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日本選手権2022 -Tabletop Returns-

観戦記事

第5回戦:覚前 輝也 vs. 斉藤 徹 ~紙一重の結末~

伊藤 敦

 

 

 3勝1敗。ここで勝てるかどうかが2日目進出に大きく関わってくるラインで、強豪同士が激突した。

 フィーチャーマッチに選ばれたのは、かたやグランプリ・静岡2018(レガシー)優勝などの戦績を持つものの、近年では表舞台に出る機会が減っていた覚前。

 そしてそれに対するは、昨年12月に開催されたイニストラード・チャンピオンシップで4位に入賞し、世界選手権への出場を確定させるなど、上り調子著しいTeam UNITE所属の斉藤。

 デッキは覚前が「グリクシス吸血鬼」に対し、斉藤は「ジェスカイ・ストーム」。プロマジックを経験した者同士による、ハイレベルな戦いが幕を開けた。

(※写真の撮影時のみマスクを外しています)

 

ゲーム1

 斉藤の先手でゲームがスタート。覚前の後手2ターン目の《税血の収穫者》を《電圧のうねり》で対処し、3ターン目には《表現の反復》で追放した《棘平原の危険》を第2面の土地として置く上々の立ち上がり。

 返す覚前は《死体鑑定士》でクロックを再度展開しつつ次なるアクションを探すが、斉藤は《鏡割りの寓話》を設置しつつ《セジーリの防護》を土地として置いてターンを返す。

回転

 「ジェスカイ・ストーム」は黄金架のドラゴン》と《溺神の信奉者、リーア》を盤面に揃えることでスタートするコンボデッキ。『ニューカペナの街角』で実質《予想外の授かり物》の2種類目となる《大勝ち》が登場したことで、マナも手札も減らさないままにライブラリーを相当な枚数掘り進めることが可能となった。

 ゆえに「ジェスカイ・ストーム」としてはまず《黄金架のドラゴン》、次に《溺神の信奉者、リーア》を安全に着地させられるようゲームをのらりくらりと遅らせればいいわけで、反対に「グリクシス吸血鬼」としては黄金架のドラゴン》を定着させないようにしつつひたすらに攻め続けなければならない立場にある。

覚前 輝也

 盤面に目を戻すと、覚前が2体目の《死体鑑定士》を出しつつ《嵐削りの海岸》を立たせてターンを返したところ。

 一方の斉藤はドロー後に《鏡割りの寓話》のⅡ章で《消えゆく希望》と《渦巻く霧の行進》を捨て、ライブラリーを掘り進める。そしてたどり着いた5マナ目から召喚したのは黄金架のドラゴン》!

 だが当然織り込み済みの覚前は、戦闘フェイズに入ろうとしたところで血・トークンを生け贄に捧げつつの電圧のうねり》を打ち込む!

 これに対して斉藤は対象に取られたことで生成された宝物・トークンから《消えゆく希望》を唱えてどうにか《黄金架のドラゴン》を救出するのだが、いずれにせよ5マナと1マナの交換。このテンポ差は大きい。

 当然覚前はこの機を逃さず、《血に飢えた敵対者》で《電圧のうねり》を再利用することでゴブリン・トークンを除去しながら一挙9点アタックを叩きこみ、斉藤のライフを残り8点まで追い詰める。

 それでも斉藤は《鏡割りの寓話》のⅢ章で《キキジキの鏡像》へと変身させながら《黄金架のドラゴン》を再召喚、先ほど《消えゆく希望》で対象にとった時に生成していた宝物・トークンと攻撃時のトークンとを合わせて《大勝ち》を連打して手札を整えると、第2メインに2体目の《黄金架のドラゴン》を召喚してターンを返す。

 しかし、返す覚前のアクションはプリズマリの命令》!キキジキの鏡像》を除去しながら宝物・トークンを生成し、3/3が3体で攻撃。《血に飢えた敵対者》だけブロックされながらも残り2点まで追い詰めると、さらに第2メインに食肉鉤虐殺事件》「X=1」!黄金架のドラゴン》を対象に取らないままに除去することでフルタップの斉藤が介入する余地を与えない。ライフも1点回復して17になり、なおも《目玉の暴君の住処》までセットして「詰めろ」の状態を作る。

 2体の《死体鑑定士》を除去した瞬間、《食肉鉤虐殺事件》が発動して斉藤のライフは0となる。追い詰められた斉藤には、もはや逆転の手段はないかのように思われた。

 だが、繰り返すが斉藤のデッキはコンボデッキなのだ。

 斉藤が前のターンの《大勝ち》の連打によってたどり着いていたのは、溺神の信奉者、リーア》!

 まずは《黄金架のドラゴン》が攻撃、さらに戦闘ダメージ前に墓地から《電圧のうねり》を《黄金架のドラゴン》自身を対象に打ち込むことで宝物・トークンを生成してマナブースト。墓地から《大勝ち》→《大勝ち》と唱えると、ここで満を持して唱えたのは自身の誇示》!

 対象に取ったことによる宝物・トークンだけ生成し、コピー生成の誘発型能力の解決前に《消えゆく希望》2回と《ジュワー島の撹乱》を唱え、気づけば莫大な量の「ストーム」が稼がれている。

覚前「フラッシュバックで17点(以上は余裕で入るよね)?」

斉藤「ですね」

 

覚前 0-1 斉藤

 

 お互い2ターン目から使えるマナをほぼすべて使った末の、1ターン差・ライフ2点差の決着

 覚前としては最善を尽くした結果のためやるせないところだろうが、気持ちを切り替えて2ゲーム目に臨む。

 

ゲーム2

 先手の覚前がマリガンながらも2ターン目《税血の収穫者》から3ターン目《死体鑑定士》という好発進。対する斉藤はその《死体鑑定士》に《ジュワー島の撹乱》を当てつつ返すターンの《表現の反復》でアドバンテージを得るが、なおも覚前は2体目の《死体鑑定士》で攻め立てる。

 4ターン目を迎えた斉藤はカウンター呪文を警戒しメインで《予想外の授かり物》を唱えてターンエンドするが、覚前に6点アタックされると残りライフは既に8点。しかも覚前は不気味に5マナ立たせたままターンを返す。

斉藤 徹

 覚前の手札は3枚。この構えが意味するところは何か。

 ひとしきり悩んだ斉藤は、《表現の反復》からの《鏡割りの寓話》で宝物・トークン2個は余しておく、というルートを選択する。

 だが覚前はエンド前、生成されたゴブリン・トークンに贅沢にも《冥府の掌握》を打ち込むと、返すターンに迷わず6点アタックを敢行。これが通り、斉藤の残りライフは2点。

 そして第2メイン、決まり手は《プリズマリの命令》本体!

覚前 1-1 斉藤

 

 覚前は今回、ChannelFireball製の「グリクシス吸血鬼」に自分なりのアレンジを加えて臨んでいる。

 そのひとつがメインから採用されている《プリズマリの命令》で、パワー3のクリーチャーが多いために生じがちな、「最後の2点が詰めきれない」1ゲーム目のような展開を差しきることが可能となる。覚前のセンスが、想像していた展開を現実化した格好となった。

 そして決着は、3ゲーム目に持ち越された。

 

ゲーム3

 7枚を見るなり秒でキープを宣言する斉藤に対し、覚前はダブルマリガンの憂き目に見舞われてしまう。

 それでも後手2ターン目の《強迫》で《》《電圧のうねり》《感電の反復》《鏡割りの寓話》《大勝ち》《黄金架のドラゴン》というラインナップから《鏡割りの寓話》を抜き、斉藤のマナトラブルの可能性に賭ける。

 斉藤の3ターン目は《》セットゴー、覚前は《税血の収穫者》だがこれは見えている《電圧のうねり》で処理される。

 そして斉藤の4ターン目、はたしてセットランドは……ない! だが覚前に突きつけられたのは、ある意味でさらなる絶望だった。

 斉藤が4枚目の土地の代わりに引き込んでいたのは、《強迫》でぶち抜いたはずの鏡割りの寓話》!

回転

 返す覚前は《税血の収穫者》を送りだすことくらいしかできず、Ⅱ章能力が解決されると斉藤の手札でかさばっていた《感電の反復》2枚が有効札へと一気に生まれ変わる。さらに、なおも土地を引けなかったものの、ゴブリン・トークンのアタックで一時的に4マナに到達したことで、《予想外の授かり物》のプレイまでたどり着く。この2枚ドローはさすがに4枚目の土地を斉藤にもたらし、もはや一片の憂いもない状態。

 一方の覚前は《罠を探す》で《呪文貫き》《大勝ち》《黄金架のドラゴン》というラインナップから《黄金架のドラゴン》を捨てさせるが、斉藤は《感電の反復》フラッシュバックから《大勝ち》で手札破壊をものともしない。

 対し覚前は《税血の収穫者》の能力で《キキジキの鏡像》だけはどうにか処理するものの、3マナ残しで召喚した《血に飢えた敵対者》は合わせられた《ジュワー島の攪乱》で能力起動を封じられてしまい、ダブルマリガン分のアドバンテージ差を埋めることができない。

 そしていよいよ覚前が2個の血・トークンを起動するくらいしかできることがなくなったところで、エンド前に登場したのは船砕きの怪物》!

覚前「投了します……(苦笑)」

覚前 1-2 斉藤

 

覚前「1本目後手だったのがなー……」

 目の前に対戦相手がいて、マリガンでシャッフルしたライブラリーがあって、広げたカードがあるからこそ、「それらが1枚違えば、何かが少しでもズレていたらどうなっていたか」を強く考えてしまう。その状況によって強調された一回性こそが、テーブルトップの特徴と言えるかもしれない。

 斉藤は大きな1勝を挙げ、覚前は残る2ラウンドに望みを託す。

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
2日目
1日目

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