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2020プレイヤーズツアーファイナル

トピック

2020プレイヤーズツアーファイナル 初日の注目の出来事

Corbin Hosler

2020年7月25日


 

(編訳注:埋め込み動画は英語版のものです。)

 ここ6か月の間に行われた多くのトーナメントは、総勢145名のプレイヤーが王者のタイトルと「2020年シーズン・グランドファイナル」への出場権を懸け、MTGアリーナを戦場に激闘を繰り広げている2020プレイヤーズツアーファイナルへと繋がった。スタンダード構築戦で開催された本大会のメタゲームは《荒野の再生》デッキが最大勢力となり、またこの巨大な標的を撃ち落さんと熱意を燃やす者たちがその背後に構える、といった様相を呈している。

プリンツが1日目を独走

 1日目を無敗で終えたプレイヤーはたった1人であった。クリストフ・プリンツ/Kristof Prinzだ。彼の住むドイツ・ハノーバーが午前2時を回るころ、プリンツは7-0という成績を持つ唯一のプレイヤーとなったのだ。

20200725-Kristof-Prinz.jpg
1日目を無敗で終えたクリストフ・プリンツ

 

 およそ半数以上のプレイヤーと同様、プリンツは《荒野の再生》デッキを手に取った。しかしながら、大半の再生プレイヤーとは違い、彼は少し「欲張りな」アプローチを取ったのだ。3色(ティムール)で構成される再生デッキが多い中、彼はそのマナベースに白を足した「4色再生」を持ち込んだ。《時を解す者、テフェリー》や《ドビンの拒否権》という「ティムール再生」に対して強力な武器となるカードを採用したこのデッキは、初日7マッチ中5マッチが「ティムール再生」との戦いとなったプリンツに期待に大いに応えたのであった。

Kristof Prinz - 「4色再生」
2020プレイヤーズツアーファイナル / スタンダード (2020年7月25~26日、8月1日)[MO] [ARENA]
1 《
2 《
1 《
1 《平地
2 《繁殖池
2 《踏み鳴らされる地
4 《寺院の庭
2 《神聖なる泉
4 《ケトリアのトライオーム
4 《ラウグリンのトライオーム
2 《ヴァントレス城
4 《寓話の小道
-土地(29)-

3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《厚かましい借り手
1 《帰還した王、ケンリス
-クリーチャー(6)-
4 《成長のらせん
1 《霊気の疾風
1 《ドビンの拒否権
1 《否認
1 《焦熱の竜火
3 《神秘の論争
4 《荒野の再生
4 《サメ台風
3 《発展 // 発破
3 《時を解す者、テフェリー
-呪文(25)-
2 《幽体の船乗り
1 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《帰還した王、ケンリス
2 《ドビンの拒否権
2 《ガラスの棺
2 《裁きの一撃
1 《霊気の疾風
1 《轟音のクラリオン
2 《陽光の輝き
-サイドボード(15)-

 彼のすぐ後ろには著名なプレイヤーの名が連なっている。惜しくも初日最終ラウンドでプリンツに敗北を喫した、「マジック25周年記念プロツアー」優勝チームの1人であるアレン・ウー/Allen Wuは6勝1敗という成績で1日目を終えた。また、ウーの横にはMPLプレイヤーであるセス・マンフィールド/Seth Manfield、ピオトル・グロゴウスキ/Piotr Glogowskiが同じく6勝1敗という成績で並ぶ。

 しかし、初日の熾烈な戦いの頂点に立ったのはプリンツだ。(編訳注:プレイヤーズツアー級のイベントで)12勝4敗という好成績を何度も挙げながらも、ブレイクには至らなかった彼に注目が集まる日が来たのだ。

「ハイレベルなマジックの大会で対戦をすることや、挑戦することが好きなんです。今日はリード・デューク/Reid Dukeとセス・マンフィールドに勝つことができました」 ウーに勝利した直後のプリンツは語る。「とにかくグランドファイナルへの出場権を狙いたいですね。今もうドイツは午前2時過ぎです。就寝時間を2時間も過ぎちゃってますね!」

「ティムール再生」が支配するメタゲームへどのように挑んだのか?

 2020プレイヤーズツアーファイナルは今年最高峰のトーナメントのひとつだ。わずか145名が本大会への出場権を手にした中、「ティムール再生」がメタゲーム上で最大勢力となることは、本選が開始するよりもずっと以前から周知のことであった。ならば、参加者たちは最有力のデッキである「ティムール再生」を手に取るのであろうか?それとも、それ以外のデッキに隙を見せるというリスクを負いながらも、「ティムール再生」に強いデッキを選択をするだろうか?

 その答えはすぐに明らかとなった。半数以上のプレイヤーが「再生」を軸にしたデッキを手にし、その大半はプリンツやウーのデッキに内容が近いものだ。

Allen Wu - 「ティムール再生」
2020プレイヤーズツアーファイナル / スタンダード (2020年7月25~26日、8月1日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《
4 《繁殖池
1 《神秘の神殿
3 《踏み鳴らされる地
3 《蒸気孔
4 《ケトリアのトライオーム
3 《ヴァントレス城
2 《爆発域
4 《寓話の小道
-土地(29)-

2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
1 《厚かましい借り手
2 《夜群れの伏兵
-クリーチャー(5)-
4 《成長のらせん
3 《霊気の疾風
3 《否認
4 《神秘の論争
4 《荒野の再生
4 《サメ台風
4 《発展 // 発破
-呪文(26)-
1 《厚かましい借り手
1 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《長老ガーガロス
4 《焦熱の竜火
2 《精神迷わせの秘本
1 《ナーセットの逆転
1 《否認
1 《炎の一掃
1 《嵐の怒り
1 《終局の始まり
-サイドボード(15)-

「《時を解す者、テフェリー》はミラーマッチにおいて非常に強力なカードだと思っていて、とても期待を寄せていましたが、これに関しては大正解でしたね」 そうプリンツは振り返った。「それに加えて《ドビンの拒否権》もありますから。これは相手が5ターン目に《神秘の論争》を構えながら《荒野の再生》を唱えようとする動きを止められる、非常に重要度の高いカードですね」

 プリンツが正しかったのはメタゲーム予想だけに留まらない。彼がプレイをした「4色再生」は2日目への進出率が最も高い、73%という驚異的な数字を記録したのだ。

 一方で、ランプデッキが多いメタゲームにアグレッシブな戦略で挑むプレイヤーの姿も見られた。数週間ほどはアグロデッキの中でも「緑単」を選択して使うプレイヤーが多く見られたが、『基本セット2021』の発売がこれに変化をもたらしたのだ。「白単アグロ」を使用した計8人の出場者のうちその半数が2日目進出を決め、熊谷 陸も「黒単アグロ」を使い6勝1敗という成績で1日目を終えている。

熊谷 陸 - 「黒単アグロ」
2020プレイヤーズツアーファイナル / スタンダード (2020年7月25~26日、8月1日)[MO] [ARENA]
19 《
4 《ロークスワイン城
2 《総動員地区
-土地(25)-

4 《どぶ骨
4 《漆黒軍の騎士
4 《帆凧の掠め盗り
2 《黒槍の模範
2 《死より選ばれしティマレット
4 《狩り立てられた悪夢
1 《残忍な騎士
4 《騒乱の落とし子
3 《悪ふざけの名人、ランクル
-クリーチャー(28)-
3 《強迫
4 《無情な行動
-呪文(7)-
1 《残忍な騎士
1 《悪意に満ちた者、ケアヴェク
3 《苦悶の悔恨
3 《闇の掌握
3 《害悪な掌握
4 《肉儀場の叫び
-サイドボード(15)-
Mike Sigrist - 「白単アグロ」
2020プレイヤーズツアーファイナル / スタンダード (2020年7月25~26日、8月1日)[MO] [ARENA]
17 《平地
4 《アーデンベイル城
-土地(21)-

4 《駐屯地の猫
4 《巨人落とし
4 《追われる証人
4 《石とぐろの海蛇
2 《無私の救助犬
4 《歴戦の神聖刃
2 《徴税人
4 《敬慕されるロクソドン
-クリーチャー(28)-
4 《急報
4 《栄光の頌歌
3 《不敗の陣形
-呪文(11)-
2 《徴税人
3 《一心同体
3 《敬虔な命令
2 《ガラスの棺
1 《不敗の陣形
4 《黒き剣のギデオン
-サイドボード(15)-

 

 MPLプレイヤーである行弘 賢は「ローグデッキで好成績を残す」という彼らしい雄姿を見せた。彼が持ち込んだデッキは公式で「エスパー・ミッドレンジ」と呼称されているものだが、このように呼ばれても良いかもしれない――「『ティムール再生』プレイヤーが目にしたくないカードの詰め合わせ」。行弘のデッキには 《時を解す者、テフェリー》をはじめ、さまざまな除去カードをかわす《朽ちゆくレギサウルス》、また《神秘の論争》と《霊気の疾風》をメインデッキから採用しているなど、「ティムール再生」に命中する弾丸ばかりが装填されている。《エイスリオスの番犬、クノロス》によって墓地の機能を止めてしまうこともできるのだ。

行弘 賢 - 「エスパー・ミッドレンジ」
2020プレイヤーズツアーファイナル / スタンダード (2020年7月25~26日、8月1日)[MO] [ARENA]
2 《平地
2 《
1 《
4 《神聖なる泉
2 《啓蒙の神殿
4 《神無き祭殿
1 《静寂の神殿
4 《湿った墓
1 《欺瞞の神殿
4 《寓話の小道
-土地(25)-

4 《歴戦の神聖刃
4 《徴税人
4 《厚かましい借り手
4 《朽ちゆくレギサウルス
2 《エイスリオスの番犬、クノロス
4 《予見のスフィンクス
-クリーチャー(22)-
2 《霊気の疾風
2 《ドビンの拒否権
1 《不吉な戦術
4 《神秘の論争
4 《時を解す者、テフェリー
-呪文(13)-
2 《巨人落とし
2 《軍団の最期
1 《霊気の疾風
1 《不吉な戦術
1 《ドビンの拒否権
1 《害悪な掌握
3 《赦免のアルコン
2 《絶滅の契機
2 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ
-サイドボード(15)-

 

「まず、『ティムール再生』デッキに強い2枚のカードを入れるところからデッキの構築を始めました。《時を解す者、テフェリー》と《朽ちゆくレギサウルス》ですね」このように行弘は説明をした。「MTGアリーナでこのデッキを使って対戦をしましたが、再生デッキには負けませんでしたね。八十岡 翔太、石村 信太朗、そして原根 健太にデッキリストを共有し、皆興味を持ってくれたので、チーム『武蔵』のメンバーと調整をしました」

 メタ外のデッキを使用して良い結果を残したのは行弘だけではない。ボウルン・チャン/Bolun Zhangは「4色プレインズウォーカーズ」を使用し、白熱した展開を見せながら2日目進出を果たしました。


 
Bolun Zhang - 「4色プレインズウォーカーズ」
2020プレイヤーズツアーファイナル / スタンダード (2020年7月25~26日、8月1日)[MO] [ARENA]
4 《神聖なる泉
4 《神無き祭殿
2 《静寂の神殿
4 《湿った墓
4 《欺瞞の神殿
1 《血の墓所
2 《サヴァイのトライオーム
1 《ラウグリンのトライオーム
4 《次元間の標
-土地(26)-

4 《半真実の神託者、アトリス
-クリーチャー(4)-
2 《強迫
3 《思考消去
1 《取り除き
1 《無情な行動
1 《古呪
2 《肉儀場の叫び
2 《煤の儀式
1 《絶滅の契機
4 《エルズペス、死に打ち勝つ
4 《覆いを割く者、ナーセット
4 《時を解す者、テフェリー
4 《龍神、ニコル・ボーラス
1 《戦慄衆の将軍、リリアナ
-呪文(30)-
2 《悪斬の天使
2 《強迫
2 《取り除き
2 《害悪な掌握
1 《霊気の疾風
1 《苦悶の悔恨
1 《無情な行動
2 《肉儀場の叫び
2 《絶滅の契機
-サイドボード(15)-

「ランプだったり、白単のようなミラーマッチでお互いへの干渉があまりないデッキはプレイしたくないんです」 チャンは続けた。「このデッキは『灯争大戦』のころから使ってるんです。《時を解す者、テフェリー》や《覆いを割く者、ナーセット》はティムールに対して有効なカードですから、お気に入りのデッキでこのイベントに出ようと思いました」

 《龍神、ニコル・ボーラス》もいい働きをした。

「ニコル・ボーラスがやばいくらい大好きなんですよ。《ボーラスの手中》にいます」 チャンは冗談交じりに話した。「『ティムール再生』との相性は五分五分といったところです。手札破壊を撃ってテフェリーを着地させられるかどうかによりますね。以前はもっと有利だったんですよ。ただ《サメ台風》が『ティムール再生』に採用されるようになってからは、それまでのようにはいかなくなりましたね」

 プレイヤーとしても配信者としても長年活躍をしているマイケル・ジェイコブ/Michael Jacobも予想外のデッキを持って本大会に現れた。彼は《軍団のまとめ役、ウィノータ》を使用デッキに採用した唯一のプレイヤーだ。今回のメタゲームの中でも最も変わったデッキリストかもしれないが、ウィノータの誘発能力を最大限に発揮するこのデッキでジェイコブは見事6勝1敗という成績で2日目進出を決めた。

Michael Jacob - 「マルドゥ・ウィノータ」
2020プレイヤーズツアーファイナル / スタンダード (2020年7月25~26日、8月1日)[MO] [ARENA]
1 《
2 《平地
1 《
4 《聖なる鋳造所
1 《凱旋の神殿
4 《血の墓所
4 《神無き祭殿
1 《静寂の神殿
4 《サヴァイのトライオーム
1 《エンバレス城
2 《寓話の小道
-土地(25)-

4 《無私の救助犬
1 《漆黒軍の騎士
3 《帆凧の掠め盗り
3 《ラゾテプの肉裂き
1 《将軍の執行官
3 《災いの歌姫、ジュディス
3 《悲哀の徘徊者
1 《軍勢の切先、タージク
4 《バスリの副官
4 《軍団のまとめ役、ウィノータ
4 《敬慕されるロクソドン
-クリーチャー(31)-
4 《急報
-呪文(4)-
1 《湧き出る源、ジェガンサ

-相棒(1)-

1 《巨人落とし
2 《荒廃甲虫
1 《帆凧の掠め盗り
1 《将軍の執行官
2 《軍勢の戦親分
1 《ドラニスのクードロ将軍
1 《帰還した王、ケンリス
2 《敬虔な命令
1 《灯の燼滅
1 《取り除き
1 《害悪な掌握
-サイドボード(14)-

ゲーム以外の注目の出来事

 もちろん、トーナメントにおいて注目すべき点はデッキやスタンディング以外にもある。生放送の配信チームであったり、カメラであったり、そこで起こる多くの出来事がそうだ。「2020プレイヤーズツアーファイナル」もその点において変わらない。

 例えばこれだ。セドリック・フィリップス/Cedric Phillipsが放送中に初めてくしゃみをし、その瞬間をカバレージの歴史に刻んだ。


 

 新たな視聴者も数名現れた。

彼はプロフェッショニャルだね。@coL_AliasV #PTFinals


 

今朝の#PTFinalsの放送席には@coL_AliasVと@CoreyBaumeisterがいます。

それより重要なのは、それぞれの自宅でライオット/Riotとヘンリー/Henryが彼らを横で支えていることですね!

みなさんの中にも、ペットと一緒に放送を視聴している方はいますか?


 

自宅からトーナメントに参加することにはいくつかの長所があります。まぁ、言うなれば、犬ですよね。

#PTFinalsに参加中の@doctormongoのそばにいる愛くるしいフレンチブルドッグ、ステラ/Stellaとルル/Luluをご覧ください!


 

 また、MPLプレイヤーであるブラッド・ネルソン/Brad Nelsonとブライアン・ブラウン=デュインの2人からプレイヤーズツアーファイナルズへの「道のり」についてレポートがあった。

@BraunDuinltと@fffeakmtgが#PTFinalsへと向かいます。


 

 しかし、初日で最も注目すべき出来事は、リード・デューク/Reid Dukeとの対戦中に、マイク・シグリスト/Mike Sigristが筋トレを始めたこのシーンだろう。


 

 これらはすべて初日に起こった出来事に過ぎない。74名の出場者がトップ8進出を懸け、トーナメント2日目となる日曜日に再び姿を現す。

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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