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マジックフェスト・千葉2019
準決勝:石川 雅英(新潟) vs. 鈴木 和茂(愛知)~勝利よりも大切なこと~
石川 雅英(写真左) vs. 鈴木 和茂(写真右) |
鈴木「勝っても負けても楽しいマジックが良いですね!」
石川「それが一番ですね!」
グランプリの準決勝ともなれば、決勝戦がちらつき、プレイヤーたちの緊張感が増していくのが通例だ。だが、石川雅英と鈴木和茂は最初に「楽しむ」ことをお互いの合意とし、ともに笑顔で雑談を交わしながら準決勝に臨んだ。
それは、やはり普通であれば会話が少なくなりがちなカードプールの交換の段に至っても変わらなかった。
石川「えっ強い……」
鈴木「そちらこそじゃないですか(笑)」
7 《森》 7 《島》 1 《花咲く砂地》 1 《睡蓮の原野》 1 《進化する未開地》 -土地(17)- 2 《菅草の蠍》 1 《大都市のスプライト》 1 《名高い武器職人》 1 《雲族の予見者》 1 《絞首された処刑人》 1 《網投げ蜘蛛》 1 《輝き森の追跡者》 1 《夜群れの伏兵》 1 《変容するケラトプス》 1 《北方の精霊》 1 《シルバーバックの巫師》 1 《貪爪》 -クリーチャー(13)- |
1 《送還》 2 《心臓貫きの弓》 1 《龍火の薬瓶》 1 《混迷》 1 《巻き込み》 1 《残忍な発動》 1 《翼ある言葉》 1 《骨を灰に》 1 《狼族の絆》 -呪文(10)- |
9 《森》 8 《山》 -土地(17)- 1 《樹皮革のトロール》 1 《チャンドラの火炎猫》 1 《這い絡む火跡》 1 《緑林の歩哨》 1 《解き放たれた狂戦士》 2 《ゴブリンの密輸人》 1 《打ち壊すブロントドン》 1 《金床鋳込みの猛禽》 1 《輝き森の追跡者》 1 《ケルドの略奪者》 1 《溶岩族の喧嘩屋》 1 《駆け回る物焦がし》 1 《マンモスグモ》 1 《シルバーバックの巫師》 1 《覚醒根の精霊》 -クリーチャー(16)- |
1 《成長周期》 1 《垂直落下》 1 《チャンドラの憤慨》 1 《超克》 1 《灰と化す》 1 《供犠の仮面》 1 《新米紅蓮術師、チャンドラ》 -呪文(7)- |
石川がひと目見て「強い」と声を上げた鈴木のデッキは、《夜群れの伏兵》《変容するケラトプス》《絞首された処刑人》という3枚の優良レアを擁し、《北方の精霊》《シルバーバックの巫師》という各色の有力クリーチャーが顔を揃える。《名高い武器職人》から《心臓貫きの弓》《龍火の薬瓶》をサーチするパッケージも搭載されおり、柔軟かつ軸の太いデッキだ。
石川のデッキもまた、一度動き出せば即座にゲームを決めうる《覚醒根の精霊》という強力なレアが鎮座し、《超克》というフィニッシュブロー、そして複数枚の除去があり、十分に勝機を見いだせるデッキだ。
互いのカードプールを確認し終えたふたりは、着席直後からその笑顔は変わらぬまま。
勝利そのものよりも楽しさを。
そうして、準決勝が幕を開けた。
ゲーム1
石川 雅英 |
石川がマリガンスタート。鈴木が《名高い武器職人》から《雲族の予見者》。石川が《樹皮革のトロール》という立ち上がり。
2マナにして3点の打点を叩き出す良クリーチャーに対し、鈴木は《菅草の蠍》で対抗し、石川は《ケルドの略奪者》を戦線に追加する。
鈴木の対抗策は《変容するケラトプス》。空の《雲族の予見者》に加え、地上でもサイズも上回ろうとするが、石川はすぐにこれを《灰と化す》で処理し、《菅草の蠍》との相打ち上等と、鈴木へとクリーチャーたちを差し向ける。
《ケルドの略奪者》が《菅草の蠍》と相打ちになるが、打点自体は鈴木の2点に対し、石川は3点。このままであれば、ダメージレースを優位に運ぶことができる。
そう、そのままであれば。もちろん、鈴木の手に何もないはずはなく、《菅草の蠍》の2体目がプレイされる。緑赤というカラーコンビネーションの性質上、どうしても地上で攻める形になる石川のデッキ内のクリーチャーの大部分と相打ちを取れるカードであり、石川にとっては辛いクリーチャーだ。
《樹皮革のトロール》と《菅草の蠍》が相打ったところで、石川は《覚醒根の精霊》をプレイするのだが……鈴木は《巻き込み》で着地を許さず、石川のクリーチャーたちを捌き切る。
鈴木も土地が4枚で止まっており決して楽なわけではないのだが、いかんせん石川の展開と噛み合っている。
石川「完璧じゃないですか(笑)」
鈴木「ですね(笑)」
マナフラッドに陥った石川に対し、5マナに到達した鈴木は《北方の精霊》も追加し一気に時計を進めると、石川は残された時間でこれらへの対応策を手に入れることはできなかった。
石川 0-1 鈴木
石川「強すぎる(笑)」
ゲーム2
鈴木 和茂 |
鈴木のファーストアクションは装備品……といってもメインデッキに2枚採用されていた《心臓貫きの弓》ではなく、リミテッドにおいてもあまり見かけないカードだった。
石川は思わずテキストを確認する。石川は鈴木が8マナに到達する前に勝負をつける必要があるだろう。いきなりタイムリミットを突きつけられたようなものだ。
鈴木「(装備できるようになるのは)随分先の話ですよ」
とはいえ、鈴木の言う通り、当面の展開に関係があるカードではない。鈴木が《大都市のスプライト》から《翼ある言葉》と手札を補充しつつ展開するのに対し、石川は《這い絡む火跡》から《溶岩族の喧嘩屋》と緑赤らしい重厚な攻め手を展開する。
ここで鈴木は《大都市のスプライト》と、4マナを立てターンを返す。石川は「怪しいなあw」と訝しがるも、「止まるわけにはいかない」とアタック。
案の定、《這い絡む火跡》をブロックした《大都市のスプライト》に《残忍な発動》がプレイされ、石川は《成長周期》で応じる。
ここは鈴木が余っている青マナから《送還》で《這い絡む火跡》をバウンスし、テンポを取り、さらに自身のターンに《大都市のスプライト》に《狼族の絆》をエンチャントし、石川のクリーチャーを食い止める。
またしても石川はマナフラッド気味の石川はいったん攻勢を止め、《輝き森の追跡者》で戦線の補強にかかるのだが……鈴木からは《貪爪》。《巨像の鎚》に到達するまでもなく、地上の展開でも鈴木が上回り始める。
そして《大都市のスプライト》が空から5点ずつダメージを詰めにかかり始める。ライフは鈴木が12、石川が14と拮抗している。
石川はを《チャンドラの憤慨》と《新米紅蓮術師、チャンドラ》の合わせ技で、2枚のエンチャントで強化された《大都市のスプライト》には対処するものの、鈴木はこのプレインズウォーカーに構わず《貪爪》で本体を狙っていく。
この攻撃を通し石川のライフは7。さらに鈴木は《雲族の予見者》から《絞首された処刑人》で、再び空からもプレッシャーを掛ける。
そして、ついに鈴木は8マナに到達する――
ゲーム最序盤から静かに時を待っていた装備品がついに動き出す。
鈴木は狼・トークンにこれを装備し、全軍で石川に襲いかかる。
石川はそのアタック宣言を聞き届けた瞬間、2度目のグランプリ決勝戦に進む対戦相手を祝福したのだった。
石川 0-2 鈴木
鈴木 和茂 決勝戦進出!
「決勝戦、楽しんできます!」
鈴木はそう言って、石川に対戦の感謝を述べ、決勝戦のテーブルへと向かった。
「やっぱり強すぎですよ(笑)」と、石川はその鈴木をやはり試合前と変わらぬ笑顔で祝福しながら見送る。
悔しくないはずがない。事実「決勝戦は遠いなあ……」とその思いも口にしていた。それでも、石川は笑顔を崩さない。
石川はさらなる大舞台、ミシックチャンピオンシップでマジックを楽しむことができるのだから。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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