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マジックフェスト・横浜2019

観戦記事

第10回戦:堀 雅貴(大阪) vs. 覚前 輝也(大阪) ~ビート・ミー・イフ・ユー・キャン~

Hiroshi Okubo

「よく会いますね、フィーチャーマッチここで」

 先にフィーチャーマッチテーブルに座っていた覚前にそう声をかけながら、堀がやってきた。聞けば先月のグランプリ・京都2019のフィーチャーマッチテーブルでも対戦したそうだ。どうやらその日は覚前に倒されてしまったそうで、「あの日を思い出す、嫌な組み合わせだなぁ」と苦笑いを浮かべていた。

 関西随一のプロプレイヤーである覚前 輝也について、もはや説明の言葉は多くは要るまい。堀が覚前に敗れたというグランプリ・京都2019でもインタビューを行ったとおり、ミシックインビテーショナルにも招待されており、日本のトッププレイヤー集団「Musashi」の中でも随一の頭脳派と謳われるプレイヤーだ。

 そんな覚前もまた、堀の発言に「主戦場はレガシーですもんね、いつも土地単を使ってらっしゃる」と応じる。堀は間違いなく関西の強豪の一人ではあるが、いわゆるプロと呼ばれるプレイヤーではない。普段は根っからのレガシープレイヤーであり、堀のことを知らないというプレイヤーも多いことだろう。

 だがしかし、他の誰が堀のことを知らなかったとしても、堀が油断ならないライバルであることを覚前はよく知っている。そもそも「フィーチャーマッチテーブルでよく会う」ということは、堀がそれだけコンスタントにトーナメントを勝ち進んできていることの証左に他ならない。不断の研究によって草の根からプロレベルのトーナメントまで情報を網羅する覚前に隙はないということか。

 グランプリ・横浜2019、2日目の初戦。ここで勝利を掴み、上位進出へ弾みをつけるのはどちらになるのか? 覚前と堀の対戦が幕を開ける。


堀 雅貴 vs. 覚前 輝也
ゲーム1

 先攻の堀が《空僻地》から《古きものの活性》、《溶接の壺》と動き出す滑り出し。対する覚前は《コジレックの審問》で堀の手札から《虚空の杯》を抜き、続くターンに《闇の腹心》を追加する。

 堀のデッキは「唸りプリズン」。ローグデッキに分類されるアーキタイプだが、ハマったときの防御力はまさしく鉄壁だ。またローグデッキ全般に言えることだが、初見での見極めは非常に難しいアーキタイプだ。百戦錬磨の覚前であれば堀のアーキタイプ自体は看破できたかもしれないが、だからといって対戦した経験が多いわけでもあるまい。


覚前 輝也

 対する堀はさっそくキーカードである《罠の橋》をプレイして覚前の戦線を押し止める。覚前が《大渦の脈動》で《罠の橋》を破壊しにかかると、これには堀も当然《溶接の壺》の能力を起動。覚前のクリーチャーたちが堀に届くことはない。

 さらに《溶接の壺》を《アカデミーの廃墟》でライブラリーの一番上に戻し、覚前の攻撃を完璧にシャットアウトする。仕方なしに《暗殺者の戦利品》で堀の《アカデミーの廃墟》を破壊し、ひとまずロック打開の糸口を探る。

 この間にも覚前は《タルモゴイフ》や《不屈の追跡者》、《漁る軟泥》を並べるのだが、堀の鉄壁の《罠の橋》に攻めあぐねている。その間にも《闇の腹心》によるペイライフで覚前のライフは7まで減っていた。

 覚前は《ヴェールのリリアナ》と《最後の望み、リリアナ》を並べ、自身の《闇の腹心》を処理。ひとまず《闇の腹心》によって命を摘み取られる危機は脱したものの、堀も《魔術遠眼鏡》をプレイして《ヴェールのリリアナ》の能力を封じる。

 堀の強烈なロック。覚前はなんとか打開策を探ろうとこまめに手掛かり・トークンを生け贄に捧げるのだが、堀はさらに《溶接の壺》をプレイして《罠の橋》を守る。これで覚前は最低でも3枚のパーマネント破壊呪文を用いなければ堀に攻撃することができない。

覚前「詰み……ですかね? そっち、勝ち手段あります?」

「そうですね。このまま《罠の橋》を維持できたら、何もしなくても……」

 そこまで言いながら、堀は覚前のライブラリーを指さす。そこには《闇の腹心》と《不屈の追跡者》によって薄くなったライブラリーの残骸があった。

堀 1-0 覚前


ゲーム2

 今度は先攻の覚前が堀の《罠の橋》を抜き去り、《闇の腹心》をプレイする。「緑黒ミッドレンジ」の真骨頂は高いカードパワーと手数の多さだ。それは先攻でこそ一層輝く。

 だが、堀を押し止めるにはそれだけでは不足だった。まず堀は《魔術遠眼鏡》で覚前の手札を覗き、そこに2枚も控えていた《ヴェールのリリアナ》を指定。さらに「引きました」と《罠の橋》をプレイする。


堀 雅貴

 これで再び覚前の動きを絡め取った堀。さらに《溶接の壺》も追加。再び覚前は《罠の橋》を前に攻撃をシャットダウンされてしまった。

 また、第1ターンの《思考囲い》によって堀の手札には《トレイリア西部》も見えている。ということは、いつだって《アカデミーの廃墟》をサーチすることができるということだ。しかも、覚前の受難はこれではまだ終わらない。

「《発明品の唸り》、X=4で」

 探してきたのは《世界のるつぼ》。続いて《トレイリア西部》を《アカデミーの廃墟》に「変成」させ、セットランド。さて、ここで「覚前が堀とゲームをする」ための前提条件を整理しよう。

  1. アカデミーの廃墟》を破壊する。
  2. 世界のるつぼ》を破壊する。
  3. 罠の橋》を破壊する。
  4. これらを達成するまで《闇の腹心》のペイライフでゲームに敗北してはならない。
  5. 補遺-1. 堀は《溶接の壺》をコントロールしている。
  6. 補遺-2. 覚前の残りライフは6である。
  7. 補遺-3. これらの条件を達成するまで堀に引かれてはならないカードは以下の通りである。なお、堀のデッキリストは仮にグランプリ・ビルバオ2019の準優勝・Louis-Samuel Deltourのデッキリストであるものとする。

 Beat me if you can.殴れるものなら殴ってみろ

 ゲームの結果は言うまでもないだろう。

堀 2-0 覚前

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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