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グランプリ・北京2016

観戦記事

第4回戦:北原 寛章(和歌山) vs. 齋藤 友晴(千葉)

By 矢吹 哲也

 リミテッドで行われるグランプリの始まりはいつも賑やかだ。

 ヘッドジャッジによるデッキ構築時間などのアナウンスが流れる間は、会場にその声だけが響き――やがて聞こえる「You may begin(それでは始めてください)」の声。

 そして1000人に迫るプレイヤーたちが一斉にパックを開封する音。この賑やかな音が、祭りの始まりを知らせてくれる。

 この週末に世界3ヵ所で同時に開催される祭り、『イニストラードを覆う影』リミテッドのグランプリでは、登場したばかりの最新セットをめぐり様々なプレイヤーの様々な思惑が交錯する。1週間後に迫ったプロツアーに向けての実戦練習、1万ドルの賞金、プロ・ポイント、町で一番のプレイヤーから世界に知られるプレイヤーへのステップアップの機会......それぞれの想いを胸に、彼らは戦いを始めた。

 そして迎えた第4回戦、日本からここ北京へ乗り出し、フィーチャー・マッチ・エリアで戦うことになった両者にも、それぞれの想いがある。

 齋藤 友晴は今シーズン、海外グランプリへ積極的に参加し勝利を積み重ねてきた。彼は現在、「グランプリ・マスター(シーズン内に開催されたグランプリでの獲得プロ・ポイント最上位)」の座にいる。このまま1位を走り続ければ、世界選手権2016への扉が開くのだ。今回のグランプリでも好成績を収め、さらに歩みを進めたいところだろう。

 北原 寛章はグランプリ・神戸2012での準決勝進出をはじめ、前回のグランプリ・北京2015では行弘 賢と山本 賢太郎のプロ・プレイヤーたちとチームを組むなど、リミテッド巧者として知られている。奇しくもグランプリ・神戸2012のフォーマットは、『イニストラード』と『闇の隆盛』のリミテッドだった。再訪された次元にて再び結果を出し、世界へ打って出るきっかけにできるだろうか。


海外グランプリで日本人同士の対決。現地生放送のカメラも入り、注目が集まる。

それぞれのデッキ

 齋藤のデッキは緑黒に赤をタッチした、墓地と「昂揚」を活かすどっしりとしたデッキ。《発生の器》に《精神壊しの悪魔》と強力な墓地肥やしを擁し、サイズに優れた緑のクリーチャーたちも揃っている。

 北原は白赤の高速型......と思いきや、実は試合後「組み方を間違えていると周りに言われまくりました」と苦笑。事実、サイド後は白緑に色を変えて戦っていた。

 だが勝負は、始まってみるまでわからない。

ゲーム展開

「キープします」と宣言した北原に対し、齋藤は《》1枚の手札に頭を悩ませ、それでもキープを宣言。

 そして北原は《燃えさし眼の狼》、《霊体の羊飼い》と続けて展開し、さらに《忘れられていた家宝》と《ハンウィアーの民兵隊長》で早くも盤面を完成させた。

 齋藤も《グール呼びの共犯者》と《腐臭ネズミ》で地上の守りを維持したものの、北原が《悪魔と踊る》で《ハンウィアーの民兵隊長》の「変身」条件を満たすと、齋藤に反撃のチャンスは訪れなかった。


「信じられないほどのブン回り」と自身も驚く動きを見せ、1ゲーム目を奪った北原。

 サイドボーディングが終わると、自身の頬を張り気合を入れる齋藤。1ターン目《発生の器》から2ターン目にそれを起動し、マナ基盤を整えつつ墓地を肥やすと、3ターン目《墓モグラ》と動く。

 対する北原は色を白緑軸に変え、1ターン目《スレイベンの検査官》から2ターン目《忘れられていた家宝》、3ターン目《裏道の急使》、4ターン目《ナッターノールズの隠遁者》と展開を休めない。

 齋藤の4ターン目、強力な神話レア《精神壊しの悪魔》が舞い降りるが、《信条の香炉》も加えて6/4となった《裏道の急使》の攻撃を前に相討ちに終わる。北原はふたつの装備品を《ナッターノールズの隠遁者》に装備し直して攻撃。5点のダメージを与えるとそのままターンを渡し、装備品とともに「変身」させた。

 ここで齋藤も《忘れられていた家宝》と《孤独な狩人》と続けて繰り出し、北原の《ナッターノールズの一匹狼》を再び人間状態に戻す。

 北原は《ケッシグの不吉な豚》を盤面に追加。齋藤は《孤独な狩人》に《忘れられていた家宝》を装備し、ターン・エンド。《孤独な狩人》は《群れの一員》に、《忘れられていた家宝》は《灰口の刃》に「変身」した。

 北原は《ケッシグの不吉な豚》に《灰口の刃》と《信条の香炉》を装備して10/10警戒先制攻撃の怪物に仕上げ、攻撃に繰り出す。しかし齋藤はこちらも《灰口の刃》を装備した《群れの一員》に「昂揚」を達成した《道理を超えた力》を唱え、11/12先制攻撃の狼男で討ち取ってみせた。

怪物たちがぶつかり合う次元、イニストラード。

 怪物同士の大激突を制した齋藤は、《死の円舞曲》で《精神壊しの悪魔》を回収し、盤面を有利に運んでいく。北原も狼やスピリットを展開して齋藤のライフを残り2点まで追い詰めたのだが、最後は齋藤の全軍攻撃を防ぎ切れなかった。


サイズに勝るクリーチャー群で盤面を勝ち取った齋藤。

 3ゲーム目、北原は手札を見るなりマリガン。齋藤はキープを宣言。6枚となった手札は土地が1枚のもので、北原は悩みながらもこれをキープした。しかし占術を行っても土地は見えない。結局1ターン土地が置けず、2ターン目の《スレイベンの検査官》からゲームを始めることになった。

 齋藤はその隙に《内陸の木こり》を繰り出し、「変身」。早くも《森林を切り裂くもの》による4点での攻撃をしかけるが、北原は《未知との対決》で相討ちに取り、これを食い止めた。そのまま徐々に土地の枚数でも追いついた北原は、齋藤の繰り出した《精神壊しの悪魔》も《天使の粛清》で対処する。

 序盤の攻防が終わり、再び盤面の取り合いが始まる。《偏執的な皮剥ぎ人》で自軍を強化していく齋藤に対し、北原は《ケッシグの不吉な豚》での一点突破を試みる。齋藤はダブル・ブロックでこれを討ち取り、盤面は再度主導権争いへ。

 齋藤は墓地の《グール呼びの共犯者》からゾンビ・トークンを生み出し、《ラムホルトの解体者》と《グール呼びの共犯者》をさらに追加。

 一方の北原は《ナッターノールズの隠遁者》と《裏道の急使》で地上を守りながらスピリット・トークンで攻撃。しかし、サイズに勝る齋藤のクリーチャーが徐々に盤面を押していく。ついに押し返せなくなった北原は、最後のドローを確認するとカードを片付けたのだった。

北原 1-2 齋藤

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