って。カードプールも全部は把握してなくて、大ざっぱに強いアンコモンを覚えたり、除去がどれくらい強いかというのを確認したくらいですね」

――では、特にドラフトのプランなどは決めていなかったのでしょうか?

森山「環境が進めば『この色はやりたくない』とかは決まってくると思うんですが、今回は全部未知なので、最初のパックのレアとアンコモンを見て、そこから考えるしかないと思ってました。しいて言えば、白黒はあまりやりたくはないかなと思ってました。シールドで見た感じ、白黒はデッキの方向性がよくわからなかったので……」

――なるほど。今回は青黒タッチ白のデッキになりましたが、ご自身的にはうまくいったドラフトでしたか?

森山「そうですね、いろんなカードが流れて来ていたので、ドラフトにありがちな、自分が強いデッキが組めてるときはまわりもすごく強いデッキになってるパターンじゃないかと最初は思ってたんですが、準々決勝で松本(友樹)さんと当たったら、松本さんのデッキが想像していたデッキと違って、松本さんも頭を抱えていまして(笑)」

決勝ドラフトの様子

 

――松本さん、森山さんのデッキに太鼓判を押してましたよね。

森山「そうです、『なんでそんなデッキが作れてるんだ』みたいな感じで(笑)。黒をやってた人がほとんどいなかったんじゃないかな? という気がします。《スピン・アウト》という確定除去が3枚も取れましたし、ちょくちょく使っていた2枚引いてお互い2点ルーズ(《危険な近道》)、あれは1パック目の14手目で返ってきました(笑)」

 

――色の位置取りがうまくいったんですね。ドラフトデッキのMVPカードをあげるとしたらどれですか?

森山「強かったのは《シェフェトの大悪鬼》ですね。準決勝は2ゲームとも、これがなかったら負けてました。
最初は7マナなんて重くて使いづらいけど、まあサイクリングすればいいやという感じで入れてました。相手が墓地からクリーチャーを不朽するアーティファクト(《呪い布の包帯》)でぞくぞく復活させてたんですけど、ちょうどこれで全部流せて、そのまま維持して20点削れたという感じです」

 

――攻守にわたって活躍しましたね。今大会の勝因は何だったと思いますか?

森山「結論から言うと、全員が同じ土俵に立っていたことですかね。プレイできる時間って人によって違いますが、今回は誰もリミテッドをほぼやったことがなくて、みんな同じスタートラインにいる環境なので、準備時間は関係なく、純粋な運とプレイングの話になってきますよね」

――リミテッドの筋肉というか、過去の経験値とかが役に立つということですね。

森山「まあ、そこまで筋肉があるかどうかはわかりませんが……1日目は、久しぶりに9回戦もリミテッドをやったので、途中で集中力が切れて、目に見えるミスを何回かしてしまいました。トークンを出す土地の起動がソーサリータイミングなのをすっかり忘れていたりとか、機体や乗騎の数×2点ダメージの赤1マナ除去(《路上の暴走》)を、機体でブロックしたあとに撃って、機体がいなくてダメージ足りずに負けた試合もあったりしました(笑)」

――長丁場ですからね。そのほか印象的な試合などはありましたか?

森山「試合外ですけど、トップ8が確定した瞬間ですね。ラウンド9は9番テーブルだったんで、普通に考えたらオポ(※1)が足りないかなぁと。勝ったあと、『トップ8に入っていると思われる方は、前に集まってください』というアナウンスがあって、どうすればいいんだろうと焦りました(笑)。 8位だとわかって、ほっとしたしすごく喜んだ記憶があります。オポを見たら8位と9位が一緒で、ゲーム・ウィン・パーセンテージ(※2)差で滑り込みました」

※1 オポネント・ウィン・パーセンテージ:勝ち数が同じときに順位を決定するためのポイント。対戦相手が勝っているほうが高くなる
※2 ゲーム・ウィン・パーセンテージ:オポに差がなかったときに順位を決定するためのポイント。1マッチを2勝1敗でなく2勝0敗で勝ったほうが高くなる

――接戦をものにしたのはうれしいですね。それでは最後に、次の目標はありますか?

森山「こないだのアリーナチャンピオンシップで、あと1勝したらプロツアーというところまで行ったんですよ。今後こんな機会はもうないかなと思っていたら、まさかの2か月後にまたチャンスが来てしまったぞという感じですね。次の目標は……チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3の権利をいただいたので、スタンダードを頑張ります。リミテッドで権利をもらって本戦がスタンダードというのは、アリーナチャンピオンシップとまったく同じなんですよ。偶然同じなので、また頑張りたいなと」

――今もお兄さんと一緒にやってらっしゃるとのことでしたが、もしメッセージがありましたら、ぜひ。

森山「照れくさいですね(笑)……でも兄には感謝しかないですね。ここまでリミテッドが上達したのは兄のおかげなので……最初はほんとに見る影もなくて、一緒にやってるうちにここまで来られたので。 どんなに少ない確率でもあきらめない、ということを学びましたね。絶対に負けるのでないかぎり、投了しないで最後までやるっていう。それこそ、相手のミスによって勝てた試合もありますので、リミテッドは最後まで何が起きるかわからないという精神でやってます。今回の賞金で、普段一緒にやっている人たちとか、兄ともおいしいご飯を食べに行ったりしたいですね」

――お兄さんに感謝ですね。改めて、本日はおめでとうございました!

  • この記事をシェアする

サイト内検索