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チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド3

準々決勝:大矢 一貴(埼玉) vs. 和田 悠幹(広島) ~プレイオフの魔物~
チャンピオンズカップファイナル シーズン3 サイクル3の準々決勝は、今大会での使用者数わずか9名のみだった「黒単デーモン」を持ち込んだ大矢 一貴(埼玉)と、対照的に今大会でも「イゼット果敢」や「ジェスカイ眼魔」に次いで高い使用率を誇った「赤単アグロ」操る和田 悠幹(広島)との試合となった。
大矢はパイオニアで開催されたチャンピオンズカップファイナル シーズン3 ラウンド1でもプロツアー権利を獲得しており、そこでも「黒単デーモン」を使用していた。フォーマットは違えども、キーカードである《不浄な別室 // 祭儀室》や《止められぬ斬鬼》はスタンダードで使用可能なカードであり、これらの暴力的なカードパワーは現在のような高速環境でも十分に通用するポテンシャルを備えていることを、今大会で重ねてきた勝利を通じて証明してきた。
対する和田は20年近くマジックを続けてきた古豪だ。都合により出場はできなかったそうだが、プロツアー権利も獲得した経験があり、実力も経験も十分。使用している「赤単アグロ」は、今大会の台風の目となった「イゼット果敢」にも速度負けしない純粋なアグロデッキだ。
果たしてここで勝利を収め、次なる試合、世界選手権への出場権利を懸けた準決勝へと駒を進めるのはどちらになるのか? 準々決勝で相対した2人は、自身のキャリアに栄光を刻まんと戦いに臨む。

大矢 一貴(埼玉) vs. 和田 悠幹(広島)
ゲーム1
先攻の大矢が土地を置くのみでターンを終えると、和田のプレイした《心火の英雄》に《切り崩し》。さらに続く第2ターンには《大洞窟のコウモリ》で《熾火心の挑戦者》、《巨怪の怒り》、《心火の英雄》、《僧院の速槍》と土地2枚という手札から《巨怪の怒り》を抜く。

和田 悠幹(広島)
対する和田は《熾火心の挑戦者》を唱えて攻撃を開始するが、返す大矢の《大洞窟のコウモリ》の絆魂がライフの減りをスローダウンさせ、さらに《分派の説教者》が地上を固める。
序盤のリードを奪われてしまった和田だったが、負けじと《僧院の速槍》をプレイすると《稲妻の一撃》で《大洞窟のコウモリ》を除去し、《熾火心の挑戦者》で攻撃。《分派の説教者》がこれをブロックすると《巨怪の怒り》を唱えてアドバンテージの損失覚悟で相打ちとする。
ここまでリードを守ってきた大矢だが、まだまだ安心はできない。和田の《僧院の速槍》に《喉首狙い》すると、さらに追加の絆魂クリーチャーである《カルシの帰還者》をプレイしてガードを固める。これに対し、和田は《岩面村》で《心火の英雄》に速攻を付与して攻撃するが、削ったライフもすぐに《カルシの帰還者》によって取り戻されてしまう。
大矢はここで勝利を確実にもぎ取らんと、和田がプレイした《雇われ爪》1枚を除去するために《ギックスの命令》。さらに《大洞窟のコウモリ》と《分派の説教者》を手札に戻す。もぐら叩きのように執拗に和田のクリーチャーたちを除去し、絆魂でライフを回復し続け、7ターン目を迎えてなお大矢のライフは19点とかなり余裕がある。
さすがに煙も出なくなってしまった和田の前に、大矢が《分派の説教者》と《大洞窟のコウモリ》を並べると、ここから逆転の目はないと悟った和田がまず第1ゲームの勝利を大矢に譲った。
大矢 1-0 和田
ゲーム2
嵐のような除去の連打と絆魂によるライフ回復でなすすべなく第1ゲームで膝を屈した和田だったが、続く第2ゲームでは先攻でキープした7枚の手札から《心火の英雄》をプレイする。そして続くターンに《岩面村》を設置すると、《心火の英雄》を対象に能力を起動。大矢はこれに対応して《切り崩し》で応じる。
ならばと和田は《僧院の速槍》をプレイし、土地2枚を立たせたままターンを終えると返す大矢は《分派の説教者》。これに対し、和田は《多様な鼠》を「新生」でプレイして横並びの展開を目指す。
「赤単アグロ」の序盤の攻撃を押し留めた大矢は、《分派の説教者》で攻勢に転じていく。絆魂を持った吸血鬼トークンが生成され、さらに《黙示録、シェオルドレッド》をプレイして攻守盤石の布陣を築く。
しかし、これで大矢はフルタップだ。この隙に、和田は《心火の英雄》をプレイして《岩面村》で速攻を付与すると、《僧院の速槍》、《多様な鼠》とそのコピートークンたちとともに4体で攻撃。そして《魔女跡追いの激情》で《黙示録、シェオルドレッド》を除去する。

大矢 一貴(埼玉)
大矢は吸血鬼トークンで二段攻撃を持った《心火の英雄》をブロックするが、手痛いダメージを食らってしまう。返すターンに《心火の英雄》を《喉首狙い》してゲームスピードを調整するが、和田は続いて《叫ぶ宿敵》を戦線に追加して苛烈に攻めていく。
さらに《岩面村》で《多様な鼠》トークンにパワー修正を与え、二段攻撃・トランプルを持った《多様な鼠》トークンと《叫ぶ宿敵》で攻撃。これは《分派の説教者》と相打ちになる。
手数で押される大矢は、懸命に除去とブロッカーで対抗するが和田のクリーチャーたちがその隙間を縫ってダメージを通し、ここまでに大矢のライフは危険域まで減らされていた。万事休すとばかりに最後のドローを確認すると、投了を宣言した。
大矢 1-1 和田
ゲーム3
プレイオフには魔物が潜んでいる。人間がフィジカルでカードゲームをプレイしている以上、どうやってもミスは発生し、そしてそうして生まれた綾は時に勝敗を揺るがす。第3ゲームは、そんな綾が奇妙に交錯していった。
先攻2ターン目に大矢がプレイした《大洞窟のコウモリ》に《噴出の稲妻》を合わせ、続いて《多様な鼠》をプレイする和田。手札の《稲妻の一撃》を守りつつ、ライフを削っていく体制を整える。
だが、もちろん《多様な鼠》プレイにも裏目が存在する──たとえば、《大洞窟のコウモリ》の連打だ。大矢は2枚目の《大洞窟のコウモリ》をプレイし、1ターン遅れつつも和田の《稲妻の一撃》を追放してまずはこのマッチアップの生命線でもある絆魂クリーチャーを盤面に定着させることに成功する。
ならばと和田は二段攻撃を付与された《多様な鼠》で攻撃し、その後《雇われ爪》をプレイ。このターン《多様な鼠》の攻撃が通っているため、《雇われ爪》は能力の起動が可能となっており、3/2として戦場に君臨する。次のターンに大矢が《分派の説教者》をプレイしたとしても、能力起動と合わせて乗り越えられるサイズだ。
ならばとフィニッシャー兼ブロッカーとして、巨大な《ドロスの魔神》をプレイする大矢。だが和田は《叫ぶ宿敵》を唱え、これのみで攻撃。受けたダメージを反射する能力を持った《叫ぶ宿敵》はさすがに《ドロスの魔神》でブロックするわけにも行かず、大矢の目論見の半歩先を行く形で、和田が少しずつ確実に勝利へと近づいていく。
とすれば大矢が目指すのはダメージレースだ。大矢は《大洞窟のコウモリ》と《ドロスの魔神》で攻撃して和田のライフを一気に7点削ると、5枚の土地を立たせたままターンを終える。大矢は返す和田のターンの全軍攻撃にも対応せず、7点のダメージを受けながら和田のターン終了時に《魂石の聖域》を起動してクリーチャー化し、返しに2枚目の《魂石の聖域》を置きながら、全クリーチャーで攻撃を宣言する。
ライフを削ることにかけては一級品の赤単アグロでも、《ドロスの魔神》がいる盤面とあっては防戦にも応じざるを得ない。和田はまず《稲妻の一撃》で大矢の《大洞窟のコウモリ》を除去し、さらにこの《大洞窟のコウモリ》によって追放されていた《稲妻の一撃》を《魂石の聖域》にプレイ。
一気に2体のクリーチャーを除去する形となったが、大矢は《魂石の聖域》でマナを出してもう1枚の《魂石の聖域》をクリーチャー化する。そしてここで、和田は一つ大矢に確認をする。
和田「その《魂石の聖域》は召喚酔いしてますよね?」
大矢はこのターン、クリーチャー化した《魂石の聖域》と合わせて2枚の土地を立たせてターンを終えている。が、クリーチャー化された《魂石の聖域》は召喚酔いしており、マナを出すことができない。そしてその大矢の手札には、《喉首狙い》──。
となれば。和田は《光砕く者、テルサ》をプレイしてダメージが足りていることを確認すると、勇み足でクリーチャーたちをタップし、総攻撃の司令を与える。そう、"攻撃クリーチャーを指定"した。つまり戦闘開始ステップは過ぎており……
大矢「あれ?二段攻撃……」
和田「あっ!」

《多様な鼠》の誘発忘れ。現在のルールでは、誘発忘れが1ターン以内に発覚した場合、その能力を誘発させるかどうかはその誘発型能力をコントロールしているプレイヤーの対戦相手が誘発させるかどうかを選択する。無論、このとき大抵の場合は「じゃあ(誘発)無しで」となるわけで、この準々決勝でもその多分に漏れることはなかった。というより、大矢に選択を委ねる前に和田の方から「これはもう仕方ない(巻き戻しての誘発はできない)ですね……」と誘発型能力の処理を諦めた。
《魂石の聖域》の召喚酔いに気づいたことで、勝利確定の盤面に綾がついた大矢。だが、和田もまた《多様な鼠》の誘発忘れによってわずか1点ダメージが足りず、敗北を喫することとなった。緊張と疲労、フィジカルゲームならではの特殊な状況が連続した結果、勝利の女神は大矢の黒単デーモンへと微笑んだ。
大矢 2-1 和田
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