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グランプリ・静岡2018(レガシー)
デッキテク:長北 真の「Neo ゾンバードメント」
「ゾンバードメント」というデッキがある。
参考:岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ゾンバーメント(レガシー)
2012年前後に登場したこのデッキは、《ゴブリンの砲撃》で《恐血鬼》や《墓所這い》といったゾンビ映画よろしく墓地から蘇るクリーチャーたちを投げつけるデッキだ。
アメリカのデッキビルダー、サム・ブラック/Sam Blackが作り上げたこのデッキは誕生以降レガシープレイヤーに根強いファンを抱えている(当のサム・ブラックは最近「Lands」を使用することが多いようだが……)。
そんな「ゾンバードメント」を、「多分世界で一番調整してるよ(笑)」と言う長北真が、このデッキをさらに進化させていた。
長北 真 |
通常の「ゾンバードメント」にとあるカードを加えることで、予想外の角度から一瞬で勝負を決めることができる、まさに「Neo ゾンバードメント」と言える彼のデッキを見ていこう。
長北 真の「Neo ゾンバードメント」
通常の「ゾンバードメント」は上述の通り、《ゴブリンの砲撃》で《恐血鬼》などのクリーチャーを投げつけ、盤面を制圧するデッキだ。フィニッシャーとして《屍肉喰らい》が採用されることが多く、これが巨大になって一撃で勝負を決めることもままある。
とは言え、長北も語っているが、《屍肉喰らい》はただのクリーチャーだ。
長北「普通の『ゾンバードメント』だと(対戦相手が)除去を撃ちたい対象が《屍肉喰らい》だけだから的になるんだよ。当たり前なんだけどそこだけ除去される。《恐血鬼》に撃っても仕方ないし」
その《屍肉喰らい》の代わりにこのデッキで採用されているのが、そのとあるカードだ。
そのカードとは――
3 《沼》 3 《Badlands》 2 《Scrubland》 3 《血染めのぬかるみ》 4 《湿地の干潟》 2 《新緑の地下墓地》 1 《汚染された三角州》 1 《知られざる楽園》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(20)- 4 《墓所這い》 4 《縫い師への供給者》 2 《墓所破り》 4 《恐血鬼》 1 《ネル・トースの災い魔》 1 《大いなるガルガドン》 -クリーチャー(16)- |
4 《陰謀団式療法》 4 《信仰無き物あさり》 3 《納墓》 1 《思考囲い》 3 《ゴブリンの砲撃》 4 《黄泉からの橋》 3 《ファイレクシアの供犠台》 1 《未練ある魂》 1 《仕組まれた爆薬》 -呪文(24)- |
3 《沈黙の墓石》 1 《強迫》 1 《紅蓮破》 1 《思考囲い》 1 《溶岩の飛散》 4 《摩耗 // 損耗》 1 《仕組まれた爆薬》 3 《カラカス》 -サイドボード(15)- |
さて、このカードが「ゾンバードメント」ではいわゆる「無限」コンボを生み出すことになる。
1.墓地に《黄泉からの橋》を、戦場に《墓所這い》を用意する。
2.《ファイレクシアの供犠台》を戦場に出し、《墓所這い》を生け贄に捧げ、マナを得る。
3.《黄泉からの橋》でゾンビ・トークンが生み出され、2.で得たマナにより《墓所這い》を唱えることができる。これを任意の回数繰り返せば任意の数のゾンビ・トークンを生成することができるので、《ゴブリンの砲撃》でプレイヤーにダメージを与えてフィニッシュ(《ファイレクシアの供犠台》でそれらを生け贄に捧げれば、任意の数のマナを生み出すことも可能)。
もともと長北は《ファイレクシアの供犠台》を1枚だけ投入していたが、このカードを引いた時の異様な勝率に気づき、増量を決めたという。
そして、このデッキにはここ最近追い風が吹いている。
長北「(禁止になった)《死儀礼のシャーマン》が本当にキツくて……何枚プレイされたかで勝率が変わる、くらいの。だからこのカードが禁止になって、さらに《縫い師への供給者》を手に入れて、すごく強化された」
モダンでも大活躍の《縫い師への供給者》により、大幅に強化されたこの「Neo ゾンバードメント」を駆り、長北は2日目進出を果たしている。
対主要デッキの相性
長北「フェアデッキに対しては……負けた記憶があまりないかな。デルバー系にはテンポで押し切られることもあるけど、『奇跡コントロール』や『グリクシス・コントロール』にはめっちゃ相性が良いよ」
《恐血鬼》や《墓所這い》は墓地から何度でも蘇る上に、《墓所破り》により粘り強い戦いもできる。《陰謀団式療法》もあり、通常のフェアデッキに対しては確かに相性が良さそうだ。
しかし、サイドボードから《解呪》系のカードを入れられるとすぐに要所で止められてしまいそうだが……?
長北「もちろん、そういった呪文を持たれていると止まるんだけど、普通は《恐血鬼》にボコスカ殴られている状況でマナをオープンで返すことなんてできないよ。だから、(対戦相手が)気を抜くと《ファイレクシアの供犠台》を出されて『あ、死んだ』みたいな(笑)。コンボに対しても《陰謀団式療法》があるから見た目ほど厳しくはないかな」
ただ、どうしても《虚空の杯》をX=1で設置されるとどうにもならず、そのため「赤単プリズン」や「エルドラージ・ポスト」は厳しい戦いになるという。
サイドボード
長北「《外科的摘出》だけはされたくないから、《沈黙の墓石》が入ってるんだけど、これは《瞬唱の魔道士》対策としても機能するから、対『奇跡コントロール』なんかにも入れるのかな。あと、《真髄の針》を《ファイレクシアの供犠台》対策に入れる人がいるんだけど、これはマナ能力だから気をつけたほうがいいよ」
また、《カラカス》は苦手なリアニメイト対策として、《虚空の杯》のため《摩耗 // 損耗》が最大限用意されている。
長北「『Lands』なんかに浮気もしたけれど、結局このデッキが楽しくて戻ってきちゃうんだよね」
長北はインタビューの後、愛おしそうにデッキをケースにしまいながら、苦笑いしながら言葉をつないだ。
レガシーはローテーションがなく、好きなデッキを好きなだけ使うことができる環境だ。
もしレガシーを始めたいと思っている人がいれば、この「Neo ゾンバードメント」でもよし、各々の好きなデッキでもよし。ぜひ飛び込んでみてほしい。
きっと新たな、懐かしいマジックの魅力を再発見できることだろう。
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