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ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019
ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019 初日の注目の出来事
2019年4月26日
テムズ川沿いに位置する「エクセル展覧会センター」へ515人のプレイヤーが集い、ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019が始まった。賞金総額500,000ドルを懸けたこの戦いには、まさに今日から始まるまったく新しいドラフト環境と、モダン環境を揺るがし得る新たなマリガン・ルールが導入され、イベント会場は興奮に沸いている。
殿堂顕彰者オリヴィエ・ルーエルが唯一の全勝で先頭を走る
オリヴィエ・ルーエル/Olivier Ruelが殿堂顕彰者たるゆえんを見せつけた。ミシックチャンピオンシップ(プロツアー)のトップ8入賞は5回を数え、グランプリ・トップ8入賞は実に28回、生涯獲得賞金300,000ドル以上を誇る彼の戦績は、まさに目を引く華々しさだ。
しかしそれは、もう10年以上前に記録したものだ。事実、彼は最近ミシックチャンピオンシップへの参加もほとんどしていない。「結婚して父親になって、仕事と勉強に忙しくて……住宅も購入したからね」と、彼は近況を説明する。
だが本日、彼はミシックチャンピオンシップの舞台に姿を表し、まだ最高峰の戦いができることを示した。「エスパー・コントロール」を手にモダン・ラウンド全勝を飾ると、会場で唯一土付かずの8-0を記録したのだ。《精神を刻む者、ジェイス》と《終末》を中心にした彼のデッキは、ごくわずかながら黒をタッチしており、《外科的摘出》と《虚無の呪文爆弾》、《漂流自我》が採用されている。それらは、その有用性を遺憾なく発揮した。第8回戦のフィーチャーマッチでは、フェリックス・インナウアー/Felix Innauerの「ドレッジ」デッキをその3種類の墓地対策で機能不全に陥らせ、全勝を決めたのだった。
無敗のプレイヤーならもう1人、アルゼンチンのフェルナンド・デイヴィッド・ゴンザレス/Fernando David Gonzalezが7勝1分で初日を終えている。彼はグランプリ・トップ8入賞3回の経験を持ち、モダンで行われたグランプリ・ロサンゼルス2019では「ドレッジ」を使用してトップ8に入賞している。しかし結果を出しながらも、彼は今回、「鱗親和」を選択した。彼のモダンの腕前を披露するのに、デッキは関係ないようだ。
『灯争大戦』の導入
ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019のドラフト・フォーマットには、マジックの最新セット『灯争大戦』が採用された。世界最高のプレイヤーたちが誰よりも早く最新セットのカードを操る様子は、興奮を呼んだ。アンコモンやレアにも収録されたプレインズウォーカーが、戦場を駆け回った。
参加者たちは総力を挙げて、プレインズウォーカーを活かせるデッキを組み上げた――それがたとえ、起動型能力を1つしか持たないものでも。例えば渡辺 雄也は、《はぐれ影魔道士、ダブリエル》を3枚採用した完璧なドラフト・デッキで3戦全勝を収めた。
10 《沼》 7 《島》 -土地(17)- 1 《永遠衆の監督官》 2 《日和見吸血鬼》 2 《蠍の侍臣》 1 《雷のドレイク》 1 《ラゾテプのビヒモス》 1 《税収運びの巨人》 1 《ウギンの召喚体》 -クリーチャー(9)- |
1 《灯の収穫》 1 《負傷者の手当て》 1 《無神経な放逐》 2 《論議を呼ぶ計画》 1 《侵略の代償》 1 《ソリンの渇き》 2 《暴君の嘲笑》 1 《オブ・ニクシリスの残虐》 1 《造反者潰し》 3 《はぐれ影魔道士、ダブリエル》 -呪文(14)- |
探求すべき道はプレインズウォーカーだけではなかった。『灯争大戦』では「増殖」が再録され、+1/+1カウンターから忠誠カウンターまで、あらゆるカウンター戦略を支えたのだ。MPL選手のベン・スターク/Ben Starkは、初日のドラフト・ラウンドで「増殖」を中心に据えた青緑のデッキを組み上げた。
Check out Limited expert @BenS_MTG's War of the Spark draft deck at #MythicChampionshipII! pic.twitter.com/xTBziBDlHM
— Magic Esports (@MagicEsports) 2019年4月26日
リミテッドのエキスパートたる @BenS_MTG に、#MythicChampionshipII 初日に行われた『灯争大戦』ドラフトのデッキをお聞きしました!
また『灯争大戦』では、ついにフブルスプが見つかった。事実、オリバー・ティウ/Oliver Tiuが初日のドラフトで何度も目にしたという。彼は最終的にこの伝説のホムンクルスを3枚確保し、一風変わった青黒デッキを組み上げた。渡辺のデッキと同様に、ティウのデッキにもプレインズウォーカーが3枚採用されているが、こちらはどれも別のプレインズウォーカーだ。
Hear about @TheTiuTangClan's "theme" deck from the Day 1 War of the Spark draft at #MythicChampionshipII! pic.twitter.com/o3DazgaVRx
— Magic Esports (@MagicEsports) 2019年4月26日
#MythicChampionshipII 初日に行われた『灯争大戦』ドラフトにて、 @TheTiuTangClan はある「テーマ」デッキを組み上げたそうです!
さて、1マナ域のカードはモダンでは好まれるが、リミテッドではあまり一般的ではないだろう。だが猫の……部隊? 群れ? 一団?……で全勝できるなら、プレインズウォーカーをデッキに入れている場合ではない! アンドリュー・テンジュム/Andrew Tenjumは、仲間が集まれば集まるほど強くなる1マナの猫、《幸運な野良猫》を5枚ドラフトしたデッキで全勝を成し遂げたのだ。
9 《平地》 7 《森》 1 《総動員地区》 -土地(17)- 5 《幸運な野良猫》 1 《法ルーンの執行官》 1 《アジャニの群れ仲間》 1 《目的のための殉教者》 1 《間に合わせの大隊》 2 《テヨの光盾》 1 《信頼あるペガサス》 2 《執行官のグリフィン》 -クリーチャー(14)- |
1 《瀬戸際の勇気》 2 《放浪者の一撃》 1 《巨大化》 1 《戦地昇進》 1 《連帯》 1 《団結の誓約》 1 《世界を揺るがす者、ニッサ》 1 《人知を超えるもの、ウギン》 -呪文(9)- |
一方でカスパー・ニールセン/Kasper Nielsenのように、マナを安定させるカードを駆使してドラフトの受けを広くし、流れて来た強力なカードをすべて採用するという戦略を取るプレイヤーもいた。ニールセンが組み上げた4色のデッキは、除去と高性能のプレインズウォーカー、おまけに優れたクリーチャーも織り込まれた非常に強力なもので、彼に3戦全勝の記録をもたらしたのだった。
7 《沼》 7 《森》 1 《島》 2 《ギルド門通りの公有地》 -土地(17)- 1 《プリズマイト》 1 《楽園のドルイド》 2 《罠紡ぎ》 1 《ヴラスカの懐刀》 1 《力線をうろつくもの》 2 《ケンタウルスの養育者》 1 《デヴカリンのリッチ、ストーレフ》 1 《護法鱗のクロコダイル》 1 《狼の友、トルシミール》 -クリーチャー(11)- |
1 《マナ晶洞石》 1 《灯の収穫》 1 《負傷者の手当て》 1 《オブ・ニクシリスの残虐》 1 《鮮血の刃先》 2 《死の芽吹き》 1 《永遠神の投入》 1 《ボーラスの城塞》 1 《群集の威光、ヴラスカ》 1 《龍神、ニコル・ボーラス》 1 《死者の災厄、ケイヤ》 -呪文(12)- |
2日目も再び『灯争大戦』のドラフトが行われ、世界最高のプレイヤーたちがまた強力なカードやシナジーを探求する。どうかお見逃しなく!
2日目に進出したマジック・プロリーグ選手
MPL選手のうち、2日目へ進出したのは25人。7勝1敗の成績で彼らを牽引するのは、ブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duinと渡辺 雄也、ジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Depraz、アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneの4名だ。ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezとセス・マンフィールド/Seth Manfieldが6勝2敗で続き、ジョン・ロルフ/John Rolfも5勝2敗1分で初日を終えている。
5勝3敗ラインには、リード・デューク/Reid Duke、マーティン・ジュザ/Martin Jůza、グジェゴジェ・コワルスキ/Grzegorz Kowalski、行弘 賢、ブラッド・ネルソン/Brad Nelson、シャハール・シェンハー/Shahar Shenhar、マット・ナス/Matt Nass、ピオトル・グロゴウスキ/Piotr Głogowski、クリスティアン・ハウク/Christian Hauck、八十岡 翔太、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa、リー・シー・ティエン/Lee Shi Tianが名を連ねる。そして、アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciやベン・スターク/Ben Stark、ルイス・サルヴァット/Luis Salvatto、マルシオ・カルヴァリョ/Márcio Carvalho、アンドリュー・クネオ/Andrew Cuneoが4勝4敗で食らいついている。
モダンが「3ターン目《解放された者、カーン》」に定義される
今大会のモダン・ラウンドでは「トロン」が最も多くの人気を集め、使用率14.6%を記録した。ここ最近のグランプリでは見受けられなかった高い占有率を示しているが、その理由は明白だ――ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019では、「ロンドン・マリガン」と呼ばれる新たなマリガン・ルールが試験運用されているためだ。このルールにおいては、「あなたがN回目のマリガンを行うとき、あなたはカードを7枚引き、その後N枚のカードをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く」という処理が適用される。つまり、特定のカードの組み合わせが必要なデッキは大きな恩恵を受けることができ、中でも「トロン」は、《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》を安定して揃える後押しを受けているのだ。
それでもメタゲームはこれまで通り多様性に満ちており、さまざまなアーキタイプが存在している。フィーチャーマッチエリアでも、「人間」デッキから「イゼット・フェニックス」や「エルドラージ」まで、あらゆるデッキを目にすることができた。第4回戦では、《首席議長ヴァニファール》も姿を現した。
墓地対策が効果を発揮する
全参加者のモダンのデッキリストを分析した結果、最も多く採用されているカードは《外科的摘出》だった。それはメインデッキに199枚、サイドボードに370枚、合計569枚採用されていた。(第8回戦のフィーチャーマッチでオリヴィエ・ルーエルが見せたように)《外科的摘出》は強力な「ドレッジ」デッキを抑え込むことができ、また《廃墟の地》と組み合わせることで「ウルザ・ランド」をすべて追放することができる(第6回戦のフィーチャーマッチでは、シャヒーン・スーラニ/Shaheen Sooraniがこの方法でマーティン・ジュザを打ち倒した)。さらに、自身のカードを《外科的摘出》することで《弾けるドレイク》に+4/+0の修整を与えるという技もある。
だが今大会に影響を与えた墓地対策カードは《外科的摘出》だけではない。例えば《安らかなる眠り》や《虚空の力線》なども多く採用され、中にはメインデッキからの投入も見受けられた。ジャン=エマニュエル・ドゥプラは「白青コントロール」のメインデッキに3枚の《安らかなる眠り》を採用し、第5回戦のフィーチャーマッチ第1ゲームではマシュー・コスタ/Matthew Costaの「イゼット・フェニックス」を無力化してみせた。
ドゥプラをはじめ、何人ものプレイヤーが伝統的にサイドボード・カードとして扱われていたものをメインデッキから採用した理由のひとつは、今大会におけるロンドン・マリガンのルールとデッキリスト公開制度のためだ。デッキリスト公開制度のおかげで「Cardboard.Live」のプラグインを導入できるようになり、Twitchでの観戦体験が向上し、プレイヤーたちは試合が始まる前に対戦相手のデッキを知ることができるようになった。その結果、第1ゲームの初期手札に《安らかなる眠り》があることが役に立たないのかゲームの決定打となるのかがわかるようになったのだ。加えて、ロンドン・マリガンのおかげで、必要ならばゲームの決定打となるカードを安定して探せるようになった。
こうして、ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019は初日を終えた! 明日もトップ8入賞を目指すプレイヤーたちの熱き戦いを twitch.tv/magic にてお見逃しなく。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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