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グランプリ・北京2016

観戦記事

準々決勝:藤村 和晃(大阪) vs. 三原 槙仁(千葉)

By 矢吹 哲也

 実に5名。トップ8入賞者の過半数を日本人プレイヤーが占めることになった今大会。「環境最初期」という濃い霧の中で迷い、もがくうちに、1056人の参加者たちは次々と姿を消していった。ここに残った8名はきっと、それぞれが何かしらの手段を持っているのだろう。それは霧を晴らす力なのか、霧の中でも道が分かるほどの経験なのか。

 そういう意味では、今大会の三原 槙仁は前者のような感じを受ける。他を文字通り圧倒して勝ち上がって来た三原の目の前には、その視界を遮るものはないだろう。彼はただ歩く。自身3度目のグランプリ戴冠に向けて伸びる道を。

 では対する藤村 和晃が後者、すなわち環境最初期にも関わらずはっきりと勝利への道筋が見えるほどの経験を積んできたのかと言えば、それはわからない。練習量を聞いておけばよかったと後になって思ったが、しかし筆者はこの試合が始まる前に目にしている。決勝ドラフトのデッキ構築時間中、完成したデッキを黙々とひたすらに回し続けている藤村の姿を。


藤村 vs. 三原。いずれにせよ、彼らは今グランプリ・トップ8の舞台にいる。必要なことは、あと3回勝つことだ。

ゲーム展開

 後手ながら《ガラスの破片》から《悪魔の棲家の狐》と軽快なスタートを切った藤村。三原は《苦しめる声》で《ただの風》を「マッドネス」し、藤村の序盤の攻勢を許さない。素早く攻撃に出られなかった藤村だが、再び《悪魔の棲家の狐》を展開し、《ガラスの破片》を装備。《逸脱した研究者》を繰り出した三原に向かって改めて攻撃を始めると、《薄暮見の徴募兵》を盤面に加えた。

 返しのターン、三原は早速《逸脱した研究者》の「変身」に成功し、上空から藤村を攻めた。《火の猟犬》を盤面に加えるとターン・エンド。藤村はクリーチャー2体で攻撃し、三原がブロックに入ったところを《腕っぷし》で突破する。

 コンバット・トリックで地上戦を制した藤村だが、5/4飛行の《完成態》が止められない。土地を引き込めず3枚で止まった状態で、「殴るしかない」と全軍を突撃させる。三原のブロックに対して、今度は《狙いは高く》で自軍を生かしながら三原の盤面を削る。

 だが《完成態》のさらなる攻撃で藤村の残りライフは5点。三原の盤面に《狂気の預言者》が繰り出され、藤村に残された時間は1ターンとなった。

 藤村は《ガラスの破片》を兵士・トークンに付け替え、全軍で攻撃。三原は残り7点のライフを削り切る手段が藤村の手札にあるのか、ないのか、思案を重ねたのちに、《収まらぬ思い》を「マッドネス」で唱え、手札を整える。

 この戦闘で三原を仕留めるには至らなかったものの、三原がタップ・アウトになったところで藤村はついに、《ガラスの破片》を生け贄に《天使の粛清》を解き放ち、《完成態》を退場させた。三原は《氷の中の存在》と《招かれざる霊》を展開し、一度防御を固める。

 藤村は2枚目の《ガラスの破片》と《刹那の器》を繰り出してターンを渡す。三原は《かそけき翼》を《招かれざる霊》にエンチャントし、攻撃を通して「変身」。藤村に残された最後の2点を確実に通せる状況とし、再び王手をかけた。

 逃れるすべは、なし。藤村はカードを片付け、「サイド(から入れるもの)ほとんどないよー」と手早くサイドボーディングを終え、シャッフルを始めた。サイドボーディング中に先ほどのゲームの検討を行った両者は、気持ちを切り替えて第2ゲームに臨む。


序盤から中盤にかけて減らした対戦相手のライフをしっかりと詰め切った三原。

「お願い、ブン回り!」と初手を確認した藤村は、1ターン目《ガラスの破片》から2ターン目《ラムホルトの平和主義者》という理想的なスタート。これには三原も「これはもうイーブン(1勝1敗で次のゲーム)かも」と気圧される。

 三原は2ターン目に呪文を唱えず、藤村は《ラムホルトの解体者》への「変身」を成功させる。彼はバウンスを警戒し、《ガラスの破片》を装備せずに4点で攻撃。《刹那の器》を展開してエンド。三原は《招かれざる霊》を展開後攻撃を通し、《阻み難い侵入者》へ。《逸脱した研究者》も盤面に加えて、ダメージ・レースに乗り出した。藤村は三原のターン終了時にスピリット・トークンを生み出し、全軍で攻撃。7点というダメージを前に三原は頭を抱えるが、これを受けて残りライフを8点に落とした。

 藤村は追撃の手を休めず、再び全軍で攻撃。ダブル・ブロックに入った三原のクリーチャーたちを《腕っぷし》でまとめてねじ伏せんとする。《本質の変転》で《阻み難い侵入者》を戦闘から離脱させた三原だったが、藤村は《針毛の狼》を加え、三原を追い詰める。

 《逸脱した研究者》が「変身」し、さらに《首折れ路の乗り手》を盤面に加えて守る三原。ライフは残り5点。手札は残り1枚。

 そこへ藤村による再度の全軍攻撃。《針毛の狼》も能力で強化すると、三原の防御を崩し切ったのだった。

 決勝ドラフトにて藤村は高マナ域の狼男を積極的にピックしており、三原は重めの「赤緑」デッキを想定していた――だがその読みは外れた。藤村のスピードは、三原の想定を上回っている。「テンポ勝ちする予定が、テンポを取られた」と、三原は苦い表情を見せた。


決勝ドラフトの構築時間中、完成したデッキをひたすらに回し続けていた藤村に、デッキが応える。

 最終ゲームは、藤村の2ターン目《ラムホルトの平和主義者》で始まった。《薄暮のニブリス》で対抗する三原に対し、藤村は《ガラスの破片》を《ラムホルトの平和主義者》に装備して攻撃可能にし、4点のダメージを通した。

 三原はもう1体《薄暮のニブリス》を追加し、上空から応戦する。藤村も《不屈の聖戦士》で地上の戦力を整え、プレッシャーをかけていく。

 ここで三原は盤面を吟味し、しばらく考えた。そして《苦しめる声》から《ただの風》の「マッドネス」で《ラムホルトの平和主義者》を戻し、《かそけき翼》も加えて果敢を3回誘発。一挙11点という予想外の大打撃が藤村を襲う。

 藤村はなんとか体勢の立て直しを図った。《ラムホルトの平和主義者》を再展開し、《平地》と《》を立ててターン・エンド。

 三原は再び状況の検討後、《目録》で果敢を誘発させて2体で攻撃。藤村は《狙いは高く》で《ラムホルトの平和主義者》に到達を与え、片方をブロック。それでも4点が通り、藤村の残りライフは3点となった。全軍で反撃した藤村は、《腕っぷし》で三原の繰り出した《首折れ路の乗り手》を突破し、残った《薄暮のニブリス》にも《翼切り》! 三原は《かそけき翼》の能力で《薄暮のニブリス》を手札に戻すが、盤面は一転して不利に追い込まれた。

 《薄暮のニブリス》と《貪欲な求血者》で盤面を作り直す三原。しかし藤村の苛烈な追撃に、こちらもライフを3点まで削られる。

 互いにとって最後の1ターン。三原が何か呪文を引けば、果敢の誘発でぴったり藤村を仕留められる......引き込んだのはクリーチャー。だがもうワンチャンス。《狂気の預言者》を繰り出し、ドロー。

 三原はライブラリー・トップをそのまま戦場へ置いた。そこに見えたのは、《》だった。

藤村 2-1 三原

藤村 和晃が三原 槙仁を2勝1敗で下し、準決勝へ!
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