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マジックフェスト・名古屋2019

観戦記事

第4回戦:Jung, Yong Hyuk(韓国) vs. 佐藤 レイ(東京) ~ビートダウンvs.全体除去~

小山 和志
ジュン・ヨン=ヒュク/Jung, Yong Hyuk(写真左) vs. 佐藤 レイ(写真右)

 2019年最後となる国内グランプリ、グランプリ・名古屋2019が開幕した。

 その会場となるAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)は、この8月にオープンしたばかりの新たな施設であり、中部国際空港に隣接した伊勢湾上に位置する。

 まさに海外へ繋がる扉の真横で開催されている本イベント。第4回戦のフィーチャーマッチに選ばれたのは海外を股にかけるMPLプレイヤー、佐藤レイだ。

 グランプリ・香港2017の優勝を皮切りに、一気にMPLプレイヤーへと駆け上がった。押しも押されぬ世界トッププレイヤーとなった佐藤。フィーチャーテーブルへの移動の最中、英語でにこやかに対戦相手であるジュン・ヨン=ヒュクと会話をする姿からは風格すら感じられる。


 
 

 その佐藤が持ち込んだデッキは「セレズニア・出来事」だ。先週、本イベントに先立って行われたショップ主催の大イベント、スタンダード神決定戦にてトーナメントを勝ち抜いたデッキだ。昔ながらの横並べ戦略に加え、《エッジウォールの亭主》というドローソースがあり、1枚の全体除去を食らった程度では簡単には息切れしない構成だ。

 一方、ジュンが使用するのは「白青コントロール」。豊富な妨害手段に加え全体除去《時の一掃》というビートダウンへのキラーカードが採用されている、古から連なる「白青」系コントロールデッキの現スタンダード環境版、と言っていいだろう。

 「《王冠泥棒、オーコ》の海」とも形容される現スタンダード環境。しかし今から戦うふたりのデッキにこのカードは1枚も採用されていない。

 ビートダウン vs. 全体除去。

 マジックの常とも言える戦いが、真新しい海上の会場で幕を開けた――

ゲーム1

 先手の佐藤が《》から《切なる想い》(《恋煩いの野獣》の出来事)。さらに2ターン目には《エッジウォールの亭主》から《巨人落とし》という1マナクリーチャー×3体を並べるロケットスタートを切る。

 その一方、《》《平地》と並べるジュンはドローゴー。「白青コントロール」が「セレズニア・出来事」に対して設定するゴールのひとつは、前書きの通り横に並んだクリーチャーたちをまとめて対処する全体除去――具体的には《時の一掃》まで生き残ることだろう。

 しかし今、佐藤は《エッジウォールの亭主》をコントロールしている。これを5ターン目まで放置すれば幾枚ものドローが佐藤にもたらされることになる。

 事実、佐藤は3ターン目に《恋煩いの野獣》をプレイし、また1枚カードを手に入れた。

 ジュンは3ターン目を迎えると、迷うことなく《エッジウォールの亭主》を《牢獄領域》で除去する。

 アドバンテージ源を失った佐藤は、《時の一掃》が放たれる前にできるだけジュンのライフを減らすべく攻勢を強めていく。《フェイの贈り物》(《フェアリーの導母》の出来事)を《恋煩いの野獣》に打ち込み一気に大ダメージを与える。ジュンは《時を解す者、テフェリー》で《恋煩いの野獣》をバウンスして時間を稼ぐが、返す佐藤のアタックでこれを失うとともにライフは早くも6の危険水域に。

 あと一息というところで、佐藤は考える。ジュンが間違いなく採用している《時の一掃》。だが、ジュンがそのカードを手札に持っているかどうか。持っていなかった場合のリターン、持っていた場合に失うことになる自らのリソース……結果、《恋煩いの野獣》を「出来事」込みでプレイしターンを返す。

 そして、ジュンからはやはり《時の一掃》が放たれる。

 佐藤は《恋煩いの野獣》を《安全への導き》(《群れの番人》の出来事)で守り、《牢獄領域》を《議事会の裁き》で取り去り、アドバンテージ源を取り戻すとともに《群れの番人》をプレイ。続くターンには《切なる想い》→《恋煩いの野獣》のラインも見えており、アドバンテージを確保しつつ攻め手を継続しようとする……

 
ジュン・ヨン=ヒュク

 ……が、それが分かっているジュンは徹底的に《エッジウォールの亭主》を咎めていく。《集団強制》でコントロールを奪い、佐藤に追加ドローを許さない。

 佐藤はみたび《切なる想い》→《恋煩いの野獣》とプレイする。ジュンのライフはたったの6点なのだ。それを削りきれるだけのクロックを佐藤は用意した。あとはジュンの手に対抗策が残されているか。

 続くターン、ジュンの手から放たれたのは人間・トークンを対象とした《些細な盗み》(《厚かましい借り手》の出来事)。佐藤はそのトークンも駆使しての《大集団の行進》X=3をプレイする…のだがこれが《吸収》で打ち消され、《恋煩いの野獣》は独り戦場に取り残されてしまう。

 そして、ジュンは《厚かましい借り手》をプレイし反撃へと転じる。佐藤は先ほど7マナ目を《寺院の庭》アンタップインにより確保し、ライフは18だ。あと6ターン佐藤の後続を捌き切れば第1ゲームをもぎ取ることができる。

 ジュンは佐藤の《大集団の行進》を再度《吸収》で打ち消し、ライフを二桁、12という安全圏に引き上げつつ攻撃。あと5ターン。

 佐藤は《フェイの贈り物》→《フェアリーの導母》とプレイし、《恋煩いの野獣》をアクティブにして攻撃しようとする……がジュンの手からはまたしても《霊気の疾風》。

 佐藤はこれを《安全への導き》で手札へ避難させるが、ターンを稼がれる。

 そしてジュンはここで稼いだ時間で《老いたる者、ガドウィック》!

 《エッジウォールの亭主》をあざ笑うかのように、一気に5枚の手札を補充し、佐藤を突き放しにかかる。

 そして、再度プレイされた《恋煩いの野獣》を《裏切りの工作員》で奪い取る。

 佐藤はこれを《巨人落とし》で処理しつつ《敬慕されるロクソドン》で盤面を再構築するのだが……

 冷静に手札の枚数を確認してからジュンが放ったのは決定的な2枚目の《時の一掃》。

 ここに来てリソースが尽きた佐藤が諦めるのも無理なからぬ強烈な一撃だった。

ジュン 1-0 佐藤

 
ゲーム2

 佐藤が《フェアリーの導母》から《群れの番人》と序盤にクロックを用意し、ジュンのライフを序盤から詰めていく。

 
佐藤レイ

 さらに《切なる想い》→《恋煩いの野獣》と続ける。

 ドローゴーを繰り返すジュンだったが、やはり5ターン目に《時の一掃》で佐藤の軍団を一掃する。

 佐藤は《エッジウォールの亭主》から《恋煩いの野獣》と失ったリソースを回復しにかかるのだが、またしても突き刺さる《時の一掃》。

 これに対し後続を追加することができない佐藤。今度は佐藤がドローゴーでターンを返すことになってしまう。

 一息ついたジュンは《覆いを割く者、ナーセット》から《霊気の疾風》を手に入れる。

 佐藤はまたしてもドローゴー。

 《覆いを割く者、ナーセット》により《ドビンの拒否権》を手に入れたジュンは、佐藤の《フェアリーの導母》を《些細な盗み》→そのまま《厚かましい借り手》をプレイ。この一連を2ターン連続で繰り返し、逆に佐藤を追い詰めていく。

 みたび召喚される《フェアリーの導母》に対し、突き刺さるジュンの《吸収》。

 哀れ、《フェアリーの導母》は戦場に定着することなく墓地へと追いやられることになってしまった。

 佐藤はさらに《黒き剣のギデオン》を続けるが、これが見えていた《ドビンの拒否権》で打ち消されると、佐藤には笑顔で対戦相手に握手を求めることしか残されていなかった。

ジュン 2-0 佐藤

ジュン・ヨン=ヒュク win!

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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