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グランプリ・京都2016

観戦記事

第1回戦:チーム 小田/馬場崎/南條 vs. チーム 佐藤/玉田/野中

By 宮川 貴浩

 協力しながらのデッキ構築、試合中の助言。チーム戦ならではの見どころは数知れないが、不戦勝の存在しない本大会では、第1回戦からビッグネームが登場するのも魅力のひとつだ。

 世界選手権から帰ったばかりの玉田は、世界選手権2011に出場経験のある野中、プロツアー常連の佐藤とともに、チームワーク、実力ともに申し分ないチームを作り上げてきた。

 対する小田/馬場崎/南條チームもプロツアー地域予選進出者を送り出すほどの実力派メンバー揃い。大舞台での気後れもまったく感じられない。

 チームシールドという難しいフォーマットの中で、彼らが見せてくれるドラマに期待せずにはいられない。


チーム 小田/馬場崎/南條(写真左) vs. チーム 佐藤/玉田/野中(同右)
A卓 ゲーム1

 A卓は、白黒デッキの佐藤と赤白デッキの小田のマッチアップだ。

 小田は《スレイベンの検査官》、《シガルダ教の僧侶》、《無私の霊魂》と優秀な小型クリーチャーをテンポよく横に展開していく。

 対する佐藤は、《グール呼びの共犯者》、《親切な余所者》と質の高いクリーチャーでどっしりと受ける構えだ。

 勝負のカギとなったのは、佐藤の除去だった。黒得意のクリーチャー除去で戦線をこじ開けると、《神出鬼没な拷問者》をはじめ、次々とクリーチャーを並べて盤面に差をつけ、攻勢に転じていく。

 小田も《支配の天使》、《神聖な協力》と1枚で戦況をひっくり返しうる強力なカードで必死に耐えるが、佐藤のクリーチャーたちは、墓地にいても能力を発揮しながらアドバンテージを取っていくものばかりだ。

 結局物量の差はいかんともしがたく、そのまま佐藤が押し切る形となった。

小田 0-1 佐藤

B卓 ゲーム1

 B卓のマッチアップは、赤白デッキの玉田と赤緑デッキの馬場崎。

 玉田が《ケッシグの鍛冶場主》から《収穫の手》、馬場崎が《ファルケンラスの肉裂き》、《狩りの精霊》と、ともに順調な立ち上がり。

 先に動いたのは、馬場崎だった。《血の霧》を張り、猛攻の姿勢を見せる。しかし、玉田は《くすぶる狼男》には《絞首束縛》、さらには《ナヒリの怒り》を使って馬場崎のクリーチャーを綺麗に除去してゆく。

 これで攻守が入れ替わった。玉田の《収穫の手》は《拾った大鎌》に変身し、装備先のクリーチャーもよどみなく展開してゆく。馬場崎も《癇しゃく》、《ヴィルディン群れの除けもの》と応戦はするものの、除去とクロックを巧みにかみ合わせた玉田が先に馬場崎のライフを削り切った。

馬場崎 0-1 玉田

C卓 ゲーム1

 C卓は青緑デッキのミラーマッチとなった。

 野中が《悟った狂人》、《針毛の狼》とじっくり盤面を作っていく様子を見せると、南條も即座に昂揚を達成こそしないものの、墓地を肥やしながら《節くれ木のドライアド》、《悟った狂人》と文句のない立ち上がり。

 ここから怒涛の現出合戦が始まる。野中が《不憫なグリフ》、《忌まわしい群れの存在》と優秀な現出クリーチャーでたたみかけると、南條は《溺墓のビヒモス》でこれに応じた。

 野中は、《ソンバーワルドの雄鹿》の格闘を《未知との対決》で切り返すファインプレー。これで流れをつかんだ野中。決め手となったのは《縫い翼のスカーブ》だった。

 長期戦にめっぽう強いこのクリーチャーが機能しだすと、《月への封印》のサポートを受け、場に残った野中のクリーチャーたちが流れるように勝負を決めた。

南條 0-1 野中

A卓 ゲーム2

 2ゲーム目も、小田は《スレイベンの検査官》、《無私の霊魂》、《不動の聖戦士》、《厳格な巡邏官》とロケットスタート。さらに、対処しにくい《永遠の災い魔》も戦線に加える。

 しかし、佐藤はこれにも動じない。《闇の救済》、《神聖な協力》と強力な除去で捌くと、圧倒的なアドバンテージを生み出す《魂の聖別者》であっという間に優位に立つ。

 小田は《ナヒリの策謀》をコントロールしているものの、これは攻めているときにこそ真価を発揮するカード。守勢に回っていては活かすことができない。

 佐藤がダメ押しとばかりに《無私の霊魂》の能力にも影響されない《絞首》を撃ち込み、《薄暮の饗宴者》を戦力として追加すると、小田に残ったのは《信条の香炉》と《信者の杖》を装備した《スレイベンの検査官》のみ。

 いくら彼女が5/5警戒とはいえ、たった一人では小田を守り切ることはできなかった。

小田 0-2 佐藤

r1_oda_babasaki_nanjo.jpg

 限られた構築時間の中でサイドボーディングをどこまで練れているかは勝敗に大きく影響する。

その点も含め、小田/馬場崎/南條チームの連携に問題はなさそうだ。

B卓 ゲーム2

 馬場崎のアクションは《ファルケンラスの肉裂き》から。対する玉田のファーストアクションは《シガルダ教の僧侶》と、ともに静かな立ち上がり。

 馬場崎の《燃えさし眼の狼》を、玉田は《焼夷流》ですぐに除去。そして、高スペックの《近野の司祭》を戦場に送り出した。

 ここからは、互いにクリーチャーを出しては除去の応酬が続く。そして、再び戦場に現れた《血の霧》。これで戦闘は馬場崎が大きく有利になる。

 さらに玉田が《血の霧》の二段攻撃の効果を失念して一方的に損をするコンバットトリックを敢行してしまうと、隣の佐藤からは思わず「何してんの! びっくりした!」と思わず突っ込みが。しかし、互いに笑顔で「しゃーない、しゃーない」とミスを引きずる雰囲気は見せない。

 事実、玉田は《ナヒリの怒り》で場を綺麗にしてしまうと、《近野の司祭》の効果で生み出したトークンでいつの間にか優勢に。お互い手札が尽きてくる段階でのこの動きは非常に強力だ。

 最後のブロッカーもきっちり《絞首束縛》で無力化し、《罪を誘うもの》で確固たる優位を築くと、馬場崎に解答策は残されていなかった。

馬場崎 0-2 玉田

C卓 ゲーム2

 残念ながらチームの敗北は決してしまったが、このまま終わるわけにはいかない南條。《無謀な識者》、《悟った狂人》、《絡み草の闇潜み》と青緑らしい滑り出しを見せる。

 対する野中も《針毛の狼》、《忌まわしい群れの存在》、《茨隠れの狼》と順調な展開だ。ゲームは長期戦の様相を呈する。

 途中、野中のブロックに対して試合を終えた玉田が「それはないでしょ~」と突っ込み、同じく試合を終えた佐藤も交えてブロックすべきだったかどうか会議が開かれるなどチーム戦ならではの光景も見られたが、その間にも南條の墓地はどんどん増えてゆく。


真剣かつ、じつに楽しそうにプレイする佐藤/玉田/野中チーム。

 不穏な気配からフルタップで現れたのは......《約束された終末、エムラクール》!

リミテッドでも(だから?)やっぱり最強。

 一時は《金縛り》でこれを凌いだ野中だったが、南條は《絡み草の闇潜み》で《約束された終末、エムラクール》をライブラリートップに戻して再度キャスト。これには野中もなす術がなく、南條が一矢報いた。

南條 1-1 野中

 勝敗はすでに決しているため、残りの時間は両チームともに戦略の確認にあてていた。勝負は長い。戦いの中で己の強さのみならずチームワークを磨いていくことは、この先必須。その向こうには、勝敗以上のものも見えてくるだろう。

チーム 佐藤/玉田/野中 Win!
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RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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