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プレイヤーズコンベンション愛知2024
クイックインタビュー:『サンダー・ジャンクションの無法者』でスタンダードに影響を与えたカードは?
昨年の5月にスタンダードのローテーションの制度変更が発表され、ちょうど1年が経過した。(ローテーション周期変更告知記事はこちら)
このローテーションの制度変更により、これまでスタンダードのカードプールは最大でも2年分(8セット)だったところが、現在はエピローグ・セットである『機械兵団の進軍:決戦の後に』を含む13個ものセットが使用可能となっている。名実ともに過去最大規模のスタンダード環境である。
そんな3年分の蓄積を持ったスタンダードに加入した最も新しいセットである『サンダー・ジャンクションの無法者』。ここで追加されたカードは、果たしてスタンダードにどのような影響をもたらしたのか?
ここではチャンピオンズカップファイナルに参加していた4人のプレイヤーへと、『サンダー・ジャンクションの無法者』がスタンダードに影響を与えた新カードについての話を聞いてみよう。
細川 侑也(チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド1 準優勝)
細川「スタンダードに影響を与えたカード……《三歩先》と《秘密の中庭》かな」
細川「《三歩先》はわざわざ説明するまでもないくらい強力なカードだけど、特にドローが増えたのが嬉しいポイントだね。今のアゾリウス・コントロールには《推理》と《記憶の氾濫》があって、どちらも下の環境で使われているくらい強力なカードだけど、まさかこれらに並ぶレベルのカードが出てくるとは思わなかったよ」
細川「あと、《秘密の中庭》はエスパー・ミッドレンジのマナベースを大幅に強化したね。これまでエスパーでは友好色のミシュラランド+友好色のファストランドというちょっとバランスの悪いマナベースが強いられていたけど、《秘密の中庭》が入ったことで《不穏な投錨地》や《不穏な浅瀬》+《秘密の中庭》で確実に3色出せるようになって、デッキがキビキビ動くようになったのがいいね」
原根 健太(チャンピオンズカップファイナル サイクル2 ベスト8)
原根「3つあって、一つが《感動的な眺望所》。元々ボロス召集はマナベースに不安のあるデッキで、本来はデッキとあまり噛み合っていない《日没の道》さえ入れざるを得なかったから、《感動的な眺望所》はボロス召集にとっては待望のカードだね」
原根「次に《害獣駆除》。これは元々ボロス召集などのアグロデッキ対策に注目されていたカードだったけど、一つ目に挙げた《感動的な眺望所》によって環境にボロス召集が増えたことでさらに評価が上がったね。特にエスパー・ミッドレンジはボロス召集対策に《危難の道》を使っていたけど、自分の《大洞窟のコウモリ》や《敬虔な新米、デニック》を巻き込まずに対戦相手の盤面だけ崩壊させられる《害獣駆除》が出たことで対ボロス召集の相性が劇的に改善された。『サンダー・ジャンクションの無法者』以前はディミーア・ミッドレンジもエスパー・ミッドレンジと同じくらい流行っていたけど、今は《害獣駆除》を採れる分エスパーの方が立ち位置がいい」
原根「最後に《三歩先》。アゾリウス・コントロールは元々確定カウンターの選択肢があまり強くなくて、ミラーマッチの《記憶の氾濫》くらいにしか刺さらない《雲散霧消》すら採用されるレベルだった。けど《三歩先》はカードアドバンテージを得られる絶好の確定カウンターで、コントロール強化の要因になってるよ」
齋藤 慎也(アリーナ・チャンピオンシップ4 優勝)
齋藤「みなさん仰ってるかもしれないですが、やはり大きいのは《感動的な眺望所》ですね。ボロス召集は《スランの門》が真面目に採用されるくらい本当にマナベースが弱くて、《戦場の鍛冶場》が最強の土地と言われていたのですが、ついにアンタップインの対抗色ランドが出てこの大会でも増えていますね」
齋藤「あとは『ビッグスコア』のカードは全体的に強いですが、中でも《害獣駆除》が強いですね。自分は今日エスパー・ミッドレンジを使っているのですが、増えたボロス召集対策に入れた《害獣駆除》は大活躍しています。相性も個人的にはエスパー有利だと思っていて、今日は正直ボロスとだけ当たりたいくらいです」
村栄 龍司(チャンピオンズカップファイナル サイクル1 ベスト4)
村栄「一番インパクトがあったのは《三歩先》ですね。青いコントロールデッキが明確に強くなりました。打ち消し+ドローがメインの使い方ではありますが、コピーのモードで自分のフィニッシャーを増やすといった攻める使い方もできるのがいいですね。ローテーション後もずっと使われるでしょうし、カードパワーはパイオニアレベルです」
村栄「あとは発売前の下馬評も高かった《精鋭射手団の目立ちたがり》ですね。これは実際に使ってみてもやっぱり強かったです。《精鋭射手団の目立ちたがり》が見えていたら対戦相手は迂闊にフルタップできなくなりますし、この先ライフを詰める赤いデッキにはいつでも採用が検討されるレベルのカードだと思っています」
村栄「『スタンダードに影響を与えたカード』という質問とは少しズレるかもしれませんが、『サンダー・ジャンクションの無法者』は全体的にカードが強いのでローテーション後には使われるカードも増えそうです。さすがに現行環境はかなり煮詰まっているので環境激変というわけにはいきませんでしたが……。でも、今後は『サンダー・ジャンクションの無法者』のカードを使った新デッキも出てくるかもしれないですね」
通常、カードプールが広がるほど新カードが入り込む余地が減っていくため、新セットが与える影響は相対的に小さくなっていく。しかし『サンダー・ジャンクションの無法者』は対抗色ファストランドの収録によってマジックの重要な要素の一つであるマナベースに大きな変革をもたらした他、《三歩先》や《精鋭射手団の目立ちたがり》といったデッキパワーを一段高めるキーカードも多数採用されており、スタンダードに与えたインパクトとしては十分だったようだ。
また、特に《感動的な眺望所》によって強化されたボロス召集が、同時に『ビッグスコア』に収録された《害獣駆除》によって抑え込まれているという構図もおもしろい。チャンピオンズカップファイナルではメタゲームブレイクダウンでシェア率2位につけたボロス召集は、エスパー・ミッドレンジを乗り越えていけるのか?
この先のローテーションのことも考えると、『サンダー・ジャンクションの無法者』はまだまだ"味"のするセットになりそうだ。今後の動向も楽しみなセットである。
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